●日経新聞の編集委員である竹田博志さんのアート記事の愛読者ですが、昨日の夕刊の「シニア記者がつくるこころのページ」の記事が面白かった。今回取り上げているのは画家の高橋秀さんのことだが、高橋さんは61年に安井賞を受賞し、63年にイタリア政府招聘留学生として渡伊、ローマにアトリエを構え41年間制作活動をし、2004年に帰国し倉敷芸術科学大学などで活躍している画家だ。
長い海外生活の中から日本のありようを見てきて芸術を志す若者たちの行く末に言い知れぬ不安を抱いてきた。昨今の絵は漫画やイラスト的な傾向が強く、作品が薄っぺらに見えるのは、学生や若い作家の意識が薄っぺらいのではないかと思う。若者の仕事も何が言いたいのか分からない、もっと広く、もっと高く、気構えを持って腹を据えて描いて欲しいと苦言を呈する。高齢者の発言ゆえに今の時代には古いと感じる人も多いかも知れないが、若い作家には心して欲しいことである。
そんな高橋さんが私財を投げ打って作った1億円を基金に2007年以来、毎年3人の若い日本の美術家を海外に送り出すという支援活動を実践していることが紹介されている。その内容も「留学成果よりも見聞を広めよ」ということで、文化や科学に対し、効率本位で行われている仕分け報道を連日見ていると、これこそ見返りを求めない個人メセナ活動であると思うと同時にこんなことまで個人にゆだねるしかないことに寂しさを感じる。
※秀桜基金留学賞の概要は以下で
http://www.shu-art.jp/shuoukikin.html




