アートのソムリエ・山本冬彦

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アーテイクル誌連載26回目

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●現実よりリアルなものを求めて   毛利太祐

ギャラリー単位で出展するアートフェアに対し、若手のデイレクター51人が個人の責任で出展するという「ULTRA002」がこの秋スパイラルで開催された。個人単位とはいうものの画廊の影はあるし、若手ということで現代アート系の漫画・イラスト風な作品や既知の作家の作品が多く、いささか食傷気味というのが実感だった。そんな中でいくつかのパートを組み合わせた血管まで透けて見える不気味なリアルさをもつ作品が眼に留まったが、色鉛筆で描いたものということに驚いた。作家の毛利太裕は東京芸大の工芸科で鍛金を専攻したのだが、「絵で食べて生きたい」ということで卒業制作展に色鉛筆の作品を出品して周囲を困惑させたらしい。当面は、日常的な普段の視点と非日常的な絵画の視点の間を埋めたいという思いを、質感、色味、光にこだわりながら、ひたすら写す事を重ねることで求めて行きたいとのこと。「筆でやれば簡単なグラデーションも時間をかけて描きながらその痕跡を消す」と語るところに工芸で養ったなにものかを感じた。

毛利作品

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