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●3月10日
美大生の就職活動の場として、六本木ヒルズ森アーツセンターで3月12日から27日まで美大生の就職活動展覧会が催される。
就職が厳しい昨今にあって、ひと際厳しい美大生には何よりの場が設けられることになった。実際の作品を見てもらいながら、企業や画廊との出会いの場を設ける画期的な試みである。就職希望の全国の美大生を募り、審査を経た150点が展示される予定で、100の企業が来訪予定だそうだ。
美大生の就職というと、デザイン系か学校の先生といったところしか思い浮かばず、ましてやギャラリーにもそうした場が設定されるとは思いもしなかったことで、大変興味があるので出かけてみようと思っている。
学校の先生といっても専任教師などは夢のまた夢で、なったとしても殆どが非常勤講師が関の山、私共が関係している作家さん達も多くはアルバイトで糊口をしのいでいるのが現状である。もちろん売れっ子作家になれば就職など必要ないが、そう日本で売れっ子作家を数えるとすると50人いるだろうか。
毎年多くの美大生が輩出される中で、美術だけで食べられるのはほんの一握りといえるだろう。美術で食べられない、就職も覚束ないとすると、高い月謝を払って卒業してみてもお先真っ暗である。ひたむきに制作し続ける気概を持たなければ美術家などやってられないということになる。
といって就職して、生活が安定して、いい絵が描けるかというと、これまた別問題である。美大の教授陣が全て日本を代表する作家かというと決してそうでもない。また企業に就職して、残業や休日出勤が続く中で、どのくらい制作に時間が費やせるだろうか。
夭折した有元利夫は電通に就職したが、絵を描く道を選び、会社を辞めて制作活動に入った。税官吏であったアンリールッソーは50を過ぎて退職してから絵描きの道に進んだ。
こうした安定した仕事を捨てて、評価を得る場合だってある。
今、新しい画廊が多く誕生し、若い作家の企画を立ち上げているが、その多くが果たして30年40年と同じ作家を紹介をし続けることができるだろうか。私の経験からすると、これもまた難しく、作品の良し悪しだけではなく、人間関係が良好でなくてはなかなか続けていくことはできない。
美大生にとって就職活動展覧会は朗報なのに、水を差すようなことばかり言って申し訳ないが、それだけ芸術を極めていくのはの厳しい道のりだということを肝に銘じて、是非とも勝ち抜いていって欲しい。


