
●アーテイクル誌の今月号が発行になりましたが、今月の表紙絵は以前連載で紹介した田中千智さんです。なお、今回の連載は忠田愛さんです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
連載32回 描くことはただそこにあるものを見ようとすること 忠田 愛
ニュートロン東京店に初めて出かけた時にもらった次回の忠田愛展の案内状を見て、私の好きな小嶋悠司を連想して初日に必ず見に行こうと決めていた。忠田のことはまったく知らなかったが、同じ京都でイタリア留学の経験もあり人物画中心の日本画家である小嶋との共通点を感じたからかも知れない。忠田とのメール交信によると、同志社大学の1年生の時に香月泰男の作品との劇的遭遇により周囲の猛反対の中、絵の道に転進したとのことだが、若手作家中心の私のコレクションの中で唯一の物故作家が香月泰男ということも、忠田作品に惹かれた理由かも知れない。忠田によると描くことは時間とともに線を重ねていく作業でありながら、同時に一枚一枚層を剥ぎ取ってゆき、そこにあるものを削りだそうとする試みであるとのこと。忠田は描くことにより、内面との対話の中から人の底辺にある普遍的な動かぬものに近づいていこうとする孤独な求道者である。
忠田愛(ちゅうだ・あい)プロフィール
1981年1月6日、大阪府生まれ。1999年4月同志社大学文学部文化学科美学及び芸術学専攻に入学するも、在学中に洋画家・香月泰男(1911~1974)の絵を見たことがきっかけで、画家を志す。2001年 京都造形芸術大学・工芸学科日本画コース入学。2007年同大研究科芸術表現専攻修士課程修了。第11回公募新生展新生賞。現在、京都造形芸術大学非常勤講師。




