アートのソムリエ・山本冬彦

プレミアムエイジ ジョインブログ

新聞記事から

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大学記事美術館企画記事

 

 

 

 

 

●休み中に見た興味ある新聞記事を3つ紹介します。
 まず最初は22日の読売に出ていた「大学の悲鳴が聞こえるか」と言う記事。日本はいろんな分野で長期戦略がなく、財政再建の中で縮減をせまられているが、その一つに教育問題がある。その中でも大学の弱体化が著しいことはあまり知られていない。論説委員の滝順一氏の一文は一般の人にも今の大学の現状を分かってもらうには参考になる。
 

2つ目は21日の日経文化欄の「公立美術館、企画展頼みに限界」という記事。日本人は美術館が好きで入場者数はここ数年間世界一位を続けているが、それは古今東西の有名作家・作品による企画展だ。財政難もあって地方の公立美術館は企画展をやることができなくなり、所蔵品を活用して市民に魅力ある展覧会を模索している。その中で、他の美術館との所蔵品交換展や巡回展などを行っているという。この記事にはないが、作品を持っているが展示スペースのない個人コレクターの作品をスペースはあるが真新しい作品が乏しい公立美術館が連携し、個人コレクターのコレクション展を公的な美術館で展示したり、巡回する企画をもっとやってはどうだろうか。私が今度コレクション展をやる砂丘館は新潟市の施設です。
 3つ目は23日の日経「経済教室」に渡邊啓貴さんという東京外語大の先生が書いている「文化外交の体制整備急げ」という記事だ。これはこれまで何度も日本の文化行政が国家戦略として強化している韓国・中国に比べて遅れていることを指摘・提言した文章としてとても優れたものだ。

文化外交記事

「街場のメデイア論」

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新書

●今日は日曜日なので家でのんびり。買っておいた本を読んだが、内田樹の「街場のメデイア論」(光文社新書)が面白かった。自分の書いたものの引用などはすべてフリーとかキャリア教育の大間違いとか、世間の流れとは違った角度での物言いは筋が通っていて痛快だ。
 この本は内田の街場シリーズの4冊目でメデイアを論じたものだ。マスコミが正義感の暴走でクレーマー化すると述べている。論説委員が「何も知らされていない市民」の代表のような顔つきで社説や記事を書いている。本来は知っていることなのに(プロなら知らなかったこと自体が失格だが)世間に暴かれると被害者面をしてたたく・・・これが今の堕落したマスコミだという。
 そういえば大相撲界のスキャンダルが連日報道された時に有名な相撲解説者やジャーナリストが初めて知った、とんでもない・・・というような批判をし、したり顔に解説しているのを見ていつも白々しく思っていた。私が司会者だったら、あの人たちに生放送の中で「皆さんは相撲界に詳しい人なのに本当に知らなかったんですか?」「知らなかったとしたらプロとはいえませんね・・・。」と言ってやりたいと思った。

 

「アートプロデユースの現場」が25日に発売

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現場・本

●以前紹介しました成城大学の講座の本「アートプロデユースの現場」が25日に発売になります。
1000部しか刷っていないこともあり、高額で恐縮ですが、改めて紹介させていただきます。大型書店でも置いているところは少ないと思いますので、注文しないと手に入らないと思いますが。

http://www.ronso.co.jp/kankouyotei/kankouyotei.html

 

「アート・プロデュースの現場」 境新一(編)
8月25日発売予定
税込予価2,625円
“アート”といかにつきあうか――音楽・演劇・絵画から能や長唄、舞台衣裳・メディア論まで、アートの第一線で活躍する芸術家・研究者らが熱く語るオムニバス講義!

金未来(きむ・みれ)展

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金3部大作

金小品3枚

●2つ目のお勧めはニュートロン東京で今日から始まった金未来(きむ・みれ)展だ。「免疫という名の祭壇」というタイトルのついた東京での初個展だ。ニュートロンの石橋さんから個別に案内や作品画像をもらっていたのでぜひ実物を見たいと思って見に行った。
 暑い中ようやく青山の画廊に着き、入り口のドアを開けると涼しい冷気を感じほっとするが、薄暗い会場の中に、全十章の大作シリーズの中の3点が飾ってある。目が暗闇に慣れてくる中で不思議な世界が見えてくる。2階に上がると今度は光あふれるフロアに小品が数点並んでいる。
 彼女の作品はいまどきにしては珍しい絹本に描かれた日本画だが、今回の彼女の作品には蛇、蜘蛛、蝶などが描かれていて、嫌いな人間にはちょっと引いてしまうし、好きな人間にはもっとマニアックなものを求めるかも知れない。その点では松井冬子の世界を連想させる。一方、クリムト的とも暗い琳派ともいえるデザイン性・装飾性のある作品もあり、さまざまな展開の可能性がある。
 何か小品でも1点ほしいと思ったが、人物や顔にこだわる私にとってぴったり・・・というものがなかった。ぜひほしいと思った作品は豊橋の星野慎吾賞展の入選作だったが、なにしろ100号以上の作品なので、次の機会に期待したい。

金夢とうつつ

渡抜亮展

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井上ビル

●今日は久しぶりの土曜日なので厚さにもめげず、画廊めぐりをしたが、なかなか良かった展覧会を2つ紹介する。
 一つ目は、以前紹介した前田寛治大賞展に出品していた渡抜亮展だ。茅場町の井上ビルに入っているギャラリーsuchiさんでの初個展には案内状を見たときから気になっていて、前田寛治賞展の初日の後すぐに見に行く予定だったが、あまりの暑さにパスしてしまったので今日朝一で出かけた。写実系の若手作家は続々と生まれているが、グループ展ではネームプレートを取り替えてもわからないような状況だが、そんな中で個性を発揮していくのは大変なことだが、渡抜には個展ということもあって卓越したものを感じた。ほしかった小品も何点かあったが、初日に行かなかったこともあり、すべて売れていて残念な訪問だった。

ワタ胸像ワタアップわた大作

 

ワタ小3点

「和楽」に見る男女の文化度

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和良く表紙和良くためなが和良く日動

●以前にも紹介しましたが来月、三越の専用バスでギャラリーと美術館巡りのツアーをします。日動画廊、柳画廊、泰明画廊などをまわって山種美術館へ行き、途中で高級ランチやテイータイムを持つというコースですが、今週号の「和楽」の銀座特集にほとんどのスポットが出ているとの連絡を三越の担当者から聞きました。
 そんな訳で「和楽」を買ってみたのですが、日本のセレブっぽい中高年女性向けの雑誌でその内容に改めて驚きました。桐島かれんさんとめぐるアート散歩には上記3つの画廊さんの他有名画廊が数店載っています。わたしのツアーで最初に講話をするロイヤル・クリスタル・カフェも出ていますし、柳画廊さんのギャラリーツアー募集の記事もあります。
 記事の中には、私も知っている千住博さんの名画と美食の会の募集や、筝曲の山勢松韻さんなどの人間国宝の方の実演を有名料亭の「金田中」で聴く会なども載っています。そのほか、書家としての佐久間良子、樋口可南子の古寺散歩、女性の好きな歌舞伎公演ナビなど、有名人を使った日本文化のオンパレードです。
和良く野呂和良く千住和良く山勢

 日本の有閑マダムやセレブたちがこんな雑誌を見てカルチャーを愉しみ、これに出ることで文化人や芸術家がまたフィーバーするのだということも納得という感じです。やや、成金的で食傷気味のところもありますが、日本の文化はこの本の読者のような女性たちが支えていることも実感しました。日本でカルチャーを支えるのは女性だということは「和楽」に対応するような男性場雑誌がないことでも明らかです。中高年向けの男性誌と言えば100万もする時計や数千万の外車を持つのが「もてオヤジ」・・・と言うよな記事ばかりだ。

和良く佐久間和良く歌舞伎和楽樋口

新聞記事から

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瀬戸内アート美術検定弁護士

 

 

 

 

 

●5日ほど休んでいたので新聞がたまっていたが、いくつか気になった記事を紹介する。
 まず第一は若者の就職難が弁護士界にも及んでいるとのこと。司法修習を終えた弁護士の卵の4割が就職未定とのこと。法科大学院などで弁護士を倍増させる計画のもとで、「イソ弁」、「軒弁」にもなれず開業もできない人が続出らしい。【読売8月13日夕刊】
 次は以前にも紹介した「瀬戸内国際芸術祭2010」が好評で、開会一カ月を待たず10万人を突破。この暑いのに、しかも船でしか行けないところなのにびっくり。現代アート熱は不滅ということか。【日経8月14日】
 3つ目は「美術検定」。今年で第4回目の検定が来月29日締め切りで試験は11月7日。4級から1級まであるそうだが、検定合格者は趣味の充実のほか美術館のボランテイアや仕事にも役立つとのこと。【読売8月17日】

「美術家支援活動の新しい動きと提言」

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ざくろ

「美術家支援活動の新しい動きと提言」

 アートソムリエとしてビジネスパーソンへのアート普及と若手美術家支援をしていますが、私の場合は作品を買ってあげることが最大の支援ということで、30年来その時々の若手作家の作品を購入して来ました。日本のビジネスマンが週末などのオフタイムにギャラリーを回り、同世代の美術家の作品を見たり買ったりしてほしいのですが、以下のデータを見ると日本のビジネス社会では無理なことなのかも知れません。最近出た帝国データバンクの「社長の趣味」という調査を見ると、社長の趣味のトップはゴルフで28.4%、以下読書8.2%、釣り4.7%、旅行4.0%と続きます。絵画という項目もありこれは美術鑑賞がメインと思いますが0.8%で、コレクションが0.2%という数字です。社長ですらこうですから、一般のビジネスパーソンへのアート普及は砂漠に水をまくようなことかも知れません。
 美術家支援については作品を購入する以外にもいくつかの方法がありますが、何らかの形で彼らに収入の道を提供することです。一番確実なのは美術家を企業が正規社員として雇用することだと思いますが、一般学生ですら氷河期といえる就職難の中で美大卒業生の就職はかなり厳しいようです。美大でもデザイン科などは当初から企業に就職しようという人たちなのでそれなりの実績はあるでしょうが、日本画・彫刻・洋画などを専攻した美大生が一般の企業に雇用されるということはほとんど期待できないのではないでしょうか。
 悲観的な現実ばかりを書きましたが、もう1つの支援は美術家の作品や企画を企業の商品開発に起用することです。これは企業と関係があるデザイナーなどが担ってきた分野ですが、最近新しい事例が少しずつ出てきていますが、そのいくつかを以下に紹介します。美術家ユニットの明和電気と玩具会社のキューブが共同開発した、八分音符の形をした電子楽器「オタマトーン」が昨年11月の発売以来13万個出荷するヒット商品になっている。オンワード樫山が5月に丸ビル1階の床面に10メートル四方のゴッホの自画像を同社のポロシャツ2070枚をモザイク状に並べたイベントが好評だった。この他、TOTOが山本寛斎や鈴木康広などの美術家と組んで商品開発をしているという事例などです。
これらは有名な美術家やデザイナーとの事例かも知れませんが、無名な若手美術家と企業の間をつなぐビジネスも生まれています。モーフィングという会社が美大生を登録し、彼らの作品を展示してくれたり、商品開発に起用してもらう企業を探し、その間を取り持つというビジネスを始めています。3月には六本木の森アーツセンターギャラリーで「美ナビ展」を開催して話題になりましたが、これは400人を超す美大生から作品を公募し、審査に選ばれた150人の作品を展示し、それを企業の担当者や一般に公開するというもので、実際に企業から50件ほどの引き合いがあったようです。
以上のような美術家支援の新しい動きが出てきていますが、これらに関連していくつかの提言をしたいと思います。まず美術品の購入については、有名作家の作品など高額商品は別ですが、若手作家の安い作品購入については若手作家支援ということで税制などの配慮をしてほしいと思います。また、オークションなどのアートの転売マーケットが日本に育っていないこともアート購入が進まない原因ですので、二次マーケットの育成が必要です。その場合、若手作家の作品がどれだけ高値で売れてもその利益は転売者とオークション会社のもので作家には1円も手に入りません。転売ごとに作家にも販売価格の一定割合が印税のように渡るような仕組みも必要なのではないでしょうか。
美術家と企業の関係については、企業サイドがもっと積極的に商品開発での美術家との連携を進めてもらいたいと思いますし、そのためには企業と美術家の出会いの場作りやモーフィングのような橋渡し会社に期待したいと思います。

前田寛治賞展

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前田パンフ

●今日はアーテイクル誌の連載の次回で紹介する作家と会って簡単な取材をし、その後待ち合わせていたアーテイクル誌の編集者も交えてランチをした。そして食事の後、作家と一緒に枝香庵を訪問したりしたこともあって日本橋高島屋の前田寛治賞展には4時頃になってしまった。簡単な挨拶があったらしいがすでに終わったあとだったが、倉吉博物館の学芸員の伊藤泉美さんが迎えてくれて、大賞をとった山本雄三さんを交えて簡単な立ち話をした。私が推薦した渡辺香奈さんの作品や高松、城戸さんなど数人の知り合いの作家の力作も並んでいて、「写実表現の現在」というタイトルどおり現在の写実の多様性を味わえる展示会だった。日本橋高島屋展は8月24日まで、その後地元の倉吉博物館で9月4日から10月3日まで展示されます。

前田会場3前田会場2前田会場1

※ちなみに出品作家の一人の渡抜亮さんの個展が茅場町のギャラリーsuchiで始まっているので、行く予定はしていたが、あまりの暑さに今日はパスしてしまった(9月11日まで)。

渡抜

ようやく実現するか、美術展の国家補償制度

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朝日記事

●日本の美術館入場者数はここ数年間世界一を続けているし、あちこちで泰西名画の展覧会が行われていて超満員の状況だ。しかし、出かけてみると目玉作品以外は版画やデッサンなどが多くがっかりしたことは無いだろうか?その最大の理由は保険料が高くなるので名品だけでは事業として成り立たないからだ。保険料は作品総額の0.25パーセントくらいだが、有名な展覧会になると保険料は数千万円から数億円に及ぶ。そのことが日本の展覧会の入場料が高い原因にもなっている。
 このように、日本では外国から高額な美術品を借りて展覧会をやる場合は民間の保険会社の保険をかけなければいけないのに対し、欧米では万一の場合は国家が補償するという制度が一般的だ。そんな中、今朝の朝日新聞に文化庁がようやく美術品の国家補償制度を導入しそうだという記事があった。これが実現すれば美術展の内容が充実するか、入場料が安くなることが期待できるのです。



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