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マーケッターとしてのシニア考(10)    ~続・ヒット曲の定義 ~ 

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前回「ヒット曲の定義」で、技術の進歩、それによる音楽メディア、音楽流通の多様化により「ヒット曲」の定義が変わりつつあるのではないかという話題を取り上げた。その記事でも取り上げたシングルCD年間売り上げ第2位の「宇多田ヒカル」の「Flavor Of Life」に対し、日本音楽著作権協会(JASRAC)は、CDやネット配信、カラオケ、有線放送など音楽著作権使用料の2007年度分配金額第1位に贈るJASRAC金賞を同曲に決定した。上位10曲のうち4曲がアニメ作品の音楽で、TV放送やDVDのほか、パチンコやゲームソフトでの利用が多かったという。このことは、やはり、ヒット曲というのは「音楽著作権使用料」の額で決めるのではなく、CDの売り上げ、せいぜい配信は含めていいが、音楽メディアそのもののに対して、消費者が直接対価を支払った場合に限っていいように思う。

さて、話は変わるが、「週刊文春」に近田春夫氏による「考えるヒット」というコラムが連載されているのをご存知でしょうか?1997年1月から連載が開始され、すでに、単行本で6冊、文庫本でもシリーズ4冊目が発刊されている人気コラムです。
かの小林秀雄の「考えるヒント」をもじったタイトルで、最近のJポップスを次々と批評しているが、その歯切れの良さはすこぶる小気味いい。近田氏は、1951年生まれ、75年から音楽活動を続ける傍ら、作詞作曲、プロデュース、DJそして歌謡曲評論家をこなす。ジャンルは違うが、彼の評論は、曲の本質を瞬時に鋭く捉え、少ない言葉で的確に評論するという特長を持っている。私も、音楽を聴いたとき、自分なりの感想を頭に描くのだが、それをブログで表現するとなると、的確な言葉が見つからず、いつももどかしさを感じているのだが、近田氏の音楽センスとボキャブラリイは抜群で、私のブログなどはとても足元にも及ばず、あんな表現が出来たらなあと思ったことは何度もある。

紹介する本は、1997年に雑誌に掲載したコラムをまとめた文庫本なので、取り上げている歌手や歌はもう相当古くなっているが、ヒット曲なるがゆえに、その古さが生まれるだろう事も、技術が進んで音楽が大量消費財化する時代についても近田氏は予測しているから恐れ入る。
コラムのタイトルのつけ方は「うまい!」というほかはない。例えば「今井美樹と布袋寅泰の歌を介したSM的関係」、「国体の消臭につとめるユーミンに紫綬褒章を」とか「ユ-ミンは低カロリーへ みゆきは激辛へと進む」など、読まずにはいられない気にさせるタイトル。

考えるヒット (文春文庫)
近田 春夫 / / 文藝春秋
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またまた話は変わるが、例えば「森山良子」、「加藤登紀子」などベテラン歌手、熟年歌手のヒット曲カバーアルバム化が盛んである。過去にも、高橋真梨子の「紗Ⅰ、Ⅱ」、中森明菜の「歌姫シリーズ」などあったが、コンテンポラリーに歌える歌がないといわれる熟年あるいはシニア世代を明確なターゲットとした企画が盛んなのも、徳永英明の「Vocalistシリーズ」、「R35 Sweet J-Ballads 」の大ヒットが影響しているのだろう。そのようなレコード会社の思惑はあるにせよ、人生の年輪を重ねた熟年歌手が、自分の歌ではない時代のヒット曲を、その人生経験というフィルターを通してろ過し、オリジナルとは一味違った自分の表現に結実させていくという、歌い手の思いは共感できる。数あるヒット曲、時代とともに忘れ去られていくヒット曲を、熟年歌手の年輪というフィルターを通して、日本のスタンダード曲化をしていく意義ある作業とも思えるのだ。   

加藤登紀子によるカヴァー・アルバム「SONGS うたが街に流れていた」。
見知らぬ者どうしがすれ違う街角、そこにどこかから聞こえる歌があった・・・・・。昭和の歌謡名曲から「夜空ノムコウ」まで、人々の暮らしの営みの中で街の中に溶け合い人の記憶や心に残る名曲を選曲したアルバム。

SONGS うたが街に流れていた
加藤登紀子 / / UNIVERSAL INTERNATIONAL(P)(M)
ISBN : B00164POO6
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