(前回からの続き)
MTさんの風貌はといえば、黒ぶち眼鏡にきちっと七三に別けた髪型。いつも物静かで、そのまなざしはおだやか。グリルのマスターというより、一見すれば、銀行員と言ってもおかしくない程スクエアーな感じの人であった。そんなMTさんがよくかけていて、いまだに私の愛聴盤となっているアルバムを更にいくつかあげましょう。まず、名盤中の名盤「フォア・フレッシュメン&ファイヴ・トロンボーンズ」である。50年以上前の録音なのでレトロな味わいであるが、男声コーラスとトロンボーンのハーモニーがこれほど、美しかったのかと、目からうろこの当時聴いたときの感想であった。
フォア・フレッシュメン&5トロンボーンズ
フォア・フレッシュメン / 東芝EMI
ISBN : B00000JZNP
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そして、リラックスしてくると、日本の女性JAZZシンガーの草分けで、絶対に営業中にはかけない「沢たまき」の「ベッドで煙草をすわないで」や、「このひといいよ」といって、デビュー当時の和田アキ子の「ボーイ・アンド・ガール」をよくかけてくれたのも懐かしい。
「ルー・ドナルドソン/アリゲータ・ブーガルー」。ジャズ・ロック・ブーム、ゴーゴー・ダンス・ブームにのって大ヒットしたダンサブルな曲。タイトル曲は67年にビルボードのシングル・チャートの93位にランクされた。ジャズがヒットチャート入りするなんてことは、めったにないことで、ブルーノートにとっては、「リー・モーガン」の「ザ・サイドワインダー」以来の快挙であったそうだ。
アリゲイター・ブーガルー ルー・ドナルドソン / TOSHIBA-EMI LIMITED(TO)(M)
バロック・ジャズを教えてもらったのもこの店であった。バッハの名曲の数々をピアノ・トリオ・ジャズで演奏し1960年代にセンセーションを巻き起こした「ジャック・ルーシェ」の記念すべき第1作がリリースされたのは1959年。その後「プレイ・バッハ#5」までリリースされ、「プレイ・バッハ」の冠がつくシリーズ6作目の「プレイ・バッハ シャンゼリゼ劇場LIVE」が発売されたのは、1965年の大学入学した年であった。スウィングするバッハに驚愕したものである。これがきっかけとなって、後にヨーロッパJAZZ、とりわけピアノ・トリオに魅せられていく原点はここにあったのだ。そして、ジャックルーシェと並んで人気を博したのが、スキャット、例の「ダバダバ・・・・」いうスキャットで一世を風靡した「スイングル・シンガ-ズ」の1963年のデビュー・アルバム「ジャズ・セバスチャン・バッハ」も、彼のお気に入りであった。
プレイ・バッハ(1)
ジャック・ルーシェ / ユニバーサル ミュージック クラシック
耽美派でないハードバップ色の強い「ビル・エバンス」、それと対称的に、ハードバップでなく叙情的な「マイルス・デイビス」を知った。「ビル・エバンス/インタープレイ」の「あなたと夜と音楽と」、「マイルス・ディビス/スケッチ・オブ・スペイン」の延々16分余りにわたって演奏される「アランフェス協奏曲」も忘れられない。「スケッチ・オブ・スペイン」は、ギル・エバンスとのコラボにより、正面からスペイン音楽に取りくんだアルバムで、「アランフェス協奏曲」は、スペインの盲目の作曲家ロドリーゴの作品であまりにも有名。
Sketches of Spain
Miles Davis Gil Evans / Columbia/Legacy
ISBN : B000002AH7
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そしてCTIシリーズ。まずは、なんといっても大ヒットしたジャズギタリスト「ウェス・モンゴメリー/ア・デイ・イン・ザ・ライフ」か。ドンセベスキーが編曲し、ストリングスをフューチャーしたナンバー、とりわけビートルズの曲であるタイトル曲を取り上げたことが話題となった。イージーリスニング路線になったといった批判もあったが、ハービーハンコック、ロンカーター等の名プレイヤーが参加しており、紛れもないジャズアルバムである。卒業後もCTIシリーズは何枚も買って聴いたほど好きになった。
ア・デイ・イン・ザ・ライフ ウェス・モンゴメリー / ユニバーサル ミュージック クラシック
そして、当時の日本にボサノバのリズムと雰囲気を伝え、大ヒットさせ、「ボサノバ」が、メジャーな音楽になったのはなんといっても「セルジオ・メンデス&ブラジル’66/マシュ・ケ・ナダ」からであろう。このアルバムもエキサイティングであった。
マシュ・ケ・ナーダ セルジオ・メンデス&ブラジル’66 / ユニバーサル インターナショナル
ジャズ、ジャズコーラス、ボサノバ、フュージョン、バロックジャズ、ムード歌謡、ソウル・・・・。これほど多彩で豊かな音楽を聴く楽しみを私に教えてくれたMTさんに感謝!!献杯!!
わが青春のジャズ・グラフィティ/MTさんトリビュート編は、
39)フォア・フレッシュメン;フォア・フレッシュメン&5トロンボーン
40)沢たまき;ベッドで煙草をすわないで
41)和田アキ子;ボーイ・アンド・ガール 収録のアルバム「フリー・ソウル」
42)ルー・ドナルドソン;アリゲータ・ブーガルー
43)ジャック・ルーシェ;プレイ・バッハ(1)
44)スウィングル・シンガ-ズ;ジャズ・セバスチャン・バッハ
45)ビル・エバンス;インタープレイ
46)マイルス・ディビス;スケッチ・オブ・スペイン
47)ウェス・モンゴメリー;ロードソング
48)ウェス・モンゴメリー;ア・デイ・イン・ザ・ライフ
49)タンバ4;二人と海
50)セルジオ・メンデス&ブラジル’66;マシュ・ケ・ナダ
51)ヒューバート・ロウズ;春の祭典

そして最後は、モダンでしゃれたジャケットがまぶしかったCTIシリーズから。時代はすこし後、1971年にリリースされた「ヒューバート・ロウズ/春の祭典」のジャケットを挙げておきましょう。
サバンナを疾走する一頭の豹。
全速力で駆け抜けた我が青春に重なる・・・・。
