「泣ける歌」ブームであるという。確かにCDショップへ行ってもTSUTAYAへ行っても専用のコーナーが設けてあり、いくつもCDが並んでいて結構売れているようである。どうも、日本テレビ「誰も知らない泣ける歌」から火がついたようであるが、この手の演出過剰の番組が、実は私は大嫌いである。
私は番組を見たことがないので勝手な想像にしか過ぎないのであるが、ゲストのタレントが、本当に泣いたかどうかわからかないような曲を、「泣けた曲」と紹介し、あらかじめ用意されている演出過剰のVTRの感動ストーリを見せられ、TVカメラの前の他のゲストたちも、泣かなければ「KY」みたいな雰囲気で、すべて台本にしたがって番組が進行する。多分タレントの好感度を上げたい芸能プロダクションと、誰も知らない歌の売り上げを上げたいレコード会社と試聴率をアップしたいTV局組んだ演出番組ではないだろうか。それはそれで視聴率至上主義のTV番組だから、私がけちをつける筋合いのものではないのだが、私は見ないだけである。人それぞれの人生の中で出会った歌、勇気をもらったり、胸を熱くしたり、じんとくる歌がそれぞれの心の中に秘められていれば、それでいいのである。そのことを、誰かが知っていようと、知らなかろうとも、そんなことは関係ないのである。その歌は、その人の中で生きつづけるのだから・・・。
このような番組は、一般の市民であるリスナーとパーソナリティの距離感が近く、コミュニケーションが濃密であるラジオこそが、むしろふさわしいと思うのだ。だから「ラジオ深夜便」が好きで時々聞く・・・。
それはさておき、この「泣ける歌」ブーム、いまどきのご時勢や世相を映しているのであろう。この殺伐とした時代に「泣けるような感動を与えてくれる、忘れていたかっての暖かい感動を思い出させてくれる音楽がほしい」ということなのかもしれない。その意味では、「音楽のチカラ」もちょっとばかり効果があるのかな。そしてそれぞれの人の心の中で生きつづけるその歌の「チカラ」・・・。
前置きが長くなってしまったが、今回の「60歳過ぎたら聴きたい歌」は、「When The World Turns Blue」(世界がブルーに染まるとき)。
この曲は、フュージョン全盛期の人気グループ「クルセーダーズ」のリーダー、「Joe Sample」の曲です。もともと「ジョー・サンプル」が作曲したピアノ曲「Melodies of Love」に、映画「タイタニック」のテーマソングも手掛けた作詞家、「ウィル・ジェニングス」が歌詞を付け、その歌詞の初めの部分をタイトルにして「When the World Turns Blue」ができたという。
この「When the world turns blue(Melodies Of Love)」は、「Merry Clayton」という歌手が、1979年に「Emotion」というアルバムの中で発表したのが初めらしい。その歌詞とメロディのよさから、現在でも、多くのシンガーにカバーされようになっている。人の心の中で、永遠に生きつづけていく「歌のチカラ」を歌った歌。
「When The World Turns Blue」
作詞;Will Jennings 作曲;Joe Sample
「♪ When the world turns blue
Somewhere after you
I’ll just have to handle it
with all I know how to do
I’ll write a song about you
How love can’t live without you
How every place you touched me
made me feel new
And when we are gone
The song will live on
Some stranger will hear and he’ll say
”This is just how I feel
Every line,every moment is true”
When the world turns blue
When the world turns blue
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ♪」
「世界がブルーに染まるとき」
「♪ 世界がブルーに染まるときに
あなたのいなくなったどこかの場所で
わたしが力の限りすべてを注いでしなくてはならないことは
あなたについての歌を書くことです
あなたなしでは愛は続いていかないということを
そしてあなたが触れてくれるたびに
新鮮な思いを私は感じることができたということを
わたしたちが死んでしまっても、
この歌は生き続けるでしょう
見知らぬ人が、この歌を聴いてきっと言うでしょう
「この歌は僕の気持ちをぴったりとあらわしている
どの言葉、どの部分をとってみても真実を歌っている」と
世界がブルーに染まるときに
世界がブルーに染まるときに
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ♪」
「伊藤君子/KIMIKO」から。ただ一人の日本人枠に入っている我がいとしのJAZZミューズ、「伊藤君子」のスタンダード曲集から。JAZZピアニスト「小曽根真」がアルバムのプロデュースはもちろん、アレンジおよび演奏面でも全面的に協力した作品である。ピアニストとして参加することはあっても、他人のリーダー作に小曽根がここまで深く、本格的に係わるのは、多分これが初めてのアルバムといわれている。 ゆるぎない力強さを感じさせる、スケールの大きな堂々たる熱唱が好きである。
KIMIKO 伊藤君子 / ビデオアーツ・ミュージック
「ジョーサンプル」自身のものでは、「ダニー・ハザウェイ」の娘「レイラ・ハザウェイ」とのコラボによる極上のジャズサウンドが堪能できるアルバム「ソング・リブズ・オン」に収録されている。アルバム冒頭、ピアノでブルージーに演奏される美しいタイトル曲「Song Lives On(歌は生きつづける)」が、このアルバムのコンセプトを示し、「When The World ・・・」はその中心に位置づけられる歌である。レイラはこの歌をいつくしむように、時には力強く、時には切なくて、あたたかかく歌っている。サンプルのピアノも美しいサポートを。
ラストのボーナス曲は、サンプルのラグ・タイム・ピアノの伴奏によって歌われる「It’s Sin To Tell A Lie(嘘は罪)」。多くの歌手にカバーされ、今も生き続けている懐かしい往年の名曲。
ソング・リブズ・オン ジョー・サンプル / ビデオアーツ・ミュージック
原曲であった「Melodies of Love」は、「Rainbow Seeker (邦題:虹の楽園)」に収録されている。こちらもサンプルのピアノが美しい調べとリズムを刻む。
虹の楽園 ジョー・サンプル / ユニバーサル ミュージック クラシック
「ジョー・サンプル(Joe Sample、1939年2月1日~)」。テキサス州・ヒューストン出身のジャズ・フュージョン界で活躍するピアニスト。リリカルで透明感のあるピアノでありながら、時折ファンキーな音色を見せるのが特徴である。1960年に「ジャズ・クルセイダーズ」の名でデビューした。私たちの年代のJAZZファンはむしろこちらの名前のほうが、なじみがあるかもしれない。 1972年、「クルセイダーズ」と改名し、よりポップなフュージョン路線を強調したアルバム「Street Life」が大ヒットする。サンプルは、多くのソロ活動もしていて、クルセイダーズ時代に発表した「Rainbow Seeker (邦題:虹の楽園)」(1978)、「Carmel (邦題:渚にて)」(1979)などのアルバムが有名である。
