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おやじのエレジー(哀歌) ~歌謡曲としてのブルース・考~

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8月12日は「ブルースの女王」と呼ばれた淡谷のり子(1907 – 1999年)が生まれた日だそうだ。「別れのブルース」が大ヒットしたのは日中戦争が勃発した1937年。その後、戦中・戦後を通じて、日本人を癒してきた「ブルース」。日本人は「ブルース」が好きである。何にでもブルースをくっつけて歌にしてしまう。人から自然現象からご当地名まで手当たり次第である。「男のブルース」、「女の・・」、「あなたの・・」、「雨の・・」、「別れの・・」、「夜霧の・・」、「大阪・・」、「中之島・・」、「港町・・」、「赤と黒の・・」、「一番星・・」、「黒い傷痕の・・」、「昭和・・」、「しのび泣きの・・」、「恍惚の・・」、「一人ぼっちの・・」・・、ああ、きりがない。さてそれでは、何をもって「ブルース」というのかというと、歌謡曲の世界では、その定義を聞いたことが無いので、これがさっぱり分からないのである。

洋楽における「ブルース」の定義というのは、はっきりしている。ブルース(Blues)は、米国深南部でアフリカ系アメリカ人の間から発生した音楽のひとつ、またはその楽式のことである。その特徴は、A・A・Bの形式をとるワンコーラス12小節形式 (ブルース形式)で綴られる詩が多いということ。そして、二つ目は循環コードの一種である定型のコード進行(ブルース・コード)をとることが多いということ。三つ目には、旋律に独特の節回しがあり、一般にブルー・ノートと呼ばれる独特の音階が使われる。つまり、日本の歌謡曲のスタイルとして「ブルース」と、ここで言う洋楽の「ブルース」とはまったく関係がないのである。

しからば、どうして歌謡曲に「ブルース」と呼ばれるスタイル?ジャンル?ができたのであろうか。まったくの私見で根拠は無いのであるが、私はこんな風に考えている。正式な名称かどうか分からないが、社交ダンスのステップに4/4拍子の「ブルース」というのがある。娯楽の乏しかった日本で社交ダンスの普及とともに、その踊りの雰囲気を最大限盛り上げるための曲として、スロー・テンポで、チークダンスや感情移入がしやすい短調(マイナー)の曲、歌謡曲が好まれていった。これが日本の歌謡曲の「ブルース」の発祥となって、その「ブルース」という言葉が持つモダンで哀調の語感が歌謡曲のウェットな世界にぴったりなため、強く結びついていったのではないかという勝手な持論を持っている。強いて定義してみれば、短調(マイナー)のスロー目の曲で、これが一番重要であるが、「・・・のブルース」というタイトルがついていることという極めて大雑把なところであろうか。まあ~、目くじらを立てて議論するほどのことはないのであるが・・・。 

先ほどあげた日本の「・・・ブルース」がついた歌をみると、「ブルース」というよりは、「エレジー(哀歌)」といったほうがいいのではないかと思う。私は、歌うほうはJAZZと違って、日本のエレジーいえる曲が好きで、「この歌は私のエレジー」と勝手に定義してカラオケなどで歌っていた。その条件は、「マイナー(短調)」、「ドロドロ、ベタベタな歌詞」、「抑えた感情、やがて迎える山場、絶唱」、「私がカラオケでうたえること」であった。これが「私の哀歌、おやじのエレジー」の条件で、それに当てはまる次のような歌をあげれば、なんとなく気分が伝わるでしょうか・・・。
「あんたのバラード、悲しい色やね、月のあかり、酒と泪と男と女、あなたのブルース、粋な別れ、大阪で生まれた女、石狩挽歌、想い出ぼろぼろ、ルビーの指輪、別れのサンバ ・・・・」。これもきりがないのですが・・・。
これを見ると、私はまさに、どんぴしゃ正統派の「オヤジ」ですね。

「エレジー(哀歌)」、私が大のファンでもあるイチオシの女優「ペネロペ・クルス」が出演していた映画「エレジー」(原題: ELEGY)。「ペネロペ・クルス」扮する女子学生が、30歳も歳の離れている、雑誌「LEON」から抜け出してきたような大学教授の「ちょいワルじじい」に惚れてしまうが、女が真剣になるにつれ、老いた男が引いてしまうというよくある話がテーマの映画。パーティで教え子を口説く場面のBGMに流れていたのは、ストーリーを予感させるような「マデリン・ペルー」が歌う「レナード・コーエン」の「Dance Me To The End Of Love (哀しみのダンス)」(ブログ参照だった。 

エレジー デラックス版 [DVD]

ジェネオン・ユニバーサル


「哀しみのダンス」を始め、なつかしくレトロな薫りのするエレジーが一杯つまったアルバムは「マデリン・ペルー/ケアレス・ラヴ」。

ケアレス・ラヴ
マデリン・ペルー / / ユニバーサル ミュージック クラシック
ISBN : B000STC6NW
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本家のブルースをご存知でない方には、お分かりいただくために、ブルースが自らの音楽のルーツであるという、「エリック・クラプトン」のブルース・アルバムを参考までにあげておきましょう。あの「Tears in Heaven」が収録された大ヒットアルバム「アンプラグド/Unplugged」の2年後にリリースされた、全曲ブルースのカバーで占められたルーツ回帰アルバムが「From The Cradle (ゆりかごから)」である。渋い円熟の演奏が光るブルージーなサウンド。「ミスター・スローハンド」とよばれ、全世界のロック・ギタリストが憧れるクラプトンのギター芸、技の本領発揮のアルバムである。

フロム・ザ・クレイドル

エリック・クラプトン / ダブリューイーエー・ジャパン


そして、クラプトンが敬愛するブルースの巨人、ブルースのレジェンド(伝説)、「B.B.King」とコラボした「Riding With The King」。シンプルな録音で、向かって右にKing、左にClapton。リラックスした雰囲気の中で、温かい親密感が生まれ、2人が小部屋で向かい合いながら、楽しんで演奏しているように聴こえる。まるでシカゴのブルース・ハウスにでもいるようなノリに包まれる。

ライディン・ウィズ・ザ・キング

B.B.キング&エリック・クラプトン / ワーナーミュージック・ジャパン

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