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猪名川に沿って

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絶好のウォーキング日和。久し振りに兵庫県と大阪府の境を流れる猪名川の河川敷に沿って歩いてみた。猪名川は、丹波高地の大野山(兵庫県川辺郡猪名川町)に源を発し、大阪国際(伊丹)空港の西側をかすめて神崎川と合流、大阪湾に流れ込む全長43.2 kmの川である。かっては、夏は遊泳や冬の凍った川でスケートなどが楽しめ、また河原で友禅を洗う風景も見られたというが、やがて特に下流域での水質汚濁が激しくなり、そんな姿も見られなくなっていった。たしか全国でもワーストのランクに入っていたのではないだろうか。しかし、行政や関係者の努力でかなり改善されてきたと聞く。最近では、河川敷も整備がされていて、水辺りまで市民に開放されている。

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飛び石状に作られた堰を渡って、対岸へ渡り、ウォーキングを開始。何箇所か設けられているこのタイプの堰は、水を完全に堰き止めるのではなく、飛び石の間に川は流れているので、専門的なことはよく分からないが、魚類の生息にもいいような気はする。この飛び石づたいに川を渡る、これが以外なことに自由な開放感があって大変爽快である。「水に近づく」ということは危険である反面、人間の根源的なところに快感や刺激を与える何かがあるのかもしれない。

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「ビッグハープ」と名づけられた高速道路の美しい吊り橋の下では、釣り糸をたれて鯉を釣るおじさんの姿。聞けば90cmクラスの大物が釣れるという。毎日のようにここで鯉を釣ることを楽しみにしているそうで、何回か大物も釣ったことがあるが、いずれも放流したという。また、週末土曜日とあって、河原にはBBQ(バーベキュー)を楽しもうという若者や家族連れが多く見られた。「BBQ禁止」の看板がなかったところを見ると、利用する市民の側もちゃんとルールやマナーを守っているのであろう。市民の自覚や協力なくして、水辺のいい環境も、憩う自由も得ることはできないのである。

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そして水質の浄化が進んできた証拠なのか、多くの水鳥たちが餌を探したり、泳いでいる。そのなかでも、ただ一羽、超然と佇んで、川面を見つめる鷺(さぎ)の姿が大変印象的であった。
猪名川を渡る阪急電車の鉄橋付近まで歩いてくると、そこの河原にはコスモスがいっぱい咲き乱れている。もうすこし秋が深まれば、水辺りであそぶ子供達の姿もめっきり減ってしまうのであろうが、今は暖かな日差しの中で、堤防に腰をおろし、水面にきらめく太陽の陽の光に眼を細め、子供達の歓声を聞きながら、しばしの休息をとった。

マリー・ラフォレのステージの音楽監督や数々の映画音楽を手がけ、それなりの地位を築いたのに、一転アマゾンのジャングルで原住民と暮らし、音楽的啓示を受けたアーティストがいる。ブラジル出身のギタリストでピアニストの「エグベルト・ジスモンチ/Egberto Gismonti」。猪名川のきらめく水面を見ながらふと思い出した。盲目の信仰、鋭いナイフ、孤独の舞い・・といった曲のタイトルからも感じられるように、アコースティックなサウンドがアマゾンの密林に根ざした原住民の原始の宗教、祈り、あるいは讃歌といったものを感じさせる。

輝く水

エグベルト・ジスモンチ / ユニバーサル ミュージック クラシック


   (つづく)

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