今週は雨模様になりそうだという天気予報 ・・・。朝の空模様を見て、少し早いかもしれないが、早めの紅葉狩りに行こうと決めた。梅ヶ畑・平岡八幡宮の「花の天井」と椿、高雄・神護寺あたりと大原野・勝持寺の紅葉とすこし欲張った紅葉ドライブを企画。我が家から色づいた止々呂美(とどろみ)渓谷を抜け、丹波・亀岡へ、そして京都縦貫道で京都市内へと戻り、五条天神川から北へ上り、仁和寺のある双ケ岡を見ながら、京北、小浜へと通じる周山街道を走れば、すぐに梅ヶ畑・平岡八幡宮に着く。我が家より1時間半ほどの行程である。

(写真;平岡八幡宮の花天井。撮影禁止のため京都新聞記事より拝借)
梅ヶ畑・平岡八幡宮。山城国、京都最古の八幡宮である。創建は石清水八幡宮より古く、弘法大師により、大同4年(809年)、12月10日に創建された。従って、ことしは弘法大師創建1200年を迎える。御神体は、弘法大師直筆の僧形八幡神像。室町時代、応永14年(1407年)火災により焼失したが、時の将軍足利義満によって、直ちに再建されたという。さて、お目当ては毎年、春と秋に公開されている「花の天井」。拝観希望を受付で伝えると、もったいなくも宮司さんが自ら案内、解説してくれる。本殿の内陣天井に描かれた「花の天井」は、極彩花絵で44面。説明書によると、江戸末期、1827年(文政10年)画工「綾戸鐘次郎藤原之信」により、神殿天井に描かれたものだという。宮司さんの解説によると、室町にあった義満の御所が「花の御所」と呼ばれたこと、日本に自生せず、義満の「植物のコレクション」にあったと思われる「葡萄」などが描かれていることから、義満再建時から描かれていた可能性もあるとのことでした。いすれにしても岩絵の具で描かれた極彩色の花の鮮やかさ、華麗さには眼を見張った。観ているのは私たち夫婦のみ、さほど広くはない神殿で、静かに天井を見上げていると心が自然に平穏へと導かれるような感じがした。
(写真;境内で一輪だけいち早く咲いた白玉椿)
参道の紅葉も美しいが、この地が「梅ケ畑」と呼ばれるように、平岡八幡宮は椿と梅の名所。神殿内の鴨居には紅白梅と紅白椿が描かれている。境内には、樹齢200年以上の紅椿、樹齢150年以上の白椿の老木のほか、今も多くの椿が自生している。椿は平安時代より長寿、招福、吉兆、春を告げる「神の木」とされ、昔は白い椿は全て「白玉」と呼ばれたという。この宮は絵馬ならぬ絵椿によって願いを奉納する。椿に願い事をしたところ、白玉椿が一夜で開花し、願いが成就したという故事、「白玉椿伝説」によるという。
ことしは暖かかったためか、白玉椿はいち早く開花し、他の椿はもう数日で開花しそうなほど、つぼみが膨らんでいた。
そして、高雄・神護寺、栂尾・高山寺あたりの見事な紅葉、紅葉トンネルをゆっくりと走りながら、車を北山へと走らせた。すっくと幾重にも重なって立つ杉木立の山、そのすそを彩る真っ赤な紅葉。ヘリンボーン(杉綾織)と綾錦が見事に調和している。トンネルができたため、かっての静けさを取り戻した北山杉の村、中川地区を通り抜ける。その家屋やずらりと並んだ見事な床柱の列などに、古き日本の山村の佇まいや、連綿とつたわって来ている暮らしを感じさせる、こんな風景が私は好きである。川端康成の「古都」の文学碑まで行ってUターンをし、高雄まで戻り、街道筋の茶店で昼食に「にしんそば」と「紅葉のてんぷら」を食す。日本海から周山街道など通って運ばれた鰊(にしん)と、多分丹波、越前(福井)あたりで産する蕎麦とを組み合わせた古くからの京都名物「にしんそば」をすすると、歴史が腹に入る思いがする。
さあ、長岡京に程近い西京区大原野は花の寺、「勝持寺(しょうじじ)」へと参ろうか。この寺は、4月のブログ「櫻狂い(1) ~西行櫻~」でも取り上げた、あの「西行櫻」のある寺。桜の季節に訪れたときから、この寺の紅葉を想像し、秋には参ろうと決めていた寺である。果たして、期待を裏切らず、最高の紅葉を堪能できた。小さなくぐり門を抜けると、赤一色の世界。一瞬絶句するほどの美しさ。我々の他には訪れている人もなく、この静謐な空間を独占する贅沢。赤一色の中で時間が止まっているなと感じるほどの至福の時であった。
眼施、眼福。今日は、贅沢で素晴らしい遠足の一日であった。この日ばかりは、日本に生まれた幸せ、関西に住んでいる幸せを本当に実感、感謝せざるを得ない。
「花の天井」を観ていて橋口亮輔監督、映画「ぐるりのこと」の一シーンが眼に浮かんだ。監督、脚本家は平岡八幡宮の「花の天井」を観たのかも知れない。中絶手術で子供を失くしたことで心を病んだ女性が、小さなお寺の庫裏の天井画の依頼を受け、完成した天井画を夫婦二人で寝転んで見上げている。自然と握り合った手が、壊れかかっていた夫婦の絆や平穏な生活を取り戻していく・・・。「決して離れない」1組の夫婦の10年を描いた、珠玉のラブストーリー、「おくりびと」と並ぶ2008年の日本映画の佳作である。
VAP,INC(VAP)(D)
高雄の紅葉、そのゴージャスさには、鬼才「デオダード」が似合うかもしれない。ガーシュイン、ブラスロック、クラシック、ボサノバ、エレクトリックJAZZなど、CTIフュージョン・サウンドの魅力がてんこ盛り。ラストのガーシュイン作曲の「ラプソディー・イン・ブルー」の疾走感が最高。このアルバムがリリースされたのは、1973年30歳。その鬼才ぶりで、音楽ファンを「あっ」といわせた、美青年デオダートも66歳を超えた。
エミール・デオダート / キングレコード


