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もう一つの20年 ~Herr.Sommer の思い出~

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P1030575東西ドイツを隔てていた冷戦の象徴、ベルリンの壁が崩壊してから9日で20年たったとNEWSが報じている。「ベルリンの壁」と聞くと、思い出す人がいる。ソマーさんである。私が西ドイツ・ハイデルベルグの街に技術導入のため、出張したのは、1978年5月、32歳の時であった。今から31年前のまだ冷戦の時代、ちょうど成田空港の開港直前で、羽田からアンカレッジ経由でヨーロッパへ飛び立った。(参照欧州JAZZY紀行(1) ~ハイデルベルグ わがプロジェクトX~」 

 そのときの相手会社の渉外の担当者がソマーさんであった。たしか私より10歳くらい年長で、黒ぶちめがねで温和な人柄のドイツ人。当時は、FAXも携帯電話もインターネットない時代、遠い極東からはるばる来た私を親身になってサポートしてくれた。趣味はガーデニングと家作り。ドイツでは自分で家を立てることが可能なそうで、自ら整地をしている建築予定地に案内してもらったことをおぼえている。こちらも気兼ねをして、分断された東西ドイツの話題には触れないようにしていたのだが、コミュニケーションを重ね、だんだん親しくなるうちに、ある時、酒場でビールを飲んでいる時に、自然とその話題になった。

東西ドイツの国境地帯には、鉄条網で囲まれた緩衝帯が設けられ、地雷が埋まっているという。夜になると、巣穴から這い出してきたウサギが地雷に触れ、爆発する音が、まるで花火か爆竹のように、夜空に響くそうである。なんとも悲しくて残酷なファンタジーのような話であった。そしてさらに、こんなことをポツリともらしたのだ。「実は、東ベルリンから西ベルリンに脱出してきた。その脱出に関わった人が、まだ東側で暮しているので、詳しくは話せないのだが・・・」と。そのときばかりはあの温和な表情のソマーさんの顔が一瞬厳しくなったのを覚えている。

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そんな話を聞きながら、島国日本で育ったので、それまでは国境なんて意識していなかった私も欧州へ出張してみて、国境の持つ意味、東西冷戦の実態がすこし理解できるようになったのだ。そういえば、こんなこともあった。相手会社の社員達何人かと、フランスはストラスブール近くにあるオーバーナイという小さな村にある子会社の工場を、レクリエーションをかねて訪問しようということになり、私はソマーさん家族の車に乗ってフランスへと向かった。 シュバルツ・バルド(黒い森)を抜け、独仏国境へさしかかったが、フランス側で私の入国許可が出ない。国境で足止めを食らったのだ。当時、日本赤軍が欧州でも活発に活動しており、この検問所をとおる日本人は珍しかったため、パリの本庁へ私の身許の確認を行っていたらしい。1時間ほどの足止めで無事入国許可が出たのは言うまでもないが・・・。

ソマーさんは今はどうしているのだろうか。転職したとのうわさを大分前に聞いたことがある。あの出張から11年後のベルリンの壁の崩壊を聞いたときも、それからさらに20年たった今も、あのとき一瞬見せたソマーさんの厳しい表情が眼に浮かんだ。

2007年アカデミー賞外国語映画賞を受賞した第一級のサスペンス映画は、「善き人のためのソナタ」。舞台は東ベルリン、時は1984年。反体制派の劇作家と女優を監視する国家保安省シュタージのゲルド・ヴィースラー大尉。反体制的であるという証拠を掴むため監視を始めるが、次第に彼らの世界に魅入られていく…。 ベルリンの壁崩壊前の東独における自由への希求と弾圧と人間性を描いたヒューマンドラマでもある。

善き人のためのソナタ スタンダード・エディション [DVD] アルバトロス

 

007ジェームズ・ボンドのようなスーパーマン的スパイ活劇ではなく、冷戦時代下のリアルなスパイを描いて圧倒的な人気を得た作家が「ジョン・ル・カレ」。その後のシリアスなスパイ像を描いた先駆け的な作品となったのが「寒い国から帰ってきたスパイ」。英国におけるミステリーの頂点、「CWA(英国推理作家協会)賞」の’63年度、ゴールド・ダガー賞(最優秀長編賞)と、アメリカにおけるミステリーの最高峰、「MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞」の両方を受賞したスパイ小説の金字塔。

 寒い国から帰ってきたスパイ (ハヤカワ文庫 NV 174) ジョン・ル・カレ / 早川書房

 

寒い国から来たJAZZマン、かっての共産圏出身のJAZZアーティストの活躍も最近目覚しい。かの澤野工房が発掘した、ロバート・ラカトシュ、ウラジミール・シャフラノフ、ティティアン・ヨーストなどがその代表である。旧東側のJAZZアーティストの先駆者的存在であるシャフラノフが一躍日本で有名になったアルバムをあげておこう。ウラジミール・シャフラノフ(Vladimir Shafranov)。ロシア生まれであるが、現在フィンランドに住まいを持っての悠々の活動を展開している。その幻の名盤といわれたアルバムを復刻したのが「White Nights」。全体的には、落ち着いたやや地味な印象ではあるが、タイトル曲の「White Nights」はその透明感といい、哀愁といい、際立っている。

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White Nights/Vladimir Shafranov
 

 

 

 

  

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