JAZZYな生活

プレミアムエイジ ジョインブログ

情熱のJAZZヴァイオリン ~寺井尚子カルテット~

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恒例の兵庫県立芸術文化センターでの「X’masJAZZフェスティバル2009」、5日間がスタートしました。「寺井尚子」、「パオロ・ディ・サバティーノ」、「与世山澄子&辛島文雄」、「峰厚介」、「北村英治&アロージャズオーケストラ」の5ステージ。どれにしようかとずいぶん迷ったのですが、今年は妻も楽しめるステージとして、「寺井尚子カルテット」を選びました。クリスマス・イルミネーションも美しい県立芸術文化センター・中ホール。いつものJAZZコンサートより、少し観客の年齢層も若く、女性のお客さんが多い印象。例年、ドライバーの私にとっては残念至極であるが、酒造メーカー「白鶴酒造」がスポンサーなので、ホワイエでは大吟醸の振舞い酒も・・・。

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「寺井尚子」。日本におけるJAZZヴァイオリンの先駆者で第一人者。小柄で華奢で、一見、良家のお嬢さん風の彼女が、ひとたびヴァイオリンを手にすると、アグレッシヴで鋭いJAZZプレイヤーに変身する。しかもアグレッシヴな面だけではなく、繊細で、優雅で、芳醇な香りに満ちた演奏も聞かせてくれる。柔剛両面、その際立った鮮やかな落差はすばらしいの一言。軽やかにステップを踏み、体をくねらせ、髪を揺らしながら演奏する様は、まさしく女性アーティストならではの絵になるステージ。今夜のコンサートで演奏した「La Fiesta」、「Libertango」でみせた、弓の毛 (Hair)を何本か切りながらのパッショネイトな熱演を剛とすれば、「Johnny Guitar」、「Autumn Leaves」でみせた繊細、華麗なる演奏は柔、観客はすっかり魅了されていた。しかもアンコール曲、4曲もの大サービスで、勿論、奥さん大満足。

 【 演奏曲目 】
 1. Tango Pour Claude 2. Autumn Leaves  3. Minor Swing  4. Do You Know What
  It Means Miss New Orleans  5. Stardust  6. Sometime Ago ~ La Fiesta
      (休憩)
 7. Happy Dixieland  8. Johnny Guitar  9. Samba de Orfeu  
 10. It Don’t Mean A Thing 11. White Christmas 12. Libertango
 <アンコール>
 13. Lonely Christmas  14. Venus  15. Armando’s Rhumba  16. When You Wish Upon A Star

   寺井尚子(ヴァイオリン) 北島直樹(ピアノ) 店網邦雄(ベース) 中沢剛(ドラムス) 

さあ、数ある彼女のアルバムのなかから一枚選ぶとすれば、ビアゾラの「リベルタンゴ(自由のタンゴ)」が収録されている「オール・フォー・ユー」か。デビューして瞬く間に、寺井尚子はアグレッシヴな面に、恐ろしく磨きがかかり、劇的な成長を遂げた。その寺井が、初の自己プロデュースで、情熱のすべてを注ぎ込んで完成させたアルバムが「オール・フォー・ユー」。このアルバムで、日本における「JAZZヴァイオリン」というジャンル、「寺井尚子」というブランドを確立させたといって過言ではない。アコーディオンの鬼才リシャール・ガリアーノが2曲「リベルタンゴ」「マルゴーのワルツ」に特別参加しているが、2人のコンビネーションも見事。

 


オール・フォー・ユー  寺井尚子 宮野弘紀 奥山勝 沖田達也 藤井摂 石崎忍 リシャール・ガリアーノビデオアーツ・ミュージック

もう一枚、コンサートの感じを少しでも味わってもらうためにアルバム「ライブ」をあげておこう。



ライヴ  寺井尚子 / ビデオアーツ・ミュージック

そして、白熱のライブ演奏「ラ・クンパルシータ」のYOUTUBEはこちら
 

 

 

60歳過ぎたら聴きたい歌(49) ~卒業写真~

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意を決して、夥しい数の写真の整理を始めた。写真は、結婚以来の家族の歴史であり、証言であり、記録である。洋服箱に2箱分以上あった。結婚以前や会社の私の個人分は別にしてである。撮りっぱなしで、整理もせず溜め込んだ結果がこれだけの数になってしまったのだ。時系列や思い出の出来事ごとにちゃんと整理できるような数ではない。仕方がないので、片っ端からフォトアルバムに詰め込んでいるが、2日かかってもまだ終わらないのだ。横目で見ながら整理しているうちに、もう殆ど忘れてしまってた行事やお出かけやイベントが甦ってきて手が止まるからである。こんなにもたくさんの家族の歴史があったのだ。たしかに我が家族の歴史であるが、もう殆ど忘れてしまってたものもある、これだけの量の歴史を、家族全体で「思い出」として、果たして共有できているのだろうか? 

 

家族それぞれの歴史として何回も出てくるのは、定番の卒業写真。そのおきまりの構図の写真に鮮やかな思いを甦らせた歌がある。教科書にも載っているという代表的な卒業ソング「卒業写真」。荒井(松任谷)由実のヒット曲の一つで作詞・作曲も本人による。「卒業写真」は、1975年リリースのアルバム『COBALT HOUR』に収録されている歌である。この辺りから、定番の卒業式ソング「仰げば尊し」から、卒業生も在校生も、その思いを共有して歌うことできる新しい「卒業式ソング」に変わって行ったのではないだろうか。

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【 卒業写真 】   作詞作曲;荒井(松任谷)由実

歌詞はこちら。

私のおすすめは、松任谷(荒井)由実のアルバムは、「Sweet,bitter sweet〜YUMING BALLAD BEST」。「松任谷由実」初のバラード・セレクション・アルバムである。荒井由実時代と松任谷由実時代の曲が一緒に収録さているが、このアルバムの選曲の一部は「松任谷由実」のリクエストであるという。なお、松任谷(荒井)由実には、そのアルバム数に比べ、ベスト・アルバムが少ない。数枚であろうか。その理由は、夫である「松任谷正隆」は、「松任谷由実」の全てのベスト・アルバムに反対してきており、本アルバムへの抵抗の意味も込め、プロデュースの欄に名前が載っていないというエピソードもある。レコード会社とアーティストの思惑やポリシーの違いが透けて見える話である。

 


sweet,bitter sweet ~YUMING BALLAD BEST

松任谷由実 Yumi Arai Masataka Matsutoya東芝EMI

 荒井(松任谷)由実による「卒業写真」のYOUTUBEはこちら

この「卒業写真」は多くのシンガーたちにカバーをされているが、熟年の域に達した歌手がカバーする場合が多いようである。「徳永英明」が女性シンガーの歌ったJ-POPSをカバーし、大ヒットした「VOCALIST」にも収録されている。



VOCALIST (通常盤)

徳永英明 / ユニバーサル・シグマ

 徳永英明歌う「卒業写真」のYOUTUBEはこちら。

若手イチオシ。ラテン・テイストが持ち味のJAZZシンガー、「MAYA」がボサノバに乗せて、ポルトガル語で歌う「A Foto De Formatura/卒業写真」もオリジナルとはまた異なる哀愁が感じられて心地よい。



Maya

Maya フェビアン・レザ・パネ 納浩一 岩瀬立飛 キヨシ小林 クリヤ・マコト CECIL MONROEコロムビアミュージックエンタテインメント

こちらは、フランス人歌手「キャロル・セラ/Carole Serrat」が、松任谷由実のナンバーをフランス語で全編カバーしたアルバム「ルージュの伝言+ANNIVERSARY」。最初は1991年10曲入りで「ルージュの伝言」として発売されたが、のちに、他の1枚「ANNIVERSARY」と組合わせたもの。全曲20曲のユーミン・ワールドがフレンチPOPSの感覚で味わえる異色アルバム。。「Photo Souvenir/卒業写真」。

 
GOLDEN☆BEST/キャロル・セラ ルージュの伝言+ANNIVERSARY
キャロル・セラ / Sony Music Direct
ISBN : B0002CHQL2
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60歳過ぎたら聴きたい歌(48) ラヂヲの時代 ~Yesterday Once More~

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(回路図は初歩のラジオ実験室より)

関西のラジオ番組で、この春から、リスナー向けの電話リクエストの窓口が相次いで廃止された。理由はメールやファックスでのリクエストやアクセスが増えたためと、リスナーに対応する電話のオペレーターの経費削減である。高齢者のリスナーからは「寂しい」という声も多く寄せられているようである。この電話リクエスト、略して「電リク」は1952年、ラジオ神戸(現・ラジオ関西)がクリスマスの特別番組で実施したのが、全国初とされる。この双方向性に優れた音楽リクエスト番組は、電話の普及とあわせて、瞬く間に全国に拡がっていったという。60~70年代には各地のラジオ局に並んだ黒電話がひっきりなしに鳴った。しかし、IT技術の進歩による時代の趨勢には勝てず、関西からは電リクは消えてしまったのだ。今はNETで自由に聴きたい音楽を聴ける時代、電話リクエストというニーズそのものもなくなりつつあるのであろう。そんな電リクを東京のニッポン放送では、「リスナーの生の声を聞け、臨場感がある」ということで、逆に日曜朝の番組で復活させたという。

私は、鉱石ラジオからラジオや電気工作に夢中になり、将来技術者になろうと夢見たラジオ少年。中学、高校、大学時代を通じて、多分皆さんと同じように深夜ラジオ、電リクを聴きながら勉強した口である。ラテンからPOPSなど洋楽の曲や歌はすべてラジオで覚えた。気に入った曲やプレイヤーはノートに書いて覚えたので、いまでも当時のヒット曲とプレイヤーの名前はたちどころに出てくる。そして、ラジオ少年の夢はかなって1969年に電機メーカー就職し、大阪で一人暮らしを始めたのが1970年の2月であった。冬のボーナスで、やっとステレオを買うまでは、TVもなくラジオを専ら聴く毎日であった。多分我々世代が、ラジオの音楽番組との付き合いが長い最後の世代であろうか。私は、あの「ラジオの時代」が懐かしくなると、NHK「ラジオ深夜便」にふとダイアルをあわせてみる・・・。

「ラジオ」でなく「ラヂヲ」と書くほうが雰囲気が似合っているようなレトロな思い出の曲もいっぱいある。その代表的な曲は、甘酸っぱさ一杯の美しい曲、カーペンターズの1973年のヒット曲「イエスタデイ・ワンス・モア」である。実際にはLPで聴いていたのだが、その歌詞のせいであろうか、ラジオで聞いていたような錯覚がずっと付きまとっている曲である。カーペンターズの曲は「Sing」などそうであるが、中高校生でも分かるような易しい英語で歌われるため、当時の私の英語力でも十分聴き取れたし、意味も分かったのだった。まだベトナム戦争や大学紛争、70年安保闘争、浅間山荘事件の余震の残る時代。「カーペンターズ」に安らぎや暖かさを求めって行った時代背景も今では懐かしく思えるのだ。

【 Yesterday Once More 】 作詞作曲;Richard Carpenter/John Bettis

「♪ When I was young
   I’d listened to the radio
   Waitin for my favorite songs
   When they played I’d sing along
   It made me smile

   Those were such happy times
   And not so long ago
   How I wondered where they’d gone
   But they’re back again
   Just like a long lost friend
   All the songs I loved so well

   Every sha-la-la-la
   Every wo-wo-wo
   Still shines
   Every shing-a-ling-a-ling
   That they’re starting to sing’s
   So fine

   When they get to the part
   Where he’s breakin’ her heart
   It can really make me cry
   Just like before
   It’s yesterday once more

    ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ♪」

「♪ 私が若かった頃
   お気に入りの曲が流れてくるのを待ちながら
   よくラジオを聴いていたものだわ
   その曲が流れてくると、一緒に歌っては
   楽しい気持ちになれたわ

   そんな幸せなときも
   そんなに昔のことじゃないのに
   あの歌たちはいったいどこへ消えてしまったの
   でも、長い間逢わなかった懐かしい友だちみたいに
   大好きだったあの歌たちが戻ってきてくれた

   「シャ・ラ・ラ~」、「ウォウ・ウォウ」のフレーズの一つ一つは
   いまでも、あの頃のように光り輝いているわ
   あの「シング・ア・リングシング・ア・リング」の歌い出しも
   とっても素敵

   でも、彼が彼女の心を傷つける歌のパートになると
   私は今でも泣きだしてしまう
   まるであの過ぎし日の頃のように
   過ぎ去ったあの懐かしい日よもう一度

    ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ♪」

「カーペンターズ/The Carpenters」の「Now & Then」。オリジナルのLP盤が発売されたのは1973年であった。 ラジオでこの曲を知り、真っ赤なスポーツカーのジャケットにも魅かれ買い、何回も聴いたアルバム。「Sing」、「Yesterday Once More」、「Fun, Fun, Fun」、「Our Day Will Come」 「One Fine Day」 など 時代や世代を越えて、多くの人々に愛され続けている歌が収録されている。



 
Now & Then

The Carpenters / Universal

そしてカーペンターズの歌う、「Yesterday Once More」のYOUTUBEはこちら 

若手イチオシのJAZZボーカルの一人、「平賀マリカ」。前作バカラックの特集に続いて、今回はなんとカーペンターズ特集アルバム。その名曲の数々が、平賀マリカによって新しい息吹を与えられ、蘇る。「スイングジャーナル・ジャズ・ディスク大賞<ボーカル賞>」受賞アルバム。JAZZ的に原曲を崩すのではなく、原曲のメロディラインを活かしながらも、さりげなく盛り込まれているJAZZのセンス、アレンジが光るアルバム。一緒に口ずさむこともできますよ。

Sing Once More~Dear Carpenters~

平賀マリカ / スリーディーシステム

名曲「イエスタデイ・ワンス・モア」。その誕生の秘密、タイトルにまつわる秘密、歌のサビの秘密、原詞にまつわる秘密などを解き明かした、こんな1冊もあるようです。土屋 唯之著 『イエスタデイ・ワンス・モア』の秘密。 

 

『イエスタデイ・ワンス・モア』の秘密

土屋 唯之 / 南雲堂

 

 

 

 

 

一冊の本 ~日米開戦の日に~

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P1030789過日、母のケアで帰省した折、父の本棚に残されていた一冊の本が目についた。題名は「われらかく戦えり」。昭和57年(1982年)10月15日発刊、非売品。500ページを超える厚い本である。なにげなくその目次を辿っていくと、父の名前を見つけたのである。この本は、昭和11年(1936年)9月1日、海軍通信学校に入学し、12年7月29日に第44期普通科電信術練習生教程を卒業した、所謂、海軍少年電信兵、少年航空兵たち50数名の日米戦争開戦から終戦にいたる彼らの従軍手記をまとめた本である。父が海軍通信兵であったことは知っていたが、あまり戦争に関する詳しい話を聞いたことがなかった。この本はそんな父と同期生達の手記であった。競争率4%という狭き門を突破して入学した44期の少年達は598名、その平均年齢は16.8歳だったと記されている。そのうち三百数十名は戦死、もしくは戦争に起因する戦後死没であったことも記されていた。

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(写真;重巡洋艦「愛宕」)

父の記述には、ハワイ奇襲に向かう第1艦隊とは別に、南方方面へ向かう第2艦隊司令部、旗艦愛宕に乗船し、英国戦艦「プリンス・オブ・ウェールズ」、「レパルス」と戦ったマレー沖海戦の模様が記されており、その後、スラバヤ沖海戦、ミッドウェー海戦、南太平洋海戦、ソロモン海戦等、南太平洋における殆どの海戦に参加した後、昭和18年8月に船を降り、横須賀通信学校の電探(レーダー)教員となって終戦を迎えた経歴も記されていた。父が去った後、第2艦隊旗艦「愛宕」は、昭和19年10月22日、ブルネイを出航、レイテ島へ向かう途中、米潜水艦「ダーター」に捕捉され、放たれた6本の魚雷のうち4本が右舷に命中、転覆、沈没した。父の海軍通信学校入学は18歳、23歳で日米開戦、27歳で終戦を迎えたことになる。この本を読むと国家や軍の指導者達の主義主張、イデオロギーや大義とは無関係に、ただただ「祖国のために」と純粋に戦っていた少年達の姿が浮き彫りになってくる。敗戦、占領、軍事的独立を放棄した代償として他国の基地があるがゆえの理不尽、不条理は64年経てもなお続き、新政権になっても解消できそうもない。

もう一冊は、手記を読んだ父の友人が送ってきた私家本で、レーダー技術の発達史を訳した本である。あまり戦争のことは詳しくは語らなかったので、父の戦争観はよくわからないが、日米戦争のハワイ、マレー沖など緒戦における日本の勝利は明らかに巨艦から航空機に戦いの主役が移ったためであり、変化した戦いの勝敗を左右する重要な要因であるレーダー技術開発の彼我の差が、最終的には決定的な結果をもたらしたと語っていたことを思い出した。

終戦の翌年に生まれ、たしかに貧しかったが、文字通り「命を賭ける」という戦争経験もなく、大学受験、ノンポリ、就職、高度成長期、バブル期とその崩壊を経験し、定年を迎えた私が、この本が発刊された時の父親の歳、64歳になろうとしている。父の何を受け継いで何をなしたのか、或いはなすべきなのか。12月8日、日米開戦の日から68年目のこの日に父親の手記を読んでみて、そんなことを考えた。

義父に献じたものと同じJAZZの名曲を、我が父にも献じておこう。ファンキーと呼ばれたJAZZの傑作「ホレス・シルヴァー/Song For My Father」。

 

ソング・フォー・マイ・ファーザー+4

ホレス・シルヴァー / EMIミュージック・ジャパン

 

 

 

おやじのハコものがたり(8) ~夜景だけが美しい街~

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左の写真は、自宅前の道路から紅葉真っ盛りの雑木林を撮ったもの、もう一枚は、ご近所の清和源氏発祥の地、多田神社の山門を撮ったものである。お気付きのように電柱や縦横に走る架空電線が写り込んでいる。せっかくの我が家からのささやかな景観も台無しになってしまっている。昨今は、電力線に加え、電話、光ケーブル、ケーブルTV、有線放送、・・・・ 情報量が増えるにつれ、どんどんと電線量が増えていっているのである。欧州で観光地、住宅地をとわずスナップ写真をずいぶんと撮ったが、電線や電柱がこれほど醜悪に写りこむことは決してなかった。

日本には、豊かな四季、自然、里山、歴史的景観、歴史的建造物など世界に誇れる多くのものがある。また個々の建物をみれば、優れたデザインのものも数多くあるのに、都市単位、街単位で見るとどうして醜悪になってしまうのだろうか。ヨーロッパを旅するたびにいつも感じていたことである。欧米では、良好な住宅環境や街の景観を維持するため、様々な規制を設けることは当たり前となっている。ドイツでは隣家との境界線から各々4mは家の壁を離し、緑地を取ることとなっているし、ミュンヘン郊外の町では、地元産の木材を一定量建物や外壁に使用することが義務付けられているという。米国ニュージャージー州ですら、家のデザインや色は言うに及ばず、パラボラアンテナの設置場所にまで規制があるという。一時話題になった漫画家、楳図某氏の赤白の奇抜な住宅など、欧米では住民が建築を許さないし、そもそも建築許可など下りはしないのだ。かって御堂筋も倣ったパリの市街地における高さ30m規制は有名であるし、歴史的な景観の多い欧州では、市街地といえども、看板、ネオン、ビルのデザインなどに相当の規制があるのは当たり前になっている。とはいえ残念なことに、その代わり近年目立つのはあの意味不明の醜悪としか思えない落書である。ベルリンの壁崩壊以降目立つようになったというが、共産主義崩壊、自由と引き換えに失くしてしまったのが、美しい都市景観、街並みであるのかもしれない。

都市や住宅地の景観を守るには、まず電線の地中埋設化とある程度の規制が必要であろう。建蔽率や容積率だけでは無理で、デザインや建物用途、看板にまで踏み込む必要があると思う。そしてコストの問題。上下水道、ガスは地下埋設なのであるから、電線にしても共同溝などインフラの共用化などをもっと進めれば、何か解決策はあると思う。電力・ガスはエネルギー問題のため経産省、通信は総務省、建物・道路は国交省主管。こんなところにも、主管官庁毎の縦割り行政が、日本の都市景観のグランドデザイン化を明らかに阻害しているのである。電線の地中化などは、今の日本の経済状況では予算などつくはずもないだろう。しかし耐震化などのように、規制が需要を生む例もある。景観を守るための規制は、裾野の広い内需拡大につながる効果があるのではなかろうか・・。 

省エネなどはどこ吹く風、事実上野放しである電飾、ネオン、ライト・アップはますます無秩序に増えていく。そして12月はXmasのイルミネーションや光のイベントがさらに拍車をかける。かくして、日本の大都市とその近郊は、アジアの各都市と同じように「夜景だけが美しい街」へと化していくのだ。 

「チャーリー・ヘイデン/Charlie Haden」と「ケニー・バロン/Kenny Barron」のベースとピアノのデュオの名盤「ナイト・イン・ザ・シティ/Night And The City」。都市へのチャーリーの想い。ブロードウェイ近くのJAZZクラブ「イリジウム」でのライブ録音である。聴いているだけでマンハッタンの夜景が目の前に現れてくるような、そして、そこで暮らす人間の営みに想いが自然と馳せるようなすばらしいアルバム。とにかくバロンの宝石のようなピアノのタッチには魅了される。

ナイト・イン・ザ・シティ
チャーリー・ヘイデン ケニー・バロン / ユニバーサルクラシック
ISBN : B00005FKHX
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バリトン・サックスで豪快なソロで有名になった「ジェリー・マリガン」だが、ここで繰りひろげるスマートで上品な夜のイメージ。ボサノヴァ曲「カーニヴァルの朝」、ショパンのクラシック曲「プレリュード:ホ短調」、それにスタンダード。イージーリスニング的だけど、イージーリスニングとはひと味違う極上のジャズ。なんと冒頭のタイトル曲ではピアノを弾いているのだ。

 

Night Lights

Gerry Mulligan / Verve

 

 

 

 

 

 

合点がゆかぬ話・・・

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この不況下における収入激減で組んでいた住宅ローンが払えず、また住宅を売ろうとしても売価が購入価格を大きく下回るため、困っているサラリーマンが増えているという。例えば3000万円のマンション物件をローンで購入したが、売却価格は1500万円にしかならないということである。私は金融や不動産のことは門外漢であるし、今までは別段そのようなことを不思議にも思わなかったが、よく考えてみると、この話はちょっとおかしい気がする。3000万円のローンを組んだ時点で、銀行はその物件の担保価値を3000万円と査定して、リスクも当然見込んで融資したはずである。従って、3000万円で売れなければおかしいのである。もし、1500万円でしか売れないなら担保価値は1500万円に査定しなくてはならないはず。したがって、売れなければ、3000万円で、銀行はその物件を引き取る義務があると思うのだが ・・・。このことは、住宅ローン以外の、例えば事業主が銀行から借金する時の担保のことを考えてみれば、すぐ分かると思うのだが、私の考え方は間違っているのだろうか? 例の一時マスコミで大騒ぎともなり、国会も通った亀井金融担当相の返済猶予(モラトリアム)法案でも、盛り込まれてはいないようである。何らかの理由で住宅を売却しなくてはならなくなった時、担保価値で売れない場合、その価格で銀行が引き取ることを義務付けたほうが、借金の先延ばしなどよりよっぽどありがたいし、効果があると思うのだが・・。
この国では、バブルがはじけて20年近く経った今でも、土地本位制、住宅は大型耐久消費財でしかないことが、このことからもよく分かる。

「セクシーボーカルは?」と問えば、上位に必ずあがってくるこの人、「ジュリー・ロンドン」。JAZZ好き、洋楽好きのオールドファンなら誰でも聴きたくなるようなスタンダード曲満載のベスト盤から、「家へおいでよ/Come On-A My House」。といっても、バブルがはじけてしばらくたった頃購入したあばら家ですが・・・。



ベスト  ジュリー・ロンドン / EMIミュージック・ジャパン

60歳過ぎたら聴きたい歌(47) ~Tom Traubert’s Blues~

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たまたまつけたTVから、聞けばすぐわかる特長のあるしゃがれた歌声が流れてきた。TVドラマ「不毛地帯」のエンディングに流れている「トム・ウェイツ/Tom Waits」の「トム・トルバーツ・ブルース」である。1970~80年代「酔いどれ詩人」の異名をとり、独特のしゃがれたかすれ声、ジャズ的なピアノ演奏、しがない人々の心情をユーモラスに描きながらも温かい視線で見つめる歌詞世界で多くの若者に影響を与えたシンガー・ソングライターである。「ジョニ・ミッチェル」とならんで、その昔よく聴いた思い出の青春アーティストの一人である。

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「不毛地帯」の作者は「山崎豊子」。彼女の作品「白い巨塔」、「華麗なる一族」、「不毛地帯」、「二つの祖国」、「大地の子」、「沈まぬ太陽」など社会派大河小説に熱中したこともある。「不毛地帯」の主人公壱岐正は伊藤忠商事会長であった瀬島龍三(1911‐2007)氏がモデルとされている。「不毛地帯」のTVドラマは観ていないのでコメントできないが、「沈まぬ太陽」の映画は観た。今、経営の危機に瀕している「日本航空」がモデルであり、その社員で理不尽な懲罰人事を受ける、渡辺謙演ずるところの主人公「恩地元」は、元日本航空労働組合委員長・小倉寛太郎氏がモデル。山崎氏は小倉氏を千数百時間取材し、多数の関係者の取材を基に小説的に再構築したという。95~99年週刊新潮に連載されたが、JAL経営陣は「見方が偏っている」と反発し、週刊新潮を機内に置かないようした。映画のエンディングのクレジットにもJALの文字がまったく見当たらなかったところをみると、映画化に際してもまったく協力しなかったことが分かる。映画は3時間半の力作には違いなかったが、いかんせん原作の圧倒的迫力、説得力には、残念ながら到達していない。あれほどの懲罰的人事を受けながら、何故会社を辞めないのかがまったく描けていない。私でさえそう思うのだから、若い世代の人はもっと理解に苦しむであろう。むしろ、出世のために変節してゆく「三浦友和」演ずる「行天四郎」の方が理解できるし、その演技力も際立っていた。

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さて、「トム・ウェイツ」の「Tom Traubert’s Blues」であるが、社会の底辺で呑んだくれて生きている男へ共感をこめて歌った曲である。彼が初めて全米アルバム・チャートのトップ100にランクインしたアルバム、「Small Change」(1976年)に収録されている。リリース時27歳。この老成した雰囲気と醒めた声はなんと言ったらいいのか。このアルバムが彼の中で、もっともJAZZ色の強いアルバムではないだろうか。長い間聴くことはなかったが、改めて聴いてみてその声や歌詞世界の魅力を再認識した。この歌は、大変長い歌詞で6分40秒もあるので、最初の1節だけを紹介しておきます。訳は手抜きをして、雰囲気が一番出ているanengagemanさんの訳の一部を借用して載せておきます。(全歌詞、全訳はこちらを参照ください) 今の時代でもまったく色褪せない雰囲気を持つこの曲をドラマ「不毛地帯」のエンディングに選んだプロデューサーのセンスに感心します。

【 Tom Traubert’s Blues 】  作詞作曲;Tom Waits

「♪ Wasted and wounded, it ain’t what the moon did
   Got what I paid for now
   See ya tomorrow, hey Frank can I borrow
   A couple of bucks from you?
   To go waltzing Matilda, waltzing Matilda
   You’ll go a waltzing Matilda with me
    ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

   疲れ果てて傷ついてしまった
   でも、それは月のせいではないんだ
   今になって昔の報いを受けてるだけさ
   やあ、また明日会おうよ、ヘイ、フランク金を貸してくれないか
   2、3ドルでいいんだ
   ワルチング・マチルダさ
   お前もいっしょに俺とワルチング・マチルダに行こうぜ
    ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・     ♪」

注)ワルチング・マチルダ:放浪者が羊泥棒を働いて追いつめられて自殺するというストーリーの歌。ここでは多分酒場の名前。

スモール・チェンジ

トム・ウェイツ / イーストウエスト・ジャパン

YouTube画像はこちら 

トム・ウェイツ(Tom Waits/1949-)は、カリフォルニア出身のシンガーソングライター・俳優。1973年にレコード・デビューし、「酔いどれ詩人」という異名で知られるが、そのデビュー・アルバム「クロージング・タイム/ Closing Time」(1973年)は衝撃のデビュー作であり、第2作「土曜日の夜/The Heart of Saturday Night 」(1974年)を、夜通し酒を飲みながら聴き明かした想い出もある、我が青春のディスコグラフィティといってもいいアルバムである。


クロージング・タイム

トム・ウェイツ / Warner Music Japan =music=

 

 

 

 

犬も喰わない話

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11月22日にちなんで、日本全国の夫婦6559人からアンケート回答を得た結果が載っていました。題して「日本の夫婦スタンダード/夫婦喧嘩編」。リビング新聞よりその一部を抜粋してみます。

Q;あなたは夫婦喧嘩をしますか? 
⇒ A;「ケンカを殆どしない」 夫33.6%、妻30.7%  「よくする・たまにする」 夫64%、妻67%
Q;ケンカのきっかけは?
⇒ A;「夫の生活態度」 夫62%、妻66%  「夫の性格」 夫50%、妻57%  「先に怒るのは妻」 夫56%、妻60%
Q;イラッとすることはどのくらいの頻度でありますか?
⇒ A;「ほぼ毎日」 夫7%、妻23%  「週に1~3回」 夫29%、妻40%  「週に1~3回」 夫40%、妻27%

ほぼ3人に1人はケンカをしないと回答しており、20代から60代以上、どの世代でもケンカの頻度に大きな差はなく、思ったよりもケンカの少ない夫婦関係が見て取れるようです。むしろ面白いのは、ケンカの一歩手前の「イラッ!」とすることは多いようで、63%の妻が週1回以上、23%がほぼ毎日、つまり4人に一人は毎日夫に対して「イラッ!」としているようです。反面、夫のほうは、それぞれ36%、7%にしかすぎないということで、夫の方が鈍感なのか、妻のほうが神経質なのか・・・・。
ちなみに、妻がイラッとくる言葉Best5は、1位「俺は働いている」、2位「言ってくれればやるのに~」、3位「何で怒っているの?」、4位「おかずこれだけ?」、5位「疲れた」・・・だそうです。
つい何気なく言ってしまいそうな言葉。ゆめゆめ禁句なようですぞ、ご同輩。

えっ、「お前は?」かって。11月22日が「いい夫婦の日」なんて、二人ともまったく気がつかなかった、ごく普通にケンカもする夫婦であります・・・。

越路吹雪・内藤法美(古い!)、布袋泰寅・今井美樹のように、夫婦そろって音楽家という例は結構ありますが、夫婦でJAZZるご夫婦アーティストでのお気に入りといえばこの人。奥さんがボーカル、旦那がピアノのマリエル・コーマン&ヨス・ヴァン・ビースト・トリオ。彼らが5年ぶりに新作「SPEAKING OF LOVE」をリリースした。たしか夫婦でのアルバムは3枚目である。サッチモの名曲「What a wonderful world」。スタンダードの「Tea For Two」、マリエルお得意のジョビンのボサノバ「Dindi」。この3枚目も二人の温かい人柄がにじみ出る佳作である。

marier SPEAKING OF LOVE
マリエル・コーマン&ヨス・ヴァン・ビースト・トリオ
澤野工房

 

 

もう一組のご夫婦JAZZアーティスト。「ステイシー・ケント(Vo)+ジム・トムリンソン(Sax)」。「ステイシー・ケント」は、私が最も好きな女性ジャズボーカルの一人ですが、パートナーはテナーサックス奏者の「ジム・トムリンソン」。いつも彼女のアルバムでは、バックで絶妙なサックスを聞かせていますが、彼名義のボサノバ中心のアルバムで、「リリック/The Lyric」がいい。たしか2曲を除いて、ステイシーがボーカルでまさしく「婦唱夫吹」しています。さわやかな印象の好アルバム。

 
The Lyric
Jim Tomlinson / Token
ISBN : B000EHPOTQ
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