
『今日来ていた女連れの客もリクエストはまた「Killing Me Softly With His Song」。この歌ばっかりで、もうやんなっちゃう・・・。』なんて台詞を酒場のシンガーがグチる映画があったが、そのくらいアメリカでは、「口説き歌」として男性客の多くがリクエストするくらいポピュラーな、或いは陳腐な、野暮なといってもいいくらいにヒットしてしまった歌がある。その歌は「ロバータ・フラック/Roberta Flack」うたう「やさしく歌って/Killing Me Softly With His Song」である。「ノーマン・ギンベル/Norman Gimbel」作詞、「チャールズ・フォックス/Charles Fox」作曲の1973年大ヒットしたポピュラーソング。そういえば、ニューオリンズの酒場でもリクエストがはいっていましたねえ・・・。
もともとは、「ロリ・リーバーマン/Lori Lieberman」という女性シンガーが、当時まだ無名だった「ドン・マクリーン」が歌う「Empty Chairs」という曲を、L.A.のクラブで聴いて気に入り、「Killing Me Softly With His Blues」という詩を書いた。これを元に、作詞家のノーマンと作曲家のチャールズが曲に仕上げたのが「Killing Me ・・・」だという。1972年にリリースされたロリのオリジナルはヒットしなかった。しかし、飛行機の機内BGMとして採用されていたこの曲を、「ロバータ・フラック」が偶然聴いて気に入って歌い、皮肉なことに、彼女のバージョンが大ヒットとなった。リリース後4週間で全米1位、1973年2月24日から5週連続でビルボード誌第1位を達成した。ビルボード誌の1973年年間ランキングでは第8位。これにより、ロバータはグラミー賞で最優秀レコード、最優秀楽曲、最優秀女性ボーカルの3部門を受賞した。
ひょっとしたら、この曲、皆さんは「ネスカフェ」のCMソングだと思っているのかもしれない。あの爽やかな感じのCMソングとはかなりちがって、元歌は、内容もかなり哲学的で、すこし官能的な匂いを感じる歌である。この歌を聴いた20代の私は、そのインパクトのあるタイトルに、簡単に参ってしまった。ちょうど私もお年頃、恋や官能への憧れがあった。1973年リリースのこのアルバムは、アフリカ系アメリカ人を感じさせる、こてこてのソウルではなく、ロバータが、情感豊かに歌う軽やかなソウル・アルバム。

やさしく歌って
ロバータ・フラック / Warner Music Japan =music=
「ロバータ・フラック」の歌う「Killing Me Softly With His Song」の画像。
1970年代、「阿川泰子(1951-)」という美人JAZZ歌手が人気を博していたが、もう一方の対極には、歌い方も阿川とはまったく対照的で、容姿もスレンダーで雰囲気のある、いわゆる「いい女」のJAZZ歌手「笠井紀美子(1945-)」がいた。セミヌードのジャケットなども話題となったが、1979年アメリカへ渡り、日本の女性ボーカルとしては、先駆者的な活躍をした。しかし、その後の消息はいつのまにか途絶えた。その「笠井紀美子」が歌うパワフルで、歯切れの良い「Killing Me ・・・」は、1984年リリース「Love Talk」に収録、その後ベスト・アルバムとして1993年にリリースされたアルバム「AS~SBM ベスト・セレクション」に収録されている。

アズ‾SBM ベスト・セレクション
笠井紀美子 / ソニーレコード
笠井紀美子の歌う「やさしく歌って」のYOUTUBEも・・・。
【 Killing Me Softly With His Song 】 作詞;Norman Gimbel 作曲;Charles Fox
「♪ Strumming my pain with his fingers 彼の指で私の傷みを奏でて
Singing my life with his words 彼の言葉で私の人生を歌って
Killing me softly with his song 彼の歌で私をやさしく殺してほしい
Killing me softly with his song 彼の歌で私の息の根を止めてほしい
Telling my whole life with his words 彼の言葉で私の人生のすべてを語って
Killing me softly with his song 彼の歌で私をやさしく殺して
I heard he sang a good song, 彼は素敵な歌を歌うって聞いたの
I heard he had a style 彼には独自のスタイルがあるって
And so I came to see him, だから私はやってきたの
to listen for a while 彼の歌に聴き入るために
And there he was, this young boy, 私の目に映った少年のような彼は
a stranger to my eyes まるでストレンジャーのような人だった
*Strumming my pain with his fingers 彼の指で私の傷みを奏でて
Singing my life with his words 彼の言葉で私の人生を歌って
Killing me softly with his song 彼の歌で私をやさしく殺してほしい
Killing me softly with his song 彼の歌で私の息の根を止めてほしい
Telling my whole life with his words 彼の言葉で私の人生のすべてを語って
Killing me softly with his song 彼の歌で私をやさしく殺して
I felt all flushed with fever, 私は全身がまっ赤くなるのを感じた
embarassed by the crowd 周りの人にずかしいほど
I felt he’d found my letters 私からの手紙を彼が見つけて
and read each one out loud それを大声で読んでいる様に思えたから
I prayed that he would finish, 「はやく読み終えて」と祈ったけれど
but he just kept right on 彼は読み続けたの
* くりかえし
He sang as if he knew me 彼は、歌った、暗い絶望に沈んでいた
in all my dark despair 私のことを知っているかのように
And then he looked right through me そして私のほうをまっすぐ見つめた
as if I wasn’t there まるで私がそこに存在しないかのように
But he was there, this stranger, しかし彼は歌い続けていた
singing clear and loud 力強く澄みきった声で
* くりかえし ♪ 」
確か、ニューオリンズのバーボン・ストリートにあった、少し過激な女性のランジェリー専門店、看板には店名が、「Killing Me Softly With Your xxxx」と書いてあった。(注;xxxxのところは各自ご想像ください。) それを見た私は、おもわず大笑いをしてしまったのだ。
それ以来、そのことが頭に残り、私はいまだに、この歌を「口説き歌」として、リクエストする機会を持ちえていません・・・。
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