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消えゆく野生、残る野性

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先だっての梅雨明けの朝、いつもの山遊びのフィールドで、親子連れ4頭の野生の鹿を見かけた。この山に野生の鹿が多くいるということは、あちらこちらにころがっている糞で分かってはいたのだが、私が見たのははじめてであった。今年の春生まれたばかりとおもわれる小鹿2頭を連れ、仲良く芝生をゆっくり横断していった。奈良公園の鹿と違って、この辺の野生の鹿は極めて用心深く、普段は人が近寄らない急峻な崖あたりに潜んでいて、人前に出てくることは滅多にない。それでも、丹波あたりをドライブしていたとき、私の目の前の道路を大きくジャンプして林へと消えていった鹿に驚いたり、無惨にも車と衝突したらしく道路わきで死んでいた鹿を見たこともある。このように私が住んでいる北摂地域は猪や鹿など、まだまだ野生動物が多く住んでいるのである。しかしこの猪や鹿、近年は里山がなくなったためか、里や畑に降りてきて新芽や作物を食い荒らすため、農家にとっては迷惑な存在でいつも問題になっているが、野鳥同様、許可なしには一切捕獲はできない。トキやコウノトリなどのように一端途絶えかけた種を復活するのは容易なことではないからである。野生動物の保護と人間の営みとの共存、両立は永遠に続く課題である。

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いまの住いに引っ越してきた当時は、近所の雑木林やゴルフ場で狸の親子、狐、雉(きじ)などをよく見かけたが最近はめっきり見かけなくなってしまった。それに下水道や水洗便所などが普及したためか、金蝿、銀蝿、ごきぶりも、家では殆ど見なくなった。そして妻がいつも悲鳴を上げていたオオムカデも ・・・ 。そしてあれほど多く光っていた蛍もそうである。通勤帰りの夜、お寺の壁にびっしりとへばりついていて、なんとなくユーモラスで日本の夏を感じさせた「やもり」もいつの間にか見かけなくなってしまった。これも虫が減ったことによる食物連鎖なのであろうか。すこしづつ野生が消えていっているという実感がある。人にとってだけの環境や衛生事情は格段によくなったことの裏返しであろうか。

打ち水、簾、甚平、浴衣、蚊取り線香、今では死語となってしまった蚊帳(かや)なども家庭から消えてしまった。嫌になるほど暑くて、生活の回りに沢山の虫がいた頃の懐かしい日本の夏の風物詩が昔は一杯あった。一時の感傷にすぎないかもしれないが、スーパーの縁日で豚の蚊取り器と金魚の風鈴を買ってきた。もうすっかり夏をのっとられてしまった感のあるクマゼミの「シャワシャワシャワ・・・」という鳴き声がこれからしばらくは続く ・・・ 。

高校時代、感傷をさそう夏の定番曲といえば映画「避暑地の出来事」の主題曲、「夏の日の恋/The Summer Place」と「浪路はるかに/Sail Along Silvery Moon 」が双璧だったように思う。「パーシーフェイス・オーケストラ/Percy Faith Orchestra」、「ビリー・ボーン楽団/Billy Vaughn And His Orchestra」。夏向きのムード・ミュージックなら、この二つのオーケストラがダントツ。夕闇迫る文化祭の野外コンサートでいつもリクエストのトップはこの曲だった。



パーシー・フェイス・オーケストラのすべて  パーシー・フェイス・オーケストラ / ビクターエンタテインメント



ビリー・ヴォーン  ビリー・ボーン / MCAビクター

聴いてみますか? 「夏の日の恋/The Summer Place」。

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そして「浪路はるかに」も。

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