いつものようにウォーキングをしていると「南京黄櫨(なんきんはぜ)」が爆(は)ぜているのに気づいた。あまりめだたない木であるが、注意深く見ると、庭木、街路樹、公園樹として結構植えられている。秋、少し三角のかかった球形でやや青みがかった黒い実、蒴果(さっか)が熟すと、中から白い3個の種子が出てくる。この種子は木から落ちることなく、紅葉期から落葉後まで、いつまでも木にとどまっているので白い星を散らしたように見える。秋が深まるにつれ、そんな光景がこれからウォーキングの道筋でも見ることができるのである。そして、 この種子からは、烏臼油(うきゅうゆ)という油が採れるが、これは、石鹸・蝋燭(ろうそく)の原料、腫物、皮膚病などに効く薬として用いられるようである。ナンキンハゼの名の由来は、ハゼノキの代わりに蝋(ろう)をとる材料として使われるようになった中国原産の木の意味である。
見上げると今日はクリアな月が昇っていた。秋の夜の「名月JAZZシリーズ」の第2弾は、「月と砂/Moon And Sand」。クラシックの作曲家「アレック・ワイルダー/Alec Wilder」と、彼と40年間に渡ってコンビを組んだ作詞家、「ウィリアム・エングヴィック/William Engvick」の1941年の作品。
ワイルダーは、ボストンの銀行家の跡取り息子でありながら、家とは縁を切りニューヨークに飛び出して、音楽の道に進み、クラシックやミュージカルの作曲に一生を捧げた。変人中の変人だったらしく、人付き合いが嫌い、家を持たず、生活もホテル住まい、ずっと独身で気ままな生活を通したらしい。彼と長年のコンビを組み、この曲を作詞したエングヴィックも変わり者だったらしく、ワイルダーの曲にしか詩を付けていないという。
【 Moon And Sand 】 作詞;William Engvick 作曲;Alec Wilder
「♪ Deep is the midnight sea, 真夜中の海は深く、
Warm is the fragrant night, 薫り立つ夜は温い、
Sweet are your lips to me 重ねた君の唇は甘く、
Soft as the moon and sand. 今宵の月や砂と同じほど柔らかい。
Oh, when shall we meet agin? いつまた逢おうか?
When the night has left us 夜が僕らを置き去りしたとしても、
Will the spell remain? この恋の呪文は残っているのかい?
Those waves invade the shore, 浜辺に寄せる波、
Though we may kiss no more これが最後の口づけになったとしても、
Night is at our command, 夜は僕達のもの、
Moon and sand 月も、砂も
And the magic of love. そしてこの恋の魔法も。 ♪」
「チェット・ベイカー/Chet Baker」の死後、製作公開された彼の生涯を描いたドキュメンタリー映画がある。チェットにほれ込んだファッション・カメラマンとしても有名な写真家「ブルース・ウェーバー/Bruce Weber」が私費を投じ、自ら監督・製作したドキュメンタリー映画、「LET’S GET LOST」 (1988年製作、89年公開)である。この映画のサントラで、実質的には最後のスタジオ録音といえるアルバム「Let’S Get Lost」に収められた「Moon And Sand」。録音は1987年。

Let’S Get Lost Chet Baker / RCA Victor Europe
正真正銘の悪(ワル)、「チェット・ベーカー」が歌う「Moon And Sand」。 まるで痺れ薬のようにその毒に酔い痴れてしまうかもしれない。
「ジム・ホール/Jim Hall」と並んで好きなギタリスト「ケニー・バレル/Kenny Burrell」が、リラックスしてムーディーなアコースティック・ギターを奏でる。

ムーン・アンド・サンド ケニー・バレル / ビクターエンタテインメント
