私の山遊びやら、木工、東日本大震災の話などが多くなって、妻の「いもたこなんきん報告」をすっかりサボっていました。
さて、この間、妻は妻で編みぐるみやフィンガー・パペット(指人形)、ぬいぐるみ人形などを猛烈な勢いで作っては、友達やら親戚やらに、最近ではまだ6ヶ月で何も分からない孫にもあげているようです。そのうえ、「忙しい、忙しい」と言い訳のようにいいながら、某「D」社発行の分冊誌「パッチワーク」も購入。できばえはともかく、その創作意欲は一向に衰える気配がありません。大震災復興にも、きっと彼女のような普通のおばさん達が大きなパワーを発揮するんでしょうね。TVで被災地のレポートを見るたびにその思いを強くする。それに比べ、永田町あたりの男達は ・・・ 。
さあ、「My Favarite Things(私のお気に入り)」でも聴いて、元気出しましょうか。被災者の皆さんは、きっと震災で何もかも失って「My Favarite Things」どころではないかもしれないが、形やモノは残っていなくとも、きっと心の中に誰でもそれをもっているに違いないだろう。
ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック/Sound Of Music」の挿入歌で、「リチャード・ロジャース/Richard Rodgers」作曲、「オスカー・ハマーシュタイン二世/Oscar Hammersteinⅱ」作詞の1959年の作品。きっとどなたも一度くらいは聴いたことがあると思われるくらい有名なジャズのスタンダード曲。演奏では、ソプラノサックスでは、これが代表作、歴史的名盤といわれている「ジョン・コルトレーン/John Coltrane」のアルバム「My Favorite Things」(1961)。学生時代よくジャズ喫茶で耳にしたアルバムでもある。
マイ・フェイヴァリット・シングス(+2) ジョン・コルトレーン / Warner Music Japan
上記アルバムには、余計とも思えるが、他に2テイクの「My Favarite Things」が収録されている。メンバーはいずれも、コルトレーンのほか、「マッコイ・タイナー/McCoy Tyner (Piano)」、「スティーヴ・デイヴィス/Steve Davis (Bass)」、「エルヴィン・ジョーンズ/Elvin Jones (Drums)」である。
「My Favorite Things – John Coltrane 」 (貼り付けがちょっと重いようですので、クリックして観てください)
さあ、ちょっと重いコルトレーンの演奏を聴いた後のボーカルは誰にしましょうか? 私が日本女性ジャズシンガーでは最高峰だとと思っている「伊藤君子」なんぞいかがでしょうか? 彼女を意識して注目しだしたのは、「押井守」監督のアニメ映画「イノセンス」の主題歌をタイトル曲にしたアルバム「Follow Me」から。ロドリーゴ作曲の「アランフェス協奏曲第2楽章」に歌詞を付けたものである。その後、彼女の殆どのアルバムを聴くようになったし、コンサートへも行った。1946年7月11日生まれの同じ年という親近感もあったように思う。そして小豆島出身である彼女が、なんと津軽弁でジャズ、「My Favarite Things」を歌っているアルバムがあるのです。「ジャズだが?ジャズだじゃ!~津軽弁ジャズ~」。そして私は彼女のサイン入りのそのCDをもっているのです。
ジャズだが?ジャズだじゃ!~津軽弁ジャズ~ 伊藤君子 / ビデオアーツ・ミュージック
「♪ バラに たもずがる 雨コの雫 (バラにたまった雨の雫)
ちゃっぺのひげコど キガキガの星コ (子猫のヒゲとピカピカの星)
ぬぐだまるてげしと 茶色の袋っコ (温まる手袋と 茶色の紙袋)
みんな私(わ)の大好ぎだもの (皆私の大好きなもの)
めんごい馬(ま)コど 林檎の菓子コ (可愛い仔馬と 林檎のお菓子)
ソリの鈴コど カツレツとスパゲチ (橇の鈴と カツレツとスパゲティ)
まんどろな月コさ 飛ぶ渡り鳥 (まんまるな月に飛んでいく渡り鳥)
これも私(わ)の大好ぎだもの (これも私のお気に入り)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ♪」
(和訳;伊藤君子 津軽弁訳;甲地正幸)
とまあ、こんな具合である。しかし彼女の歌うこの津軽弁が美しくて、素晴らしい。ジャズに津軽弁がこんなによく似合うとは思いもしなかった。そして「大石学」のピアノも、軽やかで、たしかでしかも叙情性を高めて見事である。今聞くべき東北讃歌!こんな美しい言葉をもつ地域の文化や伝統が、今回の大震災で失われることがないようにと願う。
「津軽弁には、ふるさとへの想いを掻き立ててくれるものがある。
ジャズには、遠く輝くものへの憧れを掻き立ててくれるものがある。
そこに私の音楽の旅がある。 (伊藤君子)」