
「リュック・ベッソン/Luc Besson」監督の映画が好きである。「トランスポーター」シリーズや「Taxi」シリーズなど、監督ではなく彼がプロデュースした映画も含めてである。そんな映画の中に、「ニキータ」と並ぶ苛酷な世界での無償の愛を描いたハードボイルド・アクション映画「レオン/Léon」(1994年)がある。ベッソン監督が、ハリウッドで撮った初めての作品である。
悪徳警官に家族を殺され、復讐を誓う12歳の少女「マチルダ」と、彼女を助け、守る殺し屋が「ジャン・レノ/Jean Reno」演ずる「レオン」。本作で「マチルダ」役を演じた「ナタリー・ポートマン/Natalie Portman」は、この映画で一躍脚光を浴びる事となり、その後「ブラックスワン/Black Swan」で今年のアカデミー主演女優賞を受賞したことは、ご存知の通りである。
この映画の主題歌が「スティング/Sting 」の「Shape of My Heart」であった。ラストシーンでこの曲が流れてきたときは、レオンの心情と歌が重なって、思わず目が潤んだ記憶がある。
「♪ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
I know that the spades are the swords of a soldier
I know that the clubs are weapons of war
I know that diamonds mean money for this art
But that’s not the shape of my heart
スペードは戦士の剣
クラブは戦いの武器
ダイヤはこの仕事で得られる金
でもハートは僕のココロではない
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ♪」

荒ぶる心、一途に想う心、そんな男心の模様をどうしても形容できない心情を歌った曲である。こんな歌詞に、すっと感情移入していってしまう時代もあった。私は、この歌をきっかけに「スティング」に興味を持つようになっていったのだ。
「スティング」は、イギリス出身のミュージシャン。1977年に「ポリス/Police」を結成。ベーシスト兼ボーカルとして活躍し、ソロ後は俳優としても評価を高めている。音楽的にはジャズの影響を大きく受け、ジャズ・ミュージシャンを起用した1985年制作のソロアルバム「ブルー・タートルの夢/The Dream Of The Blue Turtles」でジャズへの彼の夢が結実した。
彼のアルバムの中で、傑作と評される評価の高いアルバムは多いが、「Shape of My Heart」が収録されているアルバム「テン・サマナーズ・テイルズ/Ten Summoner’s Tales 」はその中でもひときわ光を放ち、彼の代表作「Fields Of Gold」も収録されており、このアルバムを最高傑作とするファンも多いという。

Ten Summoner’s Tales (Jewel Box) Sting / A&M
「9.11」の当日、「スティング」は、イタリアのトスカーナにある彼の家の中庭でライブ・コンサートをして、それをレコーディングし、同時に全世界へその映像をWEB配信するという計画を立てていた。しかし、その日、ライブの直前にアメリカ同時多発テロが起こった。「スティング」は、いつもはアンコールで歌う、「フラジャイル/Fragile」を最初に演奏し、ただその1曲だけを犠牲者への哀悼曲としてWEB配信をし、その夜のライブは、哀悼ライブとしてのみ続けられたそうである。その日のコンサートのライブ・アルバムが「・・・オール・ディス・タイム」。ジャケットの見開きに「9.11」への彼自身の哀悼の言葉が刻まれている。そしてその日も「Shape of My Heart」は演奏された。

・・・オール・ディス・タイム スティング / ユニバーサル インターナショナル
その「9.11」当日のトスカーナでのライブがYOUTUBEにアップされている。 「Sting – Shape of my Heart」

