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音楽の地平線

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NHK・BSプレミアムに毎週木曜日夜九時放映の「アメイジング・ヴォイス・驚異の歌声」という番組がある。私が時々寄せてもらっているあるブログで教えてもらってから、よく観るようになった番組である。

日本ではまだほとんど知られていないが、世界の各地にある「魂を揺さぶるような歌声」や、メジャーな音楽産業の光がまだ当たっていない歌声を探り当てて、紹介する番組である。これが面白い。今週は、トルコはイスタンブール、なんと5オクターブの声域を自由に歌いこなす男性歌手、拍子がまったく自由で50拍子、60拍子さえもあるというクルド人の民族音楽を歌うクルドの歌姫「アイヌール」などを紹介していた。先週はブルガリアン・ヴォイス、その前は北欧であった。

映像と音質が抜群に良く、デジタル放送のすぐれている点が遺憾なく発揮され、いつもその歌声や音楽の背景あるストーリーに引き込まれてしまい、約1時間、あっという間に過ぎてしまう。MCは「藤井フミヤ」と「元ちとせ」。この番組を見て思うことはただ一つ。世界は広い、音楽の地平線は限りなく広がっているということである。したがって感動も無限の広がりを持っているということであろう。

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この番組を見るきっかけになったブログで紹介されたのは、「Zaz/ザーズ」というフランスの歌手であった。「Zaz ・・・・」、不思議な響きの名前を持つ歌手であるが、彼女の少しざらついているが奥行きのある歌声にすっかり魅了されてしまった。

「ZAZ(本名:Isabel Geffroy・イザベル・ジュフロワ)」は1980年、フランス中部の都市トゥールに生まれ、5歳から音楽の勉強を始めたという。2006年、パリに身を移し、キャバレーで週7日間、夜11時から朝の5時までマイク無しで歌うという厳しい下積みの日々を送り、また同時期には、モンマルトルの路上でも歌い始めた。ハスキー・ヴォイス、ストリート・ミュージシャンということもあり、パリでは徐々に「ZAZはエディット・ピアフの再来か」という噂が広まったという。そして2009年1月、オランピア劇場で行われたシャンソン新人発掘コンテストに優勝し、アルバム・デビューへの道が開かれた。(ライナーノーツより)

そしてデビュー・アルバムのタイトルは、日本盤では「モンマルトルからのラブレター」というタイトルになっているが、オリジナルでは「Zaz」。自分の音楽のスタイルを強く前に出したかったためであろう。そのスタイルは、ヨーロッパの伝統的なJAZZギター奏法である、「ジプシー・スウィング(マヌーシュ・スウィング)奏法」の演奏を中心に、ブルース、フォーク、ジャズなどをベースにしたサウンドである。その多彩さにまず驚かされる。フランスでは20万枚を超える大ヒットになったという。

モンマルトルからのラブレター

ザーズ / リスペクトレコード

最も人気のある曲が、アルバム2曲目の「Je veux (私の欲しいもの)」。「ホテル・リッツのスイートもいらない/シャネルの宝石もいらない/私の欲しいものは愛と楽しさと心地よさだけ ・・・」

「Zaz – Je veux (私の欲しいもの)」

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何年か前に訪れたモンマントル界隈。ジプシー・スイング・スタイルの演奏をしている若いストリート・ミュージシャンを多く見かけたことを思い出す。「Zaz」もそんなミュージシャンの一人であったのだろう。そして、「ジャンゴ・ラインハルト/Django Reinhardt」の魂は、いまもまだ生き続けているのだと思う。
 
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