なんといっても冒険小説はストーリー展開と主人公のキャラ、個性。次々と襲い来る危機を知恵と肉体で乗り越えていくノンストップの疾走感とラストの爽快感。これがたまらないのである。そして登場する拳銃や車、列車、飛行機などの小道具、大道具へのこだわりと薀蓄。まっ、男の読み物でしょうかね。「内藤陳」氏の慧眼に敬意を表し、彼イチオシの「ギャビン・ライアル/Gavin Lyall」の代表作「深夜プラス1(原題;Midnight Plus One)」を再読してみようか ・・・・。
さあ、すこし春めいてきた暖かい日の午後に、男の囁き系、「マイケル・フランクス」の代表的ヒット曲、かの「アントニオ・カルロス・ジョビン/Antônio Carlos Jobim」に捧げた「アントニオの歌/Antonio’s Song」なんぞゆったりと聴いてみるのもいいかもしれません。そして、色々なアーティストがフェイク・ボッサとしてカバーしている「ユーミン」こと「荒井由実/松任谷由実」の名曲「あの日に帰りたい(英語タイトル;Somewhere In The Rain)」も ・・・。
彼女を知ったのは、2ndアルバム「Close Your Eyes」がたまたまTSUTAYA店頭で目にとまり、あまり期待もせずにレンタルして聴いてみたが、これが大当たりであった。久しぶりのハスキー系、ウィスパー系の歌い口にすっかり魅了されてしまったのである。そして、17歳から仏教寺院で尼僧の修行をし、山を下りてからJAZZに目覚めたが、修行中に授かった法名、それが「Woong San(雄山)」であったという彼女の特異な経歴にも興味を覚えた。
1曲目、彼女のオリジナル「クローズ・ユア・アイズ/Close Your Eyes」のハスキーとスイング感の絶妙なマッチングに驚かされる。そして3曲目、ハスキー・ウィスパリングの極み、「マイケル・フランクス/Michael Franks」作詞作曲のカバー「ヴィヴァルディーズ・ソング/Vivaidi’s Song」で、はやくもノックアウトにいたってしまう。日本人の女性JAZZシンガーにありがちな声量の無さをカバーするような「ウィスパリング」ではないのである。
さあ、今回経験したトラブルは思い込み、誤解による店のミステイクであったが、思い込みや誤解は誰しもが日常的に経験すること。しかし好きな相手に自分を誤解されるほど悲しいことはない。そんな想いをバラードに込めて歌ったのは、「ニーナ・シモン/Nina Simone」であった。「悲しき願い/Don’t Let Me Be Misunderstood(どうか私を誤解しないで)」である。「アニマルズ/The Animals」ですっかり有名になったこの曲は、「ニーナ・シモン」が、1964年にオリジナルで最初にレコーディングした曲で、アルバム「ブロードウェイ・ブルース・バラッズ/Broadway-Blues-Ballads」の第一曲目に収められている。翌年1965年に、この曲をR&Bに編曲し直して、「アニマルズ」がカバーし、大ヒットとなった。その後ディスコ全盛時代に「サンタ・エスメラルダ/Santa Esmeralda」がラテンのノリで再び大ヒットさせ、映画「キル・ビル/Kill Bill」でもバックに使われていましたね。
健やかに育ってほしいと願う孫に贈る曲は、「ヨーロピアン・ジャズ・トリオ/Euopian Jazz Trio」の演奏する「ブラームスの子守歌/Lullaby」。コンチネンタル・タンゴ、映画音楽、ジャズ・スタンダードなどをちりばめ、相変わらずのロマンティシズムとノスタルジーの中に、ほどよい官能と哀愁が薫り立つアルバム「夜のタンゴ/Tango Notturno」から。
カナダ出身のシンガー・ソングライター、「ジョニ・ミッチェル/Joni Mitchell」の名を一躍有名にした衝撃的なセカンド・アルバム「青春の光と影/Clouds」(1969年)に「Songs To Aging Children Come」という曲がある。直訳すれば、「年老いていく子供たちの歌が聴こえてくる」という意味であろうか、彼女の歌にはそんな歌が多いのであるが、最初に聴いたころは、かなり哲学的というか、意味不明というか、相当戸惑ったことを覚えている。そして、年老いた今になっても、歌の意味はよく分からないが、いま聴いてみると、不思議な静けさ、哀しみにも似た諦めといった感じが漂う歌である。年老いてしまった今だから、なんとなく親しみや共感を覚える歌なのかもしれない。さて、われわれ年老いた子供たちの歌はどこにある? そしてどう聴こえるのだろうか?
Clouds
Joni Mitchell / Warner Bros / Wea
【 Songs To Aging Children Come 】 作詞、作曲;Joni Mitchell
「♪ Through the windless wells of wonder 不思議という名の滑車のない井戸を通じて
By the throbbing light machine ぶるぶるとうなるエンジンによって
In a tea leaf trance or under マリファナの夢うつつの中で
Orders from the king and queen あるいは王と女王の命令のもとで
Songs to aging children come 年老いていく子供たちの歌が聴こえてくる
Aging children, I am one 年老いていく子供たち、私もその一人
人気コーラス・グループ、「マンハッタン・トランスファー/The Manhattan Transfer」の女性ヴォーカル、「シェリル・ベンティーン」のソロ・デビュー・アルバム、「トーク・オブ・ザ・タウン/Talk Of The Town」。「ケニー・バロン/Kenny Barron(p)」、「ジョン・パティトゥッチ/John Patitucci(b)」、「ルイス・ナッシュ/Lewis Nash(d)」ら、名プレイヤーとのセッションでスタンダードを歌う。
この歌、「ルート66/Route 66」の作詞で知られる「ボビー・トゥループ/Bobby Troup」の手になるが、彼の奥さんであった「ジュリーロンドン/Julie London」のセクシーな歌いぶりも捨てがたい。西海岸を代表する「ジェラルド・ウィルソン・ビッグバンド/the Gerald Wilson Orchestra」のダイナミックなサウンドをバックに、60年代のヒット・ナンバーをセクシーに歌ったアルバムは「フィーリング・グッド/Feeling Good」。
フィーリング・グッド(紙ジャケット仕様)
ジュリー・ロンドン / EMIミュージックジャパン
【 Girl Talk 】 作詞︰Bobby Troup 作曲:Neal Hefti
「♪ We like to chat about 今夜着ていくドレスのことを
The dresses we will wear tonight 話すのが好き
We chew the fat about 髪形とかお隣の喧嘩とか
Our tresses and the neighbors’ fight よく愚痴をこぼすの
Inconsequential things that 男の人なら気にも留めない
Men don’t really care to know 些細なことが
Become essential things that 女性とってはそれはそれは
Girls find so “apropos” 大事で本質的なことなの
But that’s a dame, we’re all the same でもそれが女、私たち女は皆な同じ
It’s just a game, we call it そしてそれはただのゲーム
Girl talk, girl talk 私たちはそれを「ガール・トーク」と呼んでいるわ
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