はやり、この曲でしょうか。日本では「風のささやき/The Windmills Of Your Mind」というタイトルで知られる映画、「華麗なる賭け/The Thomas Crown Affair」(1968 )の主題歌。監督「ノーマン・ジュイソン/Norman Jewison」、主演「スティーブ・マックイーン/Steve McQueen」、「フェイ・ダナウェイ/Faye Dunaway」。犯罪映画ですが、映画館で見たその当時、フレッシュでオシャレな映像に痺れたものです。日本での公開は1968年。主題曲、「風のささやき」は、その年、アカデミー主題歌賞を受賞した。
作曲は、「ミシェル・ルグラン/Michel Legrand」、英語詩の作詞は、「アラン・&マリリン・バーグマン/Alan Bergman and Marilyn Bergman」夫妻。歌い手は、イギリス出身の名優、「レックス・ハリソン/Rex Harrison」の息子の「ノエル・ハリソン/Noel Harrison」。 1999年には、「ピアース・ブロスナン/Pierce Brosnan」主演でリメイクされているが、その時の歌い手は、「スティング/Sting」だった。
【 The Windmills Of Your Mind 】
「♪ Round, like a circle in a spiral 回る、まるで渦巻きの渦のように
Like a wheel within a wheel まるで車輪の輪のように
Never ending or beginning 始まりも終わりもなく
On an ever spinning wheel 回り続ける糸車のように
Like a snowball down a mountain 山を転がって下る雪玉のように
Or a carnival balloon あるいはカーニバルの風船のように
Like a carousel that’s turning くるくる回る回転木馬のように
Running rings around the moon 月の周りにあらわれる暈(かさ)のように
Like a clock whose hands are sweeping 針がくるくる回る時計のように
Past the minutes on its face 時は文字盤の上で進み
And the world is like an apple 世界は宇宙の中で静かに回っている
Whirling silently in space 一個のリンゴのようなもの
Like the circles that you find 君が心に描いている
In the windmills of your mind 風車の輪のように
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Like a circle in a spiral まるで渦巻きの渦のように
Like a wheel within a wheel まるで車輪の輪のように
Never ending or beginning 始まりも終わりもなく
On an ever spinning wheel 回り続ける糸車のように
As the images unwind まるでイメージが解きほぐされるように
Like the circle that you find 君が心に描いている
In the windmills of your mind 風車の輪のように ♪」
多くの歌手がカバーしているし、それぞれ微妙に歌詞が異なるらしいが、今宵はふたりのディーヴァの歌唱を ・・・。
まずは、生まれ故郷、ミネソタ州ミネアポリスを本拠とし、世界中で活躍を続ける女性ヴォーカルで、どんな曲でも自分の世界に作りかえてしまう、「コニー・エヴィンソン/Connie Evingson」。ここではこの歌を、ジプシー・スウィングの世界に染め上げている。一緒にスウィングするのは、「ホット・クラブ・オブ・スウェーデン/The Hot Club of Sweden」。
そしてオランダは、アムステルダム出身の大姉御、「ローラ・フィジィ/Laura Fygi」。旧知の仲の「ミシェル・ルグラン」とのコラボアルバム、「Watch What Happens – When Laula Fygi Meets Michel Legrand」(1997)から。「Et Si Demain」ではふたりのデュエットを披露している。
1972年、トリノ生まれ。ジャズ好きの両親の間に生まれ、17歳から北イタリアのジャズ・クラブで歌い始めたが、18歳で、ジャズ・シンガーとしてのキャリアを築くためミラノに移る。数々の国内フェスティバルやコンペで入賞後、1998年には、活動の拠点をニューヨークに移し、その年の「セロニアス・モンク・インターナショナル・ジャズ・ヴォーカル・コンペティション」で3位に入賞、本格的にジャズ・シンガーとしてのキャリアを歩みだした。「エラ・フィッツジェラルド」のような技巧的なスキャット、「サラ・ヴォーン」のような幅広い音域、「カーメン・マクレー」のような圧倒的声量といった要素を持っているということで、その当時相当期待された新人歌手。デビュー・アルバムはSJゴールド・ディスクにも選定された「Easy to Love」(2006)。
久しぶりの、「60歳過ぎたら聴きたい歌」は、「フォー・ワンス・イン・マイ・ライフ/For Once In My Life」。「生まれて初めて」、「人生でたった一度の」などという意味のスタンダード・ナンバー。この曲は、「ロナルド・ミラー/Ron Miller」作詞、「オーランド・マーデン/Orlando Murden」作曲で、1965年に作られた曲である。1966年に「トニー・ベネット/Tony Bennett」が歌ってヒットし、1968年には「スティーヴィー・ワンダー/Stevie Wonder」が歌ったものが、やはり大ヒットした。「フランク・シナトラ/Frank Sinatra」、「サミー・デイヴィス・ジュニア/Sammy Davis Jr.」、「カーメン・マクレエ/Carmen McRae」、「ナンシー・ウイルソン/Nancy Wilson」といった名だたる実力派ジャズ・シンガーに歌われ、すっかり代表的なスタンダード・ナンバーになっている。
【 For Once In My Life 】 作詞:Ronald Miller 作曲:Orlando Murden
「♪ For once in my life 生まれて初めて巡り会えた
I have someone who needs me 僕を必要とする人に
Someone I’ve needed so long ずっと探し求めていたんだ
For once, unafraid, もう今までのように怖くはない
I can go where life leads me どんな人生が待っていようと
And somehow I know I’ll be strong なぜか強くなれる気がする
For once I can touch 生まれて初めて触れることができた
what my heart used to dream of いつも心のなかで夢見ていたものに
Long before I knew ずっと前からね
Someone warm like you 君のように温かい人なら
Would make my dreams come true きっと僕の夢を叶えてくれる
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For once, I can say, 生まれて初めてはっきり言える
this is mine, この愛は僕のもの
you can’t take it 君でさえも奪うことなんかできない
As long as I know I have love, 僕が愛してるかぎりは
I can make it 僕はこの愛をきっと実らせて見せるよ
For once in my life, 生まれて初めて巡り会えたんだ
I have someone who needs me 僕を必要としてくれる人に ♪」
この曲、音域の広い曲なので、どちらかというと張りのある絶唱型のシンガー向きで、ソフトでハスキーなシンガーには向いていないので、ほとんど歌っていないという。そんなことはないでしょう、それは偏見でしょうと、思い出したのがスウェーデン美女シンガーの「スス・フォン・アーン/Suss von Ahn」が歌うボッサ・テイストの「For Once in My Life」。「Feel Sweden」というボッサのコンピ・アルバムに入っていたのだが、これがいたく気にいっていた。
もうひとり、欧州ジャズピアノの巨匠からアップしておきましょうか。「エンリコ・ピエラヌンツィ/Enrico Pieranunzi」。「Castle Of Solitude (孤独の城)」。アルバムは、「Dream Dance」。他のパーソネルは、鉄壁のレギュラー・トリオを組む「マーク・ジョンソン/Marc Johnson (b)」、「ジョーイ・バロン/Joey Baron (ds)」。
今宵、古い古い歌はいかがでしょうか。「ポルトガルの四月/原題;Coimbra/April In Portugal」。「ファドの女王(Rainha do Fado)」と呼ばれ、国民的歌手、女優だった「アマリア・ロドリゲス/Amália Rodrigues」の歌唱。彼女が一世を風靡した曲は「暗いはしけ/Barco Negro」。私が彼女とファドを知ったのも、「暗いはしけ」。中学生の頃でした。
原曲のファドは、1947年に作詞、作曲されたが、1953年にフランス語の歌詞がついてシャンソン、「ポルトガルの四月/Avril au Portugal」として、「イヴェット・ジロー/Yvette Giraud」が歌って大流行した。また同年、アメリカでも「April In Portugal」として、英語詞がつけられ、「レス・バクスター/Les Baxter」の演奏、「ヴィック・ダモン/Vic Damone」や、「トニー・マーティン/Tony Martin」の歌唱がヒットしたという。
「アマリア・ロドリゲス」。1920年、リスボン生まれ。歌手で、女優。でも貧しい家庭に生まれた彼女は、家計を支えるため様々な仕事に就くが、1939年にファド歌手としてデビュー。瞬く間にその天性の歌声と美貌で絶大な人気を得て、ファドを代表する世界的な大歌手へと成長し、「ファドの女王」と呼ばれるまでになった。また女優としても活躍し、「フランソワーズ・アルヌール/Françoise Arnoul」が主演、「アンリ・ヴェルヌイユ/Henri Verneuil」が監督をしたフランス映画「過去を持つ愛情(Les Amants du Tage)」(1954年)で、歌った「暗いはしけ」が世界中で大ヒットした。「フランソワーズ・アルヌール」。この人も好きな女優さんのひとりでした。
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