「燕」の滑空する姿が飛行機にも似て好きであることから、今宵の曲は、オランダ出身のジャズ・ピアニスト、「ピム・ヤコブス/Pim Jacobs」。アルバムは、ピアノ・トリオの演奏で「カム・フライ・ウィズ・ミー/ Come Fly With Me」。1982年録音である。元来、車に乗ることも、飛行機に乗ることも好きで、ヨーロッパへの出張時、10数時間のフライトも、眼下を見ていれば、飽きなかった。そういえば、「飛燕」という戦闘機がありました。
腹立ちを抑え、頭を冷やすため、今宵の曲は、夏の定番、「過ぎし夏の想い出/The Things We Did Last Summer」。「ニューヨーク・トリオ/New York Trio」です。パーソネルは、「ビルチャー・ラップ/Bill Charlap (Piano)」、「ジェイ・レオンハート/Jay Leonhart (Bass)」、「ビル・スチュワート/Bill Stewart (Drums)」。
さて、今宵の曲は、「Little Girl Blue」。「ブルーな可愛い娘」とでも訳しましょうか。1935年ミュージカル「ジャンボ/Jumbo」のために作られた曲。作詞、「ロレンツ・ハート/Lorenz Hart」、作曲、「リチャード・ロジャーズ/ Richard Rodgers」。スタンダードの「マイ・ロマンス/My Romance」もこのミュージカルの曲。何十というカバーがあるため、超スタンダードといってもいい曲。
【 Little Girl Blue 】
「♪ Sit there and count your fingers 座ってただ指を数えてごらん
What can you do 何ができるかと
Old girl you’re through もう歳をとりすぎてしまったかも知れない
Sit there, count your little fingers 座ってただ指を数えてごらん
Unhappy little girl blue 不幸でブルーな可愛い娘
Sit there , count the raindrops 座ってただ雨だれを数えてごらん
Falling on you 君に降り注ぐ雨だれを
It’s time you knew もうそろそろ気づいてもいい頃だ
All you can ever count on 君が数えることが出来るのは
Are the raindrops 雨だれぐらいだと
That fall on little girl blue 不幸でブルーな可愛い娘に降り注ぐ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ♪」
最初に思い出す歌唱は、「ジャニス・ジョプリン/Janis Joplin」。初のソロ・アルバム、「I Got Dem Ol’ Kozmic Blues Again Mama!(邦題:コズミック・ブルースを歌う )」 (1969)。そのくらいの絶唱であった。そして、2016年9月に公開された、27歳の若さで死去した女性シンガー、「ジャニス・ジョプリン」の生涯と知られざる素顔に迫ったドキュメンタリー映画、「ジャニス:リトル・ガール・ブルー/Janis:Little Girl Blue」でも歌われている。
I Got Dem Ol' Kozmic Blues Again, Mama by Janis Joplin
暑さが続く。すこしクールでダークなアンニュイな気分に浸りたくて、「インガー・マリエ(・グンナシェン)/Inger Marie Gundersen」を聴く。「ロッド・スチュアート/Rod Stewart」の「アトランティング・クロッシング/Atlantic Crossing」(1975)で取り上げられ有名になった、「クレイジー・ホース/Crazy Horse」の「I Don’t Want To Talk About It」、「ジェームズ・テイラー/James Taylor」の「Don’t Let Be Me Lonely」、「U2」の「One」などのカバー曲が中心のアルバム、「By Myself」(2007)。
By Myself
Inger Marie Gundersen / Stunt
「ニール・ヤング/Neil Young」のバック・バンドだった「クレイジー・ホース」のリーダー、「ダニー・ホイッテン/Danny Whitten」のバラード、「I Dont Want To Talk About It」を。「もう話したくない」とでも訳しましょうか。
【 I Dont Want To Talk About It 】 by Danny Whitten
「♪ I can tell by your eyes 君の目を見ればわかるよ
that you’ve prob’bly been cryin’ forever, ずっと泣いていたんだね
and the stars in the sky 空の星なんて
don’t mean nothin’ to you, they’re a mirror. なんの意味もないただの鏡さ
I don’t wanna talk about it, もう話したくないんだ
how you broke my heart. どれだけ君を傷つけたなんて
but if I stay here just a little bit longer, でも、もうちょっとだけここに居ていいなら
If I stay here, won’t you listen to my heart, 君は僕の心の声を聴いて欲しい
whoa, my heart? 僕の本当の心の声を
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ♪」
「♪ You are a sad song to me あなたは私にとって
filled with tender words やさしい言葉が散りばめられた哀しみの歌
and played in minor key. マイナーコードで奏でられる歌
You are a soft lullaby. あなたはやさしい子守唄
Soothe me down at night. 私をほっとさせてくれる子守唄
A nightingale reply. ナイチンゲールが繰り返し歌ってくれるように
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ♪」
「♪ Who knows how long I loved you どんなに長く君を愛していたか
You know I love you still そうだよ、今だって愛してるんだ
Will I wait a lonely lifetime? まだ君を待つ寂しい時が続くのかな
If you want me to, I will 君がそう願うならば、いつまでだって待っているよ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ♪」
「♪ The summer wind, 夏の風よ
Came blowin’ in from across the sea 海から心地よく吹いてくる
It lingered there to touch your hair 僕と一緒に歩いている君の髪を
And walk with me ずっとなびかせてながら
All summer long we sang a song, ひと夏の間ずっと一緒に歌を歌い
Then we strolled that golden sand 金色に輝く浜辺を散歩したね
Two sweethearts and the summer wind 僕たち恋人ふたりと、そして夏の風
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・ ♪」
まずは、「マデリン・ペルー/Madeleine Peyroux」。 アルバム、「Half the Perfect World」(2006)から。
そして、好漢、「マイケル・ブーブレ/Michael Bublé」。デビュー・アルバム、「Michael Bublé」(2003)から。昨年、9枚目のスタジオ・アルバム、「Nobody But Me」をリリースしたが、その後、3歳の息子ノア君が肝臓ガンを患っていることを公表。そのため残念ながら、現在は音楽活動を中断しているという。
ということで、今宵の歌姫は、「カーラ・ブレヒト/Carla Helmbrecht」で、「ノーマン・ジュイソン/Norman Jewison」監督、「スティーブ・マックイーン/Steve McQueen」、「フェイ・ダナウェイ/Faye Dunaway」主演の映画、「華麗なる賭け/原題:The Thomas Crown Affair」(日本公開1968年)の主題歌、「風のささやき/Windmills Of Your Mind」。「ミシェル・ルグラン/Michel Legrand」作曲、「アラン・バーグマン&マリリン・バーグマン/Alan Bergman & Marilyn Bergman」夫妻の作詞。
Like a circle in a spiral まるで螺旋の輪のように
Like a wheel within a wheel まるで車輪の描く輪のように
Never ending or beginning, 始まりも、そして終わりもなく
On an ever spinning wheel 果てしなく回り続ける糸車
As the images unwind 心のイメージが解き放たれた時
Like the circles that you find きみの心に浮かぶ風車の
In the windmills of your mind 描く輪のように ♪」
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私は、この曲が大好きであるが、とりわけ、「カーラ・ブレヒト」のカバーが一番好きな歌唱である。アルバム、「Be Cool, Be Kind」(2001)から。
こんな歌に触発されて思い出したのが、「クリント・イーストウッド/Clint Eastwood」監督の映画、「マディソン郡の橋/The Bridges Of Madison」。 忍ぶ恋 大人の別れ ・・・、そんな切ない映画でしたね。イーストウッド監督は、古いスタンダード曲をいくつも場面に合わせて効果的に使っていたのですが、その中から、「ダイナ・ワシントン/Dinah Washington」の歌う「Soft Winds」。
【 Soft Winds 】
作詞:Roy Alfred/ Fred Royal 作曲:Fletcher Henderson
「♪ Soft winds whisper やわらかい風が囁やいている
Sweet words to my love 甘い言葉で私の恋人に
Soft winds, tell him やわらかい風よ 彼にこう伝えて
The dreams I’m dreaming of わたしはまだずっと夢を見ているって
He’s gone too long 彼が去ってから長い時が経った
I’m on the blue sea 私はブルー(憂鬱)の海の真只中
Find him, soft winds やわらかい風よ 彼を見つけて
And bring him back home to me そして彼を私の元に連れ帰って
Blow, blow soft winds もっと強く吹いて やわらかい風よ
I’m on the blue sea 私はブルー(憂鬱)の海の真只中
Tell him, soft winds やわらかい風よ 彼に伝えて
I’m sad and lonely わたしはみじめでさびしいって
Since he left me 彼が去ってから
My heart is empty 私の心は空っぽのまま
Blow, blow, soft winds もっと強く吹いて やわらかい風よ
And bring him back home to me そして彼を私の元に連れ帰って
・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ ♪」
さて、今宵は男も惚れるビロードの声の持ち主「ジョニー・ハートマン/Johnny Hartman」。熱い眼差しを熱風に例えた「スロー・ホット・ウィンド/A Slow Hot Wind」。初めて知ったのは、学生時代のよく行ったグリルのマスターのおすすめのアルバム「Voice That Is!」(1964)から。作詞は、「ノーマン・ギンベル/Norman Gimbel」、作曲は、「ヘンリー・マンシーニ/Henry Mancini」。
「ジョニー・ハートマン/Johnny Hartman」。1923年7月生まれ、1983年9月没、享年60歳。「ビロードのような声」と評される独特の甘い声の持ち主。プロ・デビューは、1947年。しかし、この声でありながら、「F.シナトラ/Frank Sinatra」や「P.コモ/Perry Como」、「A.ウイリアムス/Andy Williams」、「B.クロスビー/Bing Crosby」、「N.キング・コール/Nat King Cole」などのように世界的に有名になることは決してなかった。JAZZ本で彼をとりあげてすらいない場合もあるくらいである。ジャズ・ファンで知られている映画監督、「クリント・イーストウッド/Clinton Eastwood 」は、映画「マディソン郡の橋」のバックで、この人の歌をいくつか流していましたね。その理由を聞かれて、彼は「ハートマンを選んだのは、彼がメイン・ストリームに受け入れられたことはなかったが、とても優れた歌手だったからだ」と答えたという。私が癒される数少ない男性ボーカルである。
【 A Slow Hot Wind 】
「♪ Her gaze 僕を見つめる
Swept over me now 彼女の眼差しは
a slow hot wind まるでゆっくりと吹いてくる熱風のよう
Some days きっといつの日か
It’s too warm to fight 我慢できなくなるほど熱い
A slow hot wind まるでゆっくりと吹いてくる熱風のよう
There in the shade 日陰で
Like a cool drink waiting 冷たい飲み物を待っているように
She sat with slow fire in her eyes 彼女は燃えるような目で
Just waiting ただ座って待っているだけ
Some days きっといつの日か
It’s too warm to fight 我慢できなくなるほど熱い
A slow hot wind まるでゆっくりと吹いてくる熱風のよう ♪」
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