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近づいて来る野生

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 朝のことである。梅雨も明け、朝からカンカン照り。布団を干そうと思って、窓を開けたら、足元から一斉に蜂が飛び立った。梅雨でしばらくの間、雨戸を閉め切りにしておいたので、その間に戸袋の下に巣を作ったと見える。「アシナガバチ(脚長蜂)」である。。子供の頃はよく蜂の巣を獲って、「ハチノコ(蜂の子)」を食べたので、いまでも好物であるし、蜂に対してさほど嫌悪感や恐怖感はない。しかし、さすがの「虫愛でる爺」もこれは困りものである。スプレーをかけ、退散願うとともに、巣を除去した。やはり、人の気配がしないと野生はすぐに近づいてくる。


 こちらは、炭焼き窯の屋根裏に置かれた、竹竿の端に上手に奇妙な形の巣を作る「エントツドロバチ(煙突泥蜂)」の巣。
   
 さて、今宵の曲、蜂といえば、これ、「A Sleeping Bee(A Sleepin’ Bee)/眠る蜂」でしょうか。「ティファニーで朝食を/Breakfast at Tiffany’s」や「冷血/In Cold Blood」の作者として有名な「トルーマン・カポーティ/Truman Capote」の短編、「A House of Flowers(花咲く館)」を基にし、彼と「ハロルド・アーレン/Harold Arlen」が組んだ、同名の1954年のブロードウェイ・ミュージカルの劇中歌だそうだ。「A House of Flowers」は、カリブ海の島、ハイチの首都ポルトー・プランスの娼館を舞台にした恋物語という。
    
【 A Sleepin’ Bee 】  by Harold Arlen / Truman Capote
     
「♪ When a bee lies sleepin’    蜂があなたの手の中で
  In the palm o’ your hand      眠っているときは
  You’re bewitch’d and deep in love’s  あなたは魔法にかけられ
  Long look’d after land          ずっとある場所で保護されている
  Where you’ll see a sun-up sky     朝が来るたびに陽が昇るような
  With the mornin’ new         いつも天気のいい場所や
  And where the days go laughin’ by   あなたに愛が訪れ
  As love comes a-calling on you     一日中上機嫌でいられるような場所に

  Sleep on, bee, don’t waken,     蜂よ ずっと眠っていて 起きないで
  Can’t believe what just passed     何が起こっているか気がつかないで
  He’s mine for the takin’        彼はわたしのもの
  I am happy at last.           やっと私は幸せになったの
  Maybe I dreams, but he seems     私にとっては夢かも でも彼にとっては
  Sweet golden as a crown,        王冠のようにきらきら
  A sleepin’ bee done told me        眠っている蜂さん教えて
  I will walk with my feet off the ground   この私の愛が本当だと彼が気がつけば
  When my one true love I has found    もう自分の足で歩んでいけると
   
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・     ・・・・・・・・・・・・・・  ♪」
    
     
 よく知られたスタンダードだけあって、歌唱、演奏、すごい数のカバーがある。まずは、「ベルベット・ヴォイス」、「ビロードの声」の持ち主と呼ばれた「ジョニー・ハートマン/Johnny Hartman」の歌唱から。「I Just Dropped by to Say Hello」(1963)、「ちょっと顔を見に寄っただけさ」なんて粋な歌をタイトルにしたアルバムから。


   
I Just Dropped By to Say Hello
ジョニー・ハートマン/Johnny Hartman
Verve


     
     

「Sleepin’ Bee – Johnny Hartman」

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 さて、ピアノといえば、「ビル・エヴァンス/Bill Evans」。彼の演奏だけでもいくつものバージョンがあるが、「エディ・ゴメス/Eddie Gómez (bs)」、「マーティ・モレル/Marty Morrell (dr)」とのレギュラー・トリオによる、1969年、イタリアのジャズフェスでの録音盤、「Autumn Leaves」から。


  
   
枯葉/Autumn Leaves
ビル・エヴァンス/Bill Evans
日本クラウン


     
     

「A Sleeping Bee – Bill Evans」

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 歌ものを弾かせたらピカイチの「ビル・チャーラップ/Bill Charlap」。彼率いる「New York Trio」の演奏が私は好き。アルバム、「星への階(きざはし)/Stairway to the Stars」(2005)から。パーソネルは、「Bill Charlap(piano)」、「ジェイ・レオンハート/Jay Leonhart(bass)」、「ビル・スチュアート/Bill Stewart(drums)」。


   
星へのきざはし/Stairway to the StarsNew
York Trio
ヴィーナス・レコード


     
     

「NEW YORK TRIO – A SLEEPING BEE」

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 もうひとつピアノトリオを。あまり馴染みがないかもしれませんが、オランダのトリオで、「レックス・ジャスパー・トリオ/Lex Jasper Trio」。アルバム、「Lexcursions」(2008)から。キャリアなどはよくわかりませんが、ライナーノーツによると、1949年生まれ。幼少時はクラシックを学び、やがて、「オスカー・ピーターソン/Oscar Peterson」、「ビル・エヴァンス/Bill Evans」、「エロル・ガーナー/Erroll Garner」の影響を受け、ジャズを志したそうです。パーソネルは、「Lex Jasper(piano)」、「マーティン・ウィンド/Martin Wind(bass)」、「ハンス・デッカー/Hans Dekker(drums)」。


     
Lexcursions
Lex Jasper/レックス・ジャスパー
Limetree


     
     

「Lex Jasper – A Sleeping Bee」

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 最後は、北欧ノルウェーの女性ジャズ・ヴォーカリスト、「トルン・エリクセン/Torun Eriksen」が歌う「Bees And Butterflies」。ちょっと上品なハスキーさと、抑制の効いた淡々としたヴォーカルが、猛暑に火照った体をちょっと冷やしてくれるかもしれません。アルバムは、「Passage」(2010)から。

【 Bees And Butterflies 】  by Torun Eriksen

「♪ Ask me               私に聞いて
  If I have something to tell you  もし私が何か言いたげに見えるのなら
  Try me                私を試して
  I might just dare to tell you all すべてあなたにぶちまけるかも
  Believe me              私を信じて
  Even when what I say upsets you   私の言葉があなたを怒らせて
  Be with me even when my words hit you hard 打ちのめしたとしても一緒にいたい

  I heard the butterflies are leaving    蝶たちが去っていくと聞いた
  And I read the bees will soon be gone    すぐに蜂たちも去っていくのだろう
  What do they know that we’re not knowing  私たちが知らないことを知っているのか
  About where to go and where we’re from    私たちがどこから来てどこへ行くのかを
  
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  ♪」
  


   
パッセージ/Passage
トルン・エリクセン/Torun Eriksen
ヤマハミュージックアンドビジュアルズ


     
     

「Bees and Butterflies – Torun Eriksen」

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