JAZZYな生活

プレミアムエイジ ジョインブログ

ジェフリー・ディーヴァーの凝り様は ・・・

Tags: , ,

510LYV2SCaL

私は冒険小説、活劇小説、ミステリ小説の類が大好きである。その中に登場する魅力的なキャラクターは数多いが、女性主人公に限って言うと、とりわけ「ケイ・スカーペッタ/Dr. Kay Scarpetta」と「キャサリン・ダンス/Kathryn Dance」の2大キャラが好きである。

「ケイ・スカーペッタ」、女流推理小説家、「パトリシア・コーンウェル/Patricia Cornwell」が生み出したアメリカの女性検屍官で、 「検屍官」 (1990年) (講談社).から登場した。もう一人の「キャサリン・ダンス」は、人気ミステリー作家、「ジェフリー・ディーヴァー/Jeffery Deaver」の「リンカーン・ライム/Lincoln Rhyme」 シリーズ、「ウォッチ・メイカー(原題;The Gold Moon)」(2007年)で、どんな嘘をも見抜く尋問の天才として初登場し、スピンアウトして独自の「キャサリン・ダンス」シリーズを展開するに至っている。

図書館から借りてきたのは、そんな「キャサリン・ダンス」が主人公の最近作、「シャドウ・ストーカー(原題;XO)」(日本での出版;2013年)。「スリーピング・ドール/The Sleeping Doll」(2008年)、「ロードサイド・クロス/Roadside Crosses」(2010年)につづく第3作である。

「キャサリン・ダンス」は捜査官であるが、趣味は民族音楽の収集、アメリカ各地及び南米などの色々な音楽を収集しているという設定。(参照拙ブログ「キャサリン・ダンスが聴く音楽は ・・・」「続・キャサリン・ダンスが聴く音楽は ・・・」) 今回は休暇で、友人のシンガー・ソングライターでカントリー歌手の「ケイリー・タウン/Kayleigh Towne」との再会も兼ね、趣味の音楽収集に来ている時に事件に遭遇するといった筋立てになっている。

1612

さて、ストーリーの方は本でお楽しみ頂くとして、驚かされるのは、作者「ジェフリー・ディーヴァー」のC&W音楽に対する造詣の深さ。例えば、作品につぎつぎと出てくるミュージシャンの名前の一部を上げても、「ハンク・ウィリアムズ・ジュニア」、「ウィリー・ネルソン」、「ドリー・バートン」、「ケニー・ロジャース」、「シャナイア・トゥエイン」など、カントリー・ミュージックには門外漢の私でも知っているビッグネーム。そして、ギターへの蘊蓄。「ギルド/Guild」や「マーチン/Martin」への蘊蓄が語られる。かつて彼は、フォーク歌手を志したこともあると聞けば、さもありなんと納得。

そして、今回の事件の重要なキーとなっているのが、「ケイリー・タウン」の曲として、歌詞を「ジェフリー・ディーヴァー」自ら書き下ろし、巻末に掲載している一連の曲。特に「ユア・シャドウ/Your Shadow」という曲は、この曲の歌詞が殺人の見立てに使われるという凝りよう。そして、その凝り様はとどまるところを知らず、曲をつけ、ミュージシャンに演奏してもらい、アルバムとしてリリースしている。実在の女性カントリー歌手、「トレヴァ・ブロムクィスト/Treva Blomquist」をヴォーカリストにしたアルバム、「Jeffery Deaver’s XO the Album」がそれ。趣味や蘊蓄、遊び心の行き着く先がベストセラーにアルバム・リリース。自分の本業でこれだけ遊べるとは、なんとも羨ましい話。(参照アルバム「XO」ホームページ

気になって聴いてみた ・・・。

Jeffery Deaver’s Xo (the Album)

Treva Blomquist / CD Baby

「Your Shadow - Treva Blomquist video from Jeffery Deaver’s XO – The Album」

        You need to a flashplayer enabled browser to view this YouTube video
 

 

読むJAZZ(12) ~村上春樹の音楽観~

Tags:

DSCN1055

 

芦屋市で中学・高校時代を過ごした作家の「村上春樹」氏に関する知識を試す「村上春樹 芦屋大検定」なる検定が、同市で初めて行われたというニュース。「我こそハルキスト」と自負する200人を超えるファンが集まったという。私はファンという自覚はほとんどないのだが、著作のいくつかを読んでいるので、新聞に載っていたいくつかの問題を試してみたが、まったく歯が立たなかった。たとえばこんな問題。

第5問 デビュー作「風の歌を聴け」が映画化されたとき、「ジェイムズ・バー」の撮影に使われたバーが神戸・三宮にある。このバーの名前は?   
(A) レフトアローン  (B) プレイバッハ  (C) ハーフタイム  (D) メートル・ド・テル

答えは(C)であるのだが、私は、かってこの本は読んだことがあるにもかかわらず、まったくわからなかったのだ。まっ、そんな程度なのである。

「村上春樹」は、1949年1月12日生まれのほぼ同世代。京都府京都市伏見区に生まれ、兵庫県西宮市・芦屋市に育つ。早稲田大学在学中の1974年、国分寺に開いた、以前飼っていた猫の名前に由来するジャズ喫茶「ピーター・キャット」の経営を経て、1979年「風の歌を聴け」で「群像新人文学賞」を受賞しデビュー。昨年映画化もされた1987年発表の「ノルウェイの森」は上下430万部を売るベストセラーとなった。2009年に発売された「1Q84-BOOK1」、「同-BOOK2」、2010年に発売された「同-BOOK3」も国内外で記録的なベストセラーをつづけ、ノーベル文学賞に最も近い日本人作家といわれていることはご承知のとおり。

最初に読んだのは「ノルウェイの森」。そこから私が関心を持ったのは、村上の作品にはJAZZやPOPSなど一定の音楽性があったからである。そして、短編集、翻訳集、エッセイなどを中心に読むようになっていった。(参考拙ブログ「読むJAZZ(2) 或いは読みたいJAZZ ~村上春樹の世界~」) 

再びこの「読むJAZZ」で取り上げるのは、まず「雑文集」。インタビュー、受賞の挨拶、海外版への序文、音楽論、書評、人物論、結婚式の祝電など、1979‐2010年の初収録エッセイから、未発表超短編小説まで、著者自身がセレクトした69篇の「雑文集」である。その中の 「音楽について」の章、「余白のある音楽は聞き飽きない」では、同世代の洋楽ファンとおなじような、少年期、青年期の音楽遍歴が語られている。そして最後には、こんな音楽観で締めくくられているのである。

「僕にとって音楽というものの最大のすばらしさは何か?それは、いいものと悪いものの差がはっきりとわかる、というところじゃないかな。 ・・・・・ ただの個人的な基準に過ぎないわけだけど、その差がわかるのとわからないのとでは、人生の質みたいなのは大きく違ってきますよね。価値判断の絶え間ない堆積が僕らの人生をつくっていく。それは人によって絵画であったり、ワインであったり、料理であったりするわけだけど、僕の場合は音楽です。それだけに本当にいい音楽に巡り合ったときの喜びというのは、文句なく素晴らしいです。極端な話、生きていてよかったなあと思います。」



村上春樹 雑文集  村上春樹 / 新潮社

そしてもう一冊は、「村上ソングズ」。厖大なレコード・コレクションから、ビーチボーイズ、ドアーズ、H.メリル、T.モンク、B.ホリデイ、S.クロウ、スプリングスティーンほか、ジャズ、スタンダード、ロックの多彩なアーティストをピックアップ、訳詞とエッセイで紹介するジャズ、スタンダード、ロックの名曲集である。私にとって、初めて知る曲もいくつもあった。「読むJAZZから聴くJAZZ」への橋渡しをしてくれた楽しい本である。


村上ソングズ (村上春樹翻訳ライブラリー)  村上 春樹 / 中央公論新社

その中から曲をひとつだけ選んでみましょうか。「この家は今は空っぽだ/This House Is Empty Now」。  「バート・バカラック/Burt Bacharach」と「エルヴィス・コステロ/Elvis Costello」の共作になる歌である。村上はこんな風に評し、こんな風に訳している。

「現代のスタンダード・ソングと呼んで差し支えないほどの、美しい奥行きを持った曲だ。バカラックのたどってきた人生の年輪のようなものが、しみじみとメロディの中に漂っている。」

「♪  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 
   そう、この家は今は空っぽだ。
   君をここにとどめておくための
   言葉はもうどこにもない。
   君なしでどのように生きていけばいいのか?
            ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・      ♪」 (村上春樹訳)

この曲が収録されている私のお気に入りのアルバムは、二人が共演したオリジナル・アルバム、「Painted from Memory」。村上がイチオシしているのは、ストックホルム生まれのスウェーデン人で、有名なメゾ・ソプラノのオペラ歌手「アンネ・ゾフィー・フォン・オッター/Anne Sofie von Otter」が、コステロとのプロデュースで実現した名盤「For the Stars」。



Painted from Memory  Elvis Costello with Burt Bacharach Mercury



For the Stars  Elvis Costello / Deutsche Grammophon

ここではバカラックとのライブを聴いてみましょうか。 Elvis Costello feat Burt Bacharach – This House Is Empty Now 

          You need to a flashplayer enabled browser to view this YouTube video
 
 

読むJAZZ(11) ~ 誰も教えてくれなかったジャズの聴き方 ~

Tags:

41E841950AL

 

このブログを始めた動機のひとつに、団塊の世代の知人から、「あんたJazzが好きらしいが、何を聴いたらいいんや?」というよく投げかけられた質問に、どう答えようかということがありました。事実、答えるのは、大変難しいので、その時々の私の生活のシーンで「何を聴いて心地よかったか?」という個人的なJAZZ聴きかじり歴を、私の勝手な判断基準で公開しても、先ほどの質問に多少は答えることができるのではないかと思ったわけです。(参照「初めまして」

確かに「JAZZを聴くルールなんかないよ。すきなものを聴けばいいんだよ」という答えは、本質的には正しいかも知れないが、コミュニケーションの上では、極めて不親切な回答であるのに違いないのです。私はあまり読まないのですが、JAZZ本でも、もちろん知識は得られます。JAZZ本は一般的に言って、「JAZZの歴史」、「アーティストの伝記、評伝」、「名盤の紹介、解説」といったカテゴリーに分類できると思いますが、写真のような名著は、JAZZについて少しはキャリアのある人向けで、「自分でも聞いてみたいけれど、何から入れば、あるいはどう聴けばいいかわからない」、「そもそも、それ以前のとっかかりがわからない」といった初心者の方には何も伝わらないし、読んでも面白くないのではないかと思います。

51Z2MGYK8ZL__SS500_

 

先日も友人からJAZZの曲における「テーマ~アドリブ~テーマ」、或いは「演奏の流れ」といった音楽の構成ついて、また「アドリブをどう演奏するのか」という演奏スタイルについて書かれた、なにかオススメの本はないだろうかと質問されましたが、その場では思い当たりませんでした。しかしそれでは、「音楽CD検定JAZZ1級ディプロマ」の資格が泣くというもの。そこで思い出した本が「水城 雄/誰も教えてくれなかったジャズの聴き方」でした。ジャズ・ピアニスト「山下洋輔」の著作などJAZZに関わる名エッセイはあったものの、今までのJAZZ本に「演奏」する側からの視点で書かれたものが、あまりなかったことに気がついた。聴く耳には長けているが、JAZZを演奏したキャリアがない著者が書くためためか、歴史本や名盤紹介本が多くなってしまったのではないだろうか。

「水城 雄/誰も教えてくれなかったジャズの聴き方」。著者の水城氏は、1957(昭和32)年生まれ。作家、音楽家、朗読演出、現代音楽の作・編曲からJAZZピアニストとしてのライブ活動まで、多才多彩な活動を展開している才人だという。これは、「これからJAZZでも ・・」と思っている人のための、ジャズ入門のバイブルです。わかりやすい文章、現役ピアニストで作曲家ならではの解説で、ジャズの魅力の秘密を明快に説き明かしてくれている。



誰も教えてくれなかったジャズの聴き方   水城 雄 / ブックマン社

上記本のオーディオブック版で、解説にくわえ、楽器の音やフレーズやコードの演奏が音ではいっているので、読んでも分かりにくいという初心者には、理解度がさらにアップする工夫がされているようである。



[オーディオブックCD] 誰も教えてくれなかったジャズの聴き方(CD4枚)   水城雄 / ことのは出版

この本で、著者が具体的な演奏のなかで、テーマとアドリブの関係を語る例に挙げているのが、「マイルス・デイビス」が1954年にレコーディングした「バグス・グルーヴ/Bags Groove」。クールで印象的な「ミルト・ジャクソン」のバイブとマイルスのトランペットとのユニゾンのテーマに始まる名盤。



バグス・グルーヴ   マイルス・デイヴィス / ユニバーサルミュージック

早すぎるコード進行についていけなかった(?)から、「マイルス・デイヴィス」が、複雑化されたコード進行を捨てモード(音階)・ジャズを確立したという、真偽は分からないが、伝説的エピソードに引き合いに出されているのが「カインド・オブ・ブルー/Kind Of Blue」である。



カインド・オブ・ブルー+1   マイルス・デイビス / ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル

まだまだありますが、興味のある方はぜひ一読を ・・・・ 。
 
 

読むジャズ(10) ~ナイチンゲールは歌う~

Tags:

  (前回からのつづき)

もう一人は「浅暮三文(あさぐれ みつふみ)」、日本推理作家協会賞受賞の新感覚ミステリー「石の中の蜘蛛」。1959年生まれ。「五感」をテーマにしたミステリーを次々と発表しているが、本作は「聴覚」がテーマ。
ギターの修理を職業にする立花は、突然の事故により、音への感覚が鋭敏化し、「そこに残された音」が聴こえるようになる。彼は音を頼りにある女の消息を追い始めるのだが・・・。ストーリーには、楽器の構造、コード(和音)やコード進行に関する専門的記述も多く、作者も楽器をかなり演奏するのではないかと想像させる。

 

石の中の蜘蛛 (集英社文庫)

浅暮 三文 / 集英社

 

 ミステリーの重要な手がかりとなる「そこに残された音」、その音楽がJAZZバイオリンの巨匠「ステファン・グラッペリ」のアルバム、「魅惑のリズム」に収録されているスタンダードの名曲「バークリー・スクエアのナイチンゲール/A Nightingale Sang In Berkeley Square」であった。浅暮は、グラッペリのバイオリンを評して、「弾いているのではなく、歌っている」と書いている。 
グラッペリの1956年にパリで録音されたこのアルバムは、ピアノ・トリオをバックに、小粋で時に大胆にスウィングする演奏が魅力。エスプリの効いた古き良きパリの香りが漂う名演奏で、「バークレー・スクエアのナイチンゲール」を、彼のバイオリンが、たしかに郷愁を誘うメロディを囁くように甘美に歌う。
 

魅惑のリズム

ステファン・グラッペリ / ユニバーサル ミュージック クラシック

 

 「ナイチンゲール/Nightingale」は、サヨナキドリ(小夜啼鳥)、 西洋のウグイスとも言われるほど鳴き声の美しい鳥。そのため、恋の詩歌に多く登場する。ただ、その姿はあまり目撃されることはなく、美しい歌声だけが夜に鳴り響くという。そして、なぜか「墓場鳥」というあまりぞっとしない別名もある。そして「バークレー・スクエア」は、ロンドンにある有名な広場であるが、すぐ近くには、イギリスで一番呪われた幽霊屋敷といわれてる有名な50番地がある。著者・浅暮がこの曲を選んだのは、そんなゴシックな背景があったからかもしれない。

「私達が出会ったあの夜は、マジックな雰囲気が漂っていた 天使達はリッツで食事をし、ナイチンゲールはバークレー広場で歌っていた ・・・」と歌いだされる美しい曲「バークレー・スクエアのナイチンゲール」は、「エリック・マシュウィッツ/Eric Maschwitz」作詞、「マニング・シャーウィン/Manning Sherwin」作曲である。ボーカルで聴きたい方には、「アニタ・オディ」の歌唱が有名であるが、ここでは、わがナイチンゲールの一人、「鈴木重子/Close Your Eyes」をあげておきましょう。ジャズ、POPSの名曲を、ピアノ、ギター、ベースのドラムレスのトリオをバックに歌う。選曲の良さにくわえ、バックのしっとりとした渋めの演奏のなかで、鈴木の癒しの歌声が流れる。
 

クローズ・ユア・アイズ

鈴木重子 / BMG JAPAN

 

読むジャズ(9) ~ダブル・ミーニング~

Tags:

買ったきりそのままに本棚に放ってあった本の何冊かを読み出した。その中にJAZZのスタンダード曲がキーワードになっている小説があった。「伊坂幸太郎/ラッシュライフ」、「浅暮三文(あさぐれ みつふみ)/石の中の蜘蛛」である。購入時には、特にJAZZを意識して買ったわけではないので、まったくの偶然で、そうだったということだ。本への論評は差し控えるが、いずれも人気作家の野心作、私としては大変面白かった。

「伊坂幸太郎」。「ラッシュライフ(2009年公開)」もそうであるが、「アヒルと鴨のコインロッカー(2007年)」、「 死神の精度(2008年)」、「フィッシュストーリー(2009年)」、「重力ピエロ(2009年」など映画化された作品も多く、いま最も人気のある若手作家の一人といっていいだろう。1971年(昭和46年)生まれ、宮城県仙台市在住。評論家に注目され始めた2002年の「ラッシュライフ」は、5つの別々に見える話が最後にリンクしていく群像劇と呼ばれる手法を使った作品である。

「金で買えないものはない」と豪語する画商、泥棒を生業とする男、父に自殺され神に憧れる青年。不倫相手との再婚を企む女性カウンセラー、職を失い家族に見捨てられた男。並走する5人の5つの物語と交錯する人生。その果てに待つ意外な結末。「ラッシュライフ」とあるが、副題は「A Life」となっていて、物語を構成する5人それぞれの人生を、ラッシュという同じカタカナで意味が違う言葉で想像できるように仕掛けがなされている。「lash、lush、rash、rush」。そう冒頭の見開きに載せてあるエッシャーの騙し絵のように・・。


 

ラッシュライフ (新潮文庫)

伊坂 幸太郎 / 新潮社

 
冒頭、金さえあれば何でもかなうと信じている画商が連れの女に問いかける言葉が、「ラッシュライフを知っているか? ・・・・  曲だよ。そういうな名の曲だ。ジャズは聴かないのか。 ・・・ コルトレーンの名演だ。Lush Life。豊潤な人生。いいじゃないか。 ・・・・」
このほか、「キース・ジャレット」などに関するくだりもあり、作者がJAZZに関心が強いことを窺わせる。

画商が言う「ジョン・コルトレーン」の名演「Lush Life/豊潤なる人生」はこのアルバム。

ラッシュ・ライフ

ジョン・コルトレーン / ユニバーサル ミュージック クラシック

「LUSH LIFE」の「lush」には画商が思い込んでいる「豊富な、豊潤な、華麗な」などという意味のほかに、「酒、のんだくれ、やけくそ」などという意味がある。「LUSH LIFE」の歌詞は、「私は、どこかの小さな場末の酒場で、飲んだくれの人生を送りたい 同じようにつらい寂しい人生を送っている飲んだくれどもと一緒に そこで酔いつぶれて朽ち果てるまで ・・・ 」。歌詞のように、この歌は「豊潤な人生」といった歌であるわけがない。著者・伊坂はそのダブル・ミーニングをちゃんと分かったうえで、画商に言わせているのである。「飲んだくれの人生」、「酒びたりの人生」、「やけくその人生」というタイトルが正しいのである。ここにもまた伊坂は「ダブル・ミーニング」の仕掛けを施していたのである。

「LUSH LIFE」は、「Take The “A” Train (A列車で行こう)」の作詞、作曲でしられている「ビリー・ストレイホーン/Billy Strayhorn(1915-1967)」の1949年の作詞、作曲によるものである。鉄鋼の都市ピッツバーグの貧困街に育った「ビリー・ストレイホーン」は、黒人への差別、大恐慌時代の貧困という現実に向き合いながら、音楽家への道をあゆみ、ついにはデューク・エリントン楽団に加わることとなる。しかしこの歌は、彼のその後の人生を暗示するような歌でもあった。彼は酒びたりの生活を送り、51歳の若さで食道がんで死を迎えることになる。まさに「LUSH LIFE(飲んだくれの人生)」であった。

「Lush Life/飲んだくれの人生」をボーカルで味わい方へのお薦めは、私がもっとも好きな男性JAZZボーカル「ジョニー・ハートマン」がコルトレーンとくんだ名盤バラード・アルバム「ジョン・コルトレーン&ジョニー・ハートマン」である。(参照男唄に男が惚れて(3)~ジョニー・ハートマン ビロードの声に包まれて~

ジョン・コルトレーン&ジョニー・ハートマン

ジョン・コルトレーン ジョニー・ハートマン マッコイ・タイナー ジミー・ギャリソン エルヴィン・ジョーンズユニバーサルクラシック

そして、アジアの癒し姫「ジャシンサ/Jacintha」もまたおすすめ。(参照「アジアの癒し姫たち」

Lush Life  Jacintha / JVC

 (次回 「浅暮三文」へつづく)

読むジャズ(8) ~JAZZピアニストのエッセイ~

Tags:

フリーJAZZのピアニストにして、抱腹絶倒の名エッセイスト「山下洋輔」の新刊エッセイを読んだ。タイトルからして洒脱である。「山下洋輔の文字化け日記」。2001年~2008年にかけてCDジャーナルに連載されたエッセイの文庫本化したものである。読んだら出てくるわ出てくるわ、「読むジャズ」に違わず、私のなじみのキーワードがいっぱい、久し振りに小躍り、いやスイングして読んだエッセイであった。

 b0102572_18152475

インタープレイ8(ハチ);大阪梅田の太融寺、旧関西TV近くにある、もう大阪では老舗の部類のJAZZ喫茶。入社で大阪へ来た頃ずいぶん通ったものだ。最後に行ったのは一体いつだったろうか。記憶がないほど長い長い時間が過ぎている。

RAGの須田さん夫妻;京都木屋町三条近くのJAZZライブ・ハウス。20年ほど前だったか、まだ北山通り近くにお店があった頃、ひょんなことから知り合い、RAGの株主になった。帰りのことを考えると、夜の京都もなかなか行きづらく、殆ど頼りにならない株主ではあった。

タモリ;山下氏、漫画家の赤塚不二夫氏が博多で発掘して東京へ連れてきた芸人。TV「題名のない音楽会」で初めて披露した中津産業大学森田助教授の報復絶倒の芸は、いまだに鮮明に覚えている。ぜひもう一回観たいものである。(参照「森田一義助教授の幻の講義」) 

ベイシー;岩手県一関市にある有名なJAZZ喫茶。その音響装置がすごいと聞いたことがあるが、近くまで行ったが、時間がなくて未だに行きえていない。想いが残る場所・・・。

イリジウム;ニューヨーク、ブロードウェイ近くのJAZZクラブ。一度だけ行ったことがあるが、こちらは未だNYへの憧れをひきずっている場所。  

炎上ピアノ;かって、このブログ(参照「健在なり!山下洋輔」)でもとりあげたが、先日のNHKの「スタジオパーク」で山下氏がゲスト出演した際、そのパフォーマンスの映像を始めてみることができた。立川にある神社を、霊験あらたかな「猫返し神社」に仕立ててしまったその真相についてもこの番組で語っていた。

奈良少年刑務所;山下氏の祖父の設計になる建築である。その美しい赤レンガの建物を先日、般若寺へのウォーキングの際に発見した。(参照「萩の寺、秋櫻の寺、古都の初秋を歩く(2)」) 昨年建築100周年を記念して、刑務所内の講堂でピアノ・ソロ・リサイタルを開いたが、刑務所とフリーJAZZ、果たしてその相性は・・・。

山下洋輔の文字化け日記 (小学館文庫)

山下 洋輔 / 小学館

稀代の蕎麦好きという別の一面を著わしたのが、「蕎麦処 山下庵」。音楽界・文壇・芸能界・演芸界の垣根を越え、日本中から蕎麦好きが大集合。その数およそ30名、いずれも蕎麦に一家言のある語り部たちが、それぞれの蕎麦喰いの流儀、蕎麦へのこだわり、また秘中の秘の一店を語る。蕎麦好きを自認する向きにはまさに必読、座右の書といえる。

蕎麦処 山下庵

山下 洋輔 / 小学館

私が、数ある山下洋輔のアルバムの中から一枚だけ選ぶとしたらこれか。’86年に録音されたソロ・ピアノ・アルバム。バッハ、ショパン、ガーシュインが、縦横無尽に、そして山下流に弾ける。

ラプソディ・イン・ブルー

山下洋輔 / ユニバーサル ミュージック クラシック

「山下洋輔の文字化け日記」にも登場する、岩手県一関市にあるJAZZ喫茶の老舗「ベイシー」。「ケイコ・リー」が、御年88歳、現役最高齢ジャズ・ピアニストの「ハンク・ジョーンズ」との「ベイシー」でのライブを収録したアルバムがある。2006年3月、わずか数十人の至福のオーディエンスだけが目撃したパフォーマンス。演奏されるのは長年にわたり世界中で愛されてきた珠玉のスタンダード名曲ばかり。ヴォーカルとピアノの世代を超えた語らいが、幸福なジャズの時間を紡ぎだす。

 

ライヴ・アット・ベイシー~ウィズ・ハンク・ジョーンズ~

ケイコ・リー ハンク・ジョーンズソニーミュージックエンタテインメント

読むJAZZ(7) ~音楽と夕暮れをめぐる五つの物語~

TAGS: None

200px-Kazuo_Ishiguro_by_Kubik.jpg

ずっと気になっていたひとりの作家、「カズオ・イシグロ」。その名前からして日系の作家であることは容易に察せられる。この名前が目に留まったのは、彼が、わがジャズ・ミューズの一人、「ステイシー・ケント/Stacey Kent」が2007年9月にリリースした最新アルバム「市街電車で朝食を/Breakfast on the morning tram」にタイトル曲を含め4曲の詩を提供していたからである。「ステイシー・ケント」はイギリスで活躍する女性JAZZシンガーであるが、オリジナル曲をアルバムに入れたのは、デビュー10年目にして初めてのことである。それだけ彼女には「カズオ・イシグロ」に対して思い入れがあったということだろう。作曲は彼女のパートナーでSAX奏者でもある「ジム・トムリンソン」。ライナーノーツで「カズオが書いてくれた歌詞はショートストーリーのような形になっていて、従来の歌の形式にはとらわれていないの。・・・・ わたしは二人の創りだした音楽の世界にノックアウトされてしまったわ。」とステイシーは語っている。そしてライナーには、「カズオ・イシグロは、日系英国人作家でイギリスの権威ある文学賞を受賞した」とだけ記されていた。その後、彼について特に調べたりすることもなく、その名前だけが記憶に引っ掛かっていたのである。

さて、「市街電車で朝食を/Breakfast on the morning tram」。ブルーノートへ移籍した第一作であるが、従来のスダンダードを中心にすえたアルバムではなく、「ノラ・ジョーンズ」のようなJAZZYではあるが、JAZZではなくポップスに近い感覚に仕上げたアルバムとなっている。オリジナルのほか「S.ゲーンズブール」、「ピエール・バルー」、「セルジオ・メンデス」などもとりあげられていて、相変わらずチャーミングでその聴き心地のよさ。そして、「カズオ・イシグロ」の歌詞4編。「二人の愛を確かめる旅にふさわしいのは北極よ」と誘う「アイス・ホテル」、「傷心のあまり眠れなかった朝を迎えるには朝の路面電車で朝食をとることが一番」と歌う「市街電車で朝食を」など。ステーシーが語るように、良質の短編小説を読むような感性豊かな情景が拡がる・・・。

市街電車で朝食を

ステイシー・ケント / EMIミュージック・ジャパン


そして、一ヶ月ほど前、新聞の書評で「カズオ・イシグロ」著、「夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語/原題;Nocturnes」(早川書房、土屋政雄訳)を見たのだ。わたしは寡聞にしてそれまで知らなかったのだが、彼は世界的にも大変注目されている人気作家であるということが分かった。
「カズオ・イシグロ/Kazuo Ishiguro」。1954年11月長崎生まれ。1960年、5歳のとき父親の仕事の関係でイギリスに渡り、そこで英国籍を取得。大学院で創作を学んだ後、一時はミュージシャンを目指していた。やがて、ソーシャルワーカーとして働きながら執筆活動を始め、1982年の長編デビュー作「遠い山なみの光」で王立文学賞、1986年の「浮世の画家」でウィットブレッド賞に輝き、さらに1989年の第三作「日の名残り」ではイギリス文学の最高峰ブッカー賞を受賞。その後の三作もすべて世界的ベストセラーとなったとある。そして4年ぶりに待望の発刊となったのが初の短編集「夜想曲集・・・」である。

各編には色々なミュージシャンが主人公として登場するが、挫折したミュージシャン、売れないSAX奏者であったり、或いは旧共産圏出身の音楽家であったりする。彼らが出会う、時にはプロの音楽家だったりする人々との奇妙な人間関係が描かれる。そして5つの短編に共通して流れている通奏低音ともいえる主題は「音楽の才能」であろう。主人公とその回りに登場する人物との音楽に対する意識や世界観の違いが、彼我の音楽的才能の違い、或いは分かりあえない意思疎通の溝を生み出す。この主題は、人と人の間に生ずる溝や才能の差は何によって発するのかを示唆しているようだ。そして読後は深い余韻が満ちてくる良質の短編5編である。

夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語

カズオ・イシグロ / 早川書房


日本でも最近、2008年、中国籍の「楊逸(ヤン・イー)」 さんが芥川賞、またイラン出身の「シリン・ネザマフィ」さんが、2009年文学界新人賞を受賞するなど日本語以外の言語を母語とする作家として史上初めての受賞が話題となっているが、それにしても、日本出身の「カズオ・イシグロ 」氏、英国で権威ある賞をとり、これだけの世界的ベストセラーを生み出す才能とは・・・。

五編うちで私が一番気に入ったのは第一編の「老歌手」。旧共産圏出身で、今はヴェネチアのレストランの雇われギタリストは、ゴンドラに乗って妻にセレナーデを捧げたいという米国の高名な老歌手に伴奏者として雇われるという話であるが、その捧げる歌の一つが、「チェット・ベイカー」の「惚れっぽいわたし/I Fall In Love Too Easily」である。遠い昔の熱くて若い頃、わたしが最初に「チェット・ベイカー」を聴いたアルバム「Chet Baker Sings」に収録されている曲。読後、なつかしい思いがこみ上げてきた。

Chet Baker Sings

Chet BakerPacific Jazz


そうそう、「カズオ・イシグロ 」氏が最も関心のある作家は「村上春樹」だそうで、彼とロンドンであったときは専らジャズの話をしていたと、あるインタビューで語っている。このブログ読むJAZZ(2)でも触れたように、村上春樹のJAZZフリークは有名であるが、なんと「カズオ・イシグロ 」もご同様の御仁であったのだ。

観るJAZZ、読むJAZZ  ~スティング/紳士同盟~

TAGS: None

ポール・ニューマンが逝った。

ポール・ニューマン(Paul Newman、1925年1月26日 – 2008年9月26日)は、3度のアカデミー賞受賞を初めとして数多くの受賞歴を持つ俳優であるが、その全盛期の作品は、私達の青春と重なる。私が最も好きな俳優の一人である。ちょっと思い出しただけでも、「熱いトタン屋根の猫 Cat on a Hot Tin Roof(1958) 」、「栄光への脱出 Exodus(1960)」、 「ハスラー The Hustler(1961) 」、「動く標的 The Moving Target(1966)」、「暴力脱獄 Cool Hand Luke(1967) 」、「明日に向って撃て! Butch Cassidy and the Sundance Kid(1969)」、 「スティング The Sting(1973)」 、「タワーリング・インフェルノ The Towering Inferno(1974)」、「評決 The Verdict(1982) 」、「ハスラー2 The Color of Money(1986)」など。

勿論、男の私から見ても、大変なハンサムであるが、色気と演技力を備えた稀代の俳優であったと思う。

代表作を強いて挙げるとすれば、やはりアメリカン・ニューシネマの西部劇と称される、1969年にロバート・レッドフォードと共演した、あのラストシーンが忘れられない『明日に向って撃て!』と再びレッドフォードと競演し、1973年のアカデミー作品賞を受賞した『スティング』であろう。

『スティング』(The Sting)は、1973年公開のアメリカ映画。監督はジョージ・ロイ・ヒル。1930年代のシカゴ。友達を殺されたチンピラたちが、その報復のために、ギャングの大親分からトリックで大きくカモろうとして、下町にインチキのみ屋を構える。さて、その首尾はいかに?
コン・ゲームといわれる詐欺を描いた映画で、そのストーリー展開の巧妙さが絶品で、ラストのどんでん返しもまた見事である。まだ見ていない人のためにストーリーはあまり明かせませんが・・・・。

全編に流れるスコット・ジョプリンのラグタイム・ピアノをフィーチャーしたJAZZYな音楽も、劇中のファッションも、話の運びも、何もかもが「お洒落」で、「粋」である。 多分スティングの主題曲も永遠のスタンダードとして演奏され続けるに違いない。

合掌 ・・・・・・・。

スティング
ポール・ニューマン / / ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
ISBN : B000G7PS0O
スコア選択:

この映画「スティング」に触発されて、日本でも「コン・ゲーム」小説を書こうと思った男がいる。小林信彦である。映画評論、小説家、脚本家、喜劇評論家など経歴や肩書きがいくつあるかわからないほどの博覧強記の人であるが、そのコン・ゲーム小説は「紳士同盟」「紳士同盟ふたたび」である。コン・ゲームのルールである「誰も不幸せになる人がいない」という原則をまもって展開される詐欺師たちの物語であるが、そのストーリーの運びはまさにJAZZ的といえるテンポと歯切れのよさに満ちている。まさに日本の代表的コン・ゲーム小説といえる。
その「紳士同盟ふたたび」(1983~1984連載、単行本・文庫本)のラストにこんなシーンがある。このくだりで私は思わず「ニヤッ!」とした。

-わかった。ところで、きみ、リンダ・ロンシュタットをききに行かないか。ネルソン・リドル・オーケストラが付いている。
-え? リンダが日本へ行くの?
-そう莫迦にしたものじゃない。五年前に武道館へいっしょにききに行ったじゃないか。
ーあ、そうか。
-今回は、ホテルのディナー・ショーがある。一人、五万円だけどね。

「リンダ・ロンシュタット」が、シナトラのアレンジャーとして有名な、ネルソン・リドルと80年代半ばから、コラボした、ジャズ・アルバムには3枚がある。「What’s new」、「Lush life」。そして3枚目の「For sentimental reasons」。3枚目を収録中に、残念なことに、ネルソンリドルは亡くなってしまった。「リンダ・ロンシュタット」はJAZZ歌手ではなくPOPS歌手だが、キュートな声で、素直なくせのない歌い方で、JAZZのスタンダードということをあまり意識せず、スムーズかつ朗々と歌っている。
酒を飲みながら聴くもよし、リラックスして聴くもよし。たとえば、「Someone to Watch over Me」も、アンバートンの歌うそれとは違って甘い恋心をくすぐるような、ラブ・バラードに聴こえる。こんな「Someone to ・・・・」もいいなと思う。

What’s New
Linda Ronstadt & the Nelson Riddle Orchestra / Asylum
スコア選択:

「’Round Midnight」は、ネルソン・リドルとのコラボの3枚をを2枚組CDにまとめたお買い得盤なんで、ファンにはこっちがお奨めです。「I’m Fool To Want You」なんて「チェット・ベイカー」のうたう口説きのささやき唄と違って、女心のせつなさをストレートに感じる、楚々たる唄い方がいい。

‘Round Midnight
Linda Ronstadt w Nelson Riddle & His Orchestra / Asylum
スコア選択:

読むJAZZ(6) ~ ジャズ・ピアニストのハードボイルド ~

TAGS: None

寡作であるが良質のハードボイルドを書く作家がいる。「原尞(はら りょう)」。1988年デビュー作の「そして夜は甦る」から2004年最新作「愚か者死すべし」まで、1冊の短編集を除くと、約20年間で長編4作という寡作ぶり。かって彼はフリー・ジャズのプロのピアニストであったことは彼のファンなれば誰でも知っていることであろう。

昭和21年(1946)12月佐賀県鳥栖市生まれ、61歳。九州大学文学部を卒業し上京、レコード会社に就職するも2ヶ月で辞める。学生時代に独学で学んだJAZZピアノへの情熱が再燃してプロのJAZZピアニストに。その傍ら映画やTVドラマの脚本家を目指すが、映像化はされなかった。「それならば小説を書いて映画化を」と小説家を志す。40歳のころ母親の看病のため帰郷し、その後故郷鳥栖市に定住し、42歳で遅まきの小説家デビューを果たす。2作目「私が殺した少女」は直木賞を受賞した。現在執筆の合間には、鳥栖でお兄さんが経営するJAZZ喫茶で今もピアノを弾いているとのことである。

以上の彼の経歴は、文庫本の経歴紹介や「私が殺した少女」巻末の「あとがきに代えて ある男の身許調査」で知ることが出来る。

昭和21年生まれだから私と同じ年の生まれである。小説では殆ど語られていないJAZZへの思いを能弁に吐露した彼の自伝的エッセイ「ミステリオーソ」を読むと、音楽、ミステリー、映画に没頭した彼の等身大の青春は、私の青春にもダブって見えてくる。「バド・パウエル」、「セロニアス・モンク」、「マイルズ・デイヴィス」、「ジョン・コルトレーン」、「ケニー・バレル」など往年のJAZZプレイヤーたち、「太陽がいっぱい」、「用心棒」、「死刑台のエレベーター」、「サムライ」、「七人の侍」、「カサブランカ」、「ジャン・ギャバン」、「ハンフリー・ボガード」、などの名画・名優たち、「山本周五郎」、「ジョルジュ・シムノン」「レイモンド・チャンドラー」、「セバスチャン・ジャプリゾ」など手ダレの物書きたち・・・・。まさに私の青春そのものといえるキーワード。こんなキーワードが満載の本書を読み終わった後は、CDやDVDでもう一度あの青春を確認したくなった。 

ミステリオーソ (ハヤカワ文庫JA)
原 〓@4AD4@ / / 早川書房
ISBN : 4150307938
スコア選択:

「レイモンド・チャンドラー」に心酔している原氏は自著のシリーズ4作で見事に探偵「沢崎」を造形した。やや乾いた文体と沢崎から発せられる皮肉の利いたせりふ。沢崎の人物像や周辺、彼の生い立ちなどについては、ほとんど語られてはいないが、むしろ映画的ともいえるシーンの描写や沢崎のせりふから、かえって沢崎の人物像、キャラクターの陰影が浮き出てくると思える。
極めて映画的と思える情景描写と沢崎のキャラによって、日本のハードボイルド界に独自のポジションを築いたシリーズ。ファルコン賞、直木賞を受賞した「私が殺した少女」。

私が殺した少女 (ハヤカワ文庫JA)
原 りょう / / 早川書房
スコア選択:

「さらば愛しき女よ」、「長いお別れ」、「大いなる眠り」というチャンドラーの代表作を併せて第三作「さらば長き眠り」のタイトルにしたことに、彼のチャンドラーへの心酔、傾倒ぶりは窺える。
また、シリーズ作品中には、JAZZが絡む背景や小道具、せりふなどはあまり出てこないのだが、自身をモデルにしたと思われるレコード会社社員崩れの作中人物江原に言わす次の言葉に、JAZZへの思いもわずかに窺える。「鍵盤の右から左まで両手の指をただ転がしているだけじゃ、いったいどれがあんたの聴かせたい“歌”なのかわからんよ。もっと音を少なくして弾けないものかね。」

さらば長き眠り (ハヤカワ文庫JA)
原 りょう / / 早川書房
ISBN : 4150306540
スコア選択:

「鳥類学者のファンタジア」の主人公、ビ・バッパー「フォギー」もそうであったが、原氏の敬愛するJAZZピアニストは「バド・パウエル」である。モダン・ジャズの語法をピアノで表現した天才、ビ・バップの創始者の一人にして、バップ・ピアノの最高峰と称される「バド・パウエル」。
なぜか日本でのみ人気の高かったといわれる、代表作「クレオパトラの夢」が収録されている「ザ・シーン・チェンジズ」がベストか。聴けば、やはり青春時代のあの時と同じように「クレオパトラの夢」に魅かれ、心浮き立つ自分がいる。

ザ・シーン・チェンジズ+1
バド・パウエル / / EMIミュージック・ジャパン
ISBN : B000XAMEVA
スコア選択:

読むJAZZ(5) ~ もうひとつの鳥類学者のファンタジア ~

TAGS: None

いやあ、びっくりしました。Amazonから送られてきた「おすすめ商品メール」にコミック版「鳥類学者のファンタジア」があるではありませんか。まさかコミックになっているとはまったく知りませんでした。出版日は (2008/3/13) とあるから、出版後まだほやほやらしい。

「鳥類学者のファンタジア  下 (3) (KCデラックス) (コミック) /望月 玲子 (著), 奥泉 光 (著) ;講談社」

「上」、「下」、(3)とか書いてあり、全何巻のシリーズかは分からないが下記にあげた出版社からの内容紹介を読むと、紛れもなく前回とりあげた「奥泉光/鳥類学者のファンタジア」のコミック版のようである。表紙のイラストから推察すると、どうも若い女性向けのコミックのようであるが・・・・。少し気恥ずかしいが、機会をみて書店で立ち読み、品定めでもしてみようと思う。多分オカルト的趣向が前面に出た作品だと思われる。さて、奥平原作には溢れていた、そのJAZZYなテイストは、いかなる表現がなされているのであろうか? 興味津々!

鳥類学者のファンタジア 上 (1) (KCデラックス)
望月 玲子 / / 講談社
スコア選択:

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 【出版社 / 著者からの内容紹介】

「オルフェウスの音階」と猫が導くめくるめく冒険ファンタジー!
ジャズピアニスト・フォギーこと希梨子は演奏中、柱の陰に1人の聴き手の存在を感じる。彼女の前に現れたその不思議な女性は、昔ベルリンで亡くなったはずの祖母・霧子だった!謎の「オルフェウスの音階」と猫に導かれて、ナチス支配下のドイツにタイムスリップした彼女は……!?

時空を超えた壮大な冒険旅行の意味がついに明らかに……!
1944年のベルリンで「神霊音楽協会」という謎の組織に深く関わることになったフォギー。降霊会で「水晶宮」へトリップしてしまった彼女が見た「宇宙オルガン」の正体は!?そして霧子の演奏による前代未聞の「実験」とは!?時空を超えた壮大な冒険旅行の意味が、ついに明らかに!



© 2009 JAZZYな生活. All Rights Reserved.

This blog is powered by the Wordpress platform and to just Go Beach Rental.