JAZZYな生活

プレミアムエイジ ジョインブログ

読むジャズ(8) ~JAZZピアニストのエッセイ~

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フリーJAZZのピアニストにして、抱腹絶倒の名エッセイスト「山下洋輔」の新刊エッセイを読んだ。タイトルからして洒脱である。「山下洋輔の文字化け日記」。2001年~2008年にかけてCDジャーナルに連載されたエッセイの文庫本化したものである。読んだら出てくるわ出てくるわ、「読むジャズ」に違わず、私のなじみのキーワードがいっぱい、久し振りに小躍り、いやスイングして読んだエッセイであった。

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インタープレイ8(ハチ);大阪梅田の太融寺、旧関西TV近くにある、もう大阪では老舗の部類のJAZZ喫茶。入社で大阪へ来た頃ずいぶん通ったものだ。最後に行ったのは一体いつだったろうか。記憶がないほど長い長い時間が過ぎている。

RAGの須田さん夫妻;京都木屋町三条近くのJAZZライブ・ハウス。20年ほど前だったか、まだ北山通り近くにお店があった頃、ひょんなことから知り合い、RAGの株主になった。帰りのことを考えると、夜の京都もなかなか行きづらく、殆ど頼りにならない株主ではあった。

タモリ;山下氏、漫画家の赤塚不二夫氏が博多で発掘して東京へ連れてきた芸人。TV「題名のない音楽会」で初めて披露した中津産業大学森田助教授の報復絶倒の芸は、いまだに鮮明に覚えている。ぜひもう一回観たいものである。(参照「森田一義助教授の幻の講義」) 

ベイシー;岩手県一関市にある有名なJAZZ喫茶。その音響装置がすごいと聞いたことがあるが、近くまで行ったが、時間がなくて未だに行きえていない。想いが残る場所・・・。

イリジウム;ニューヨーク、ブロードウェイ近くのJAZZクラブ。一度だけ行ったことがあるが、こちらは未だNYへの憧れをひきずっている場所。  

炎上ピアノ;かって、このブログ(参照「健在なり!山下洋輔」)でもとりあげたが、先日のNHKの「スタジオパーク」で山下氏がゲスト出演した際、そのパフォーマンスの映像を始めてみることができた。立川にある神社を、霊験あらたかな「猫返し神社」に仕立ててしまったその真相についてもこの番組で語っていた。

奈良少年刑務所;山下氏の祖父の設計になる建築である。その美しい赤レンガの建物を先日、般若寺へのウォーキングの際に発見した。(参照「萩の寺、秋櫻の寺、古都の初秋を歩く(2)」) 昨年建築100周年を記念して、刑務所内の講堂でピアノ・ソロ・リサイタルを開いたが、刑務所とフリーJAZZ、果たしてその相性は・・・。

山下洋輔の文字化け日記 (小学館文庫)

山下 洋輔 / 小学館

稀代の蕎麦好きという別の一面を著わしたのが、「蕎麦処 山下庵」。音楽界・文壇・芸能界・演芸界の垣根を越え、日本中から蕎麦好きが大集合。その数およそ30名、いずれも蕎麦に一家言のある語り部たちが、それぞれの蕎麦喰いの流儀、蕎麦へのこだわり、また秘中の秘の一店を語る。蕎麦好きを自認する向きにはまさに必読、座右の書といえる。

蕎麦処 山下庵

山下 洋輔 / 小学館

私が、数ある山下洋輔のアルバムの中から一枚だけ選ぶとしたらこれか。’86年に録音されたソロ・ピアノ・アルバム。バッハ、ショパン、ガーシュインが、縦横無尽に、そして山下流に弾ける。

ラプソディ・イン・ブルー

山下洋輔 / ユニバーサル ミュージック クラシック

「山下洋輔の文字化け日記」にも登場する、岩手県一関市にあるJAZZ喫茶の老舗「ベイシー」。「ケイコ・リー」が、御年88歳、現役最高齢ジャズ・ピアニストの「ハンク・ジョーンズ」との「ベイシー」でのライブを収録したアルバムがある。2006年3月、わずか数十人の至福のオーディエンスだけが目撃したパフォーマンス。演奏されるのは長年にわたり世界中で愛されてきた珠玉のスタンダード名曲ばかり。ヴォーカルとピアノの世代を超えた語らいが、幸福なジャズの時間を紡ぎだす。

 

ライヴ・アット・ベイシー~ウィズ・ハンク・ジョーンズ~

ケイコ・リー ハンク・ジョーンズソニーミュージックエンタテインメント

読むJAZZ(7) ~音楽と夕暮れをめぐる五つの物語~

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ずっと気になっていたひとりの作家、「カズオ・イシグロ」。その名前からして日系の作家であることは容易に察せられる。この名前が目に留まったのは、彼が、わがジャズ・ミューズの一人、「ステイシー・ケント/Stacey Kent」が2007年9月にリリースした最新アルバム「市街電車で朝食を/Breakfast on the morning tram」にタイトル曲を含め4曲の詩を提供していたからである。「ステイシー・ケント」はイギリスで活躍する女性JAZZシンガーであるが、オリジナル曲をアルバムに入れたのは、デビュー10年目にして初めてのことである。それだけ彼女には「カズオ・イシグロ」に対して思い入れがあったということだろう。作曲は彼女のパートナーでSAX奏者でもある「ジム・トムリンソン」。ライナーノーツで「カズオが書いてくれた歌詞はショートストーリーのような形になっていて、従来の歌の形式にはとらわれていないの。・・・・ わたしは二人の創りだした音楽の世界にノックアウトされてしまったわ。」とステイシーは語っている。そしてライナーには、「カズオ・イシグロは、日系英国人作家でイギリスの権威ある文学賞を受賞した」とだけ記されていた。その後、彼について特に調べたりすることもなく、その名前だけが記憶に引っ掛かっていたのである。

さて、「市街電車で朝食を/Breakfast on the morning tram」。ブルーノートへ移籍した第一作であるが、従来のスダンダードを中心にすえたアルバムではなく、「ノラ・ジョーンズ」のようなJAZZYではあるが、JAZZではなくポップスに近い感覚に仕上げたアルバムとなっている。オリジナルのほか「S.ゲーンズブール」、「ピエール・バルー」、「セルジオ・メンデス」などもとりあげられていて、相変わらずチャーミングでその聴き心地のよさ。そして、「カズオ・イシグロ」の歌詞4編。「二人の愛を確かめる旅にふさわしいのは北極よ」と誘う「アイス・ホテル」、「傷心のあまり眠れなかった朝を迎えるには朝の路面電車で朝食をとることが一番」と歌う「市街電車で朝食を」など。ステーシーが語るように、良質の短編小説を読むような感性豊かな情景が拡がる・・・。

市街電車で朝食を

ステイシー・ケント / EMIミュージック・ジャパン


そして、一ヶ月ほど前、新聞の書評で「カズオ・イシグロ」著、「夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語/原題;Nocturnes」(早川書房、土屋政雄訳)を見たのだ。わたしは寡聞にしてそれまで知らなかったのだが、彼は世界的にも大変注目されている人気作家であるということが分かった。
「カズオ・イシグロ/Kazuo Ishiguro」。1954年11月長崎生まれ。1960年、5歳のとき父親の仕事の関係でイギリスに渡り、そこで英国籍を取得。大学院で創作を学んだ後、一時はミュージシャンを目指していた。やがて、ソーシャルワーカーとして働きながら執筆活動を始め、1982年の長編デビュー作「遠い山なみの光」で王立文学賞、1986年の「浮世の画家」でウィットブレッド賞に輝き、さらに1989年の第三作「日の名残り」ではイギリス文学の最高峰ブッカー賞を受賞。その後の三作もすべて世界的ベストセラーとなったとある。そして4年ぶりに待望の発刊となったのが初の短編集「夜想曲集・・・」である。

各編には色々なミュージシャンが主人公として登場するが、挫折したミュージシャン、売れないSAX奏者であったり、或いは旧共産圏出身の音楽家であったりする。彼らが出会う、時にはプロの音楽家だったりする人々との奇妙な人間関係が描かれる。そして5つの短編に共通して流れている通奏低音ともいえる主題は「音楽の才能」であろう。主人公とその回りに登場する人物との音楽に対する意識や世界観の違いが、彼我の音楽的才能の違い、或いは分かりあえない意思疎通の溝を生み出す。この主題は、人と人の間に生ずる溝や才能の差は何によって発するのかを示唆しているようだ。そして読後は深い余韻が満ちてくる良質の短編5編である。

夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語

カズオ・イシグロ / 早川書房


日本でも最近、2008年、中国籍の「楊逸(ヤン・イー)」 さんが芥川賞、またイラン出身の「シリン・ネザマフィ」さんが、2009年文学界新人賞を受賞するなど日本語以外の言語を母語とする作家として史上初めての受賞が話題となっているが、それにしても、日本出身の「カズオ・イシグロ 」氏、英国で権威ある賞をとり、これだけの世界的ベストセラーを生み出す才能とは・・・。

五編うちで私が一番気に入ったのは第一編の「老歌手」。旧共産圏出身で、今はヴェネチアのレストランの雇われギタリストは、ゴンドラに乗って妻にセレナーデを捧げたいという米国の高名な老歌手に伴奏者として雇われるという話であるが、その捧げる歌の一つが、「チェット・ベイカー」の「惚れっぽいわたし/I Fall In Love Too Easily」である。遠い昔の熱くて若い頃、わたしが最初に「チェット・ベイカー」を聴いたアルバム「Chet Baker Sings」に収録されている曲。読後、なつかしい思いがこみ上げてきた。

Chet Baker Sings

Chet BakerPacific Jazz


そうそう、「カズオ・イシグロ 」氏が最も関心のある作家は「村上春樹」だそうで、彼とロンドンであったときは専らジャズの話をしていたと、あるインタビューで語っている。このブログ読むJAZZ(2)でも触れたように、村上春樹のJAZZフリークは有名であるが、なんと「カズオ・イシグロ 」もご同様の御仁であったのだ。

観るJAZZ、読むJAZZ  ~スティング/紳士同盟~

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ポール・ニューマンが逝った。

ポール・ニューマン(Paul Newman、1925年1月26日 – 2008年9月26日)は、3度のアカデミー賞受賞を初めとして数多くの受賞歴を持つ俳優であるが、その全盛期の作品は、私達の青春と重なる。私が最も好きな俳優の一人である。ちょっと思い出しただけでも、「熱いトタン屋根の猫 Cat on a Hot Tin Roof(1958) 」、「栄光への脱出 Exodus(1960)」、 「ハスラー The Hustler(1961) 」、「動く標的 The Moving Target(1966)」、「暴力脱獄 Cool Hand Luke(1967) 」、「明日に向って撃て! Butch Cassidy and the Sundance Kid(1969)」、 「スティング The Sting(1973)」 、「タワーリング・インフェルノ The Towering Inferno(1974)」、「評決 The Verdict(1982) 」、「ハスラー2 The Color of Money(1986)」など。

勿論、男の私から見ても、大変なハンサムであるが、色気と演技力を備えた稀代の俳優であったと思う。

代表作を強いて挙げるとすれば、やはりアメリカン・ニューシネマの西部劇と称される、1969年にロバート・レッドフォードと共演した、あのラストシーンが忘れられない『明日に向って撃て!』と再びレッドフォードと競演し、1973年のアカデミー作品賞を受賞した『スティング』であろう。

『スティング』(The Sting)は、1973年公開のアメリカ映画。監督はジョージ・ロイ・ヒル。1930年代のシカゴ。友達を殺されたチンピラたちが、その報復のために、ギャングの大親分からトリックで大きくカモろうとして、下町にインチキのみ屋を構える。さて、その首尾はいかに?
コン・ゲームといわれる詐欺を描いた映画で、そのストーリー展開の巧妙さが絶品で、ラストのどんでん返しもまた見事である。まだ見ていない人のためにストーリーはあまり明かせませんが・・・・。

全編に流れるスコット・ジョプリンのラグタイム・ピアノをフィーチャーしたJAZZYな音楽も、劇中のファッションも、話の運びも、何もかもが「お洒落」で、「粋」である。 多分スティングの主題曲も永遠のスタンダードとして演奏され続けるに違いない。

合掌 ・・・・・・・。

スティング
ポール・ニューマン / / ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
ISBN : B000G7PS0O
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この映画「スティング」に触発されて、日本でも「コン・ゲーム」小説を書こうと思った男がいる。小林信彦である。映画評論、小説家、脚本家、喜劇評論家など経歴や肩書きがいくつあるかわからないほどの博覧強記の人であるが、そのコン・ゲーム小説は「紳士同盟」「紳士同盟ふたたび」である。コン・ゲームのルールである「誰も不幸せになる人がいない」という原則をまもって展開される詐欺師たちの物語であるが、そのストーリーの運びはまさにJAZZ的といえるテンポと歯切れのよさに満ちている。まさに日本の代表的コン・ゲーム小説といえる。
その「紳士同盟ふたたび」(1983~1984連載、単行本・文庫本)のラストにこんなシーンがある。このくだりで私は思わず「ニヤッ!」とした。

-わかった。ところで、きみ、リンダ・ロンシュタットをききに行かないか。ネルソン・リドル・オーケストラが付いている。
-え? リンダが日本へ行くの?
-そう莫迦にしたものじゃない。五年前に武道館へいっしょにききに行ったじゃないか。
ーあ、そうか。
-今回は、ホテルのディナー・ショーがある。一人、五万円だけどね。

「リンダ・ロンシュタット」が、シナトラのアレンジャーとして有名な、ネルソン・リドルと80年代半ばから、コラボした、ジャズ・アルバムには3枚がある。「What’s new」、「Lush life」。そして3枚目の「For sentimental reasons」。3枚目を収録中に、残念なことに、ネルソンリドルは亡くなってしまった。「リンダ・ロンシュタット」はJAZZ歌手ではなくPOPS歌手だが、キュートな声で、素直なくせのない歌い方で、JAZZのスタンダードということをあまり意識せず、スムーズかつ朗々と歌っている。
酒を飲みながら聴くもよし、リラックスして聴くもよし。たとえば、「Someone to Watch over Me」も、アンバートンの歌うそれとは違って甘い恋心をくすぐるような、ラブ・バラードに聴こえる。こんな「Someone to ・・・・」もいいなと思う。

What’s New
Linda Ronstadt & the Nelson Riddle Orchestra / Asylum
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「’Round Midnight」は、ネルソン・リドルとのコラボの3枚をを2枚組CDにまとめたお買い得盤なんで、ファンにはこっちがお奨めです。「I’m Fool To Want You」なんて「チェット・ベイカー」のうたう口説きのささやき唄と違って、女心のせつなさをストレートに感じる、楚々たる唄い方がいい。

‘Round Midnight
Linda Ronstadt w Nelson Riddle & His Orchestra / Asylum
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読むJAZZ(6) ~ ジャズ・ピアニストのハードボイルド ~

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寡作であるが良質のハードボイルドを書く作家がいる。「原尞(はら りょう)」。1988年デビュー作の「そして夜は甦る」から2004年最新作「愚か者死すべし」まで、1冊の短編集を除くと、約20年間で長編4作という寡作ぶり。かって彼はフリー・ジャズのプロのピアニストであったことは彼のファンなれば誰でも知っていることであろう。

昭和21年(1946)12月佐賀県鳥栖市生まれ、61歳。九州大学文学部を卒業し上京、レコード会社に就職するも2ヶ月で辞める。学生時代に独学で学んだJAZZピアノへの情熱が再燃してプロのJAZZピアニストに。その傍ら映画やTVドラマの脚本家を目指すが、映像化はされなかった。「それならば小説を書いて映画化を」と小説家を志す。40歳のころ母親の看病のため帰郷し、その後故郷鳥栖市に定住し、42歳で遅まきの小説家デビューを果たす。2作目「私が殺した少女」は直木賞を受賞した。現在執筆の合間には、鳥栖でお兄さんが経営するJAZZ喫茶で今もピアノを弾いているとのことである。

以上の彼の経歴は、文庫本の経歴紹介や「私が殺した少女」巻末の「あとがきに代えて ある男の身許調査」で知ることが出来る。

昭和21年生まれだから私と同じ年の生まれである。小説では殆ど語られていないJAZZへの思いを能弁に吐露した彼の自伝的エッセイ「ミステリオーソ」を読むと、音楽、ミステリー、映画に没頭した彼の等身大の青春は、私の青春にもダブって見えてくる。「バド・パウエル」、「セロニアス・モンク」、「マイルズ・デイヴィス」、「ジョン・コルトレーン」、「ケニー・バレル」など往年のJAZZプレイヤーたち、「太陽がいっぱい」、「用心棒」、「死刑台のエレベーター」、「サムライ」、「七人の侍」、「カサブランカ」、「ジャン・ギャバン」、「ハンフリー・ボガード」、などの名画・名優たち、「山本周五郎」、「ジョルジュ・シムノン」「レイモンド・チャンドラー」、「セバスチャン・ジャプリゾ」など手ダレの物書きたち・・・・。まさに私の青春そのものといえるキーワード。こんなキーワードが満載の本書を読み終わった後は、CDやDVDでもう一度あの青春を確認したくなった。 

ミステリオーソ (ハヤカワ文庫JA)
原 〓@4AD4@ / / 早川書房
ISBN : 4150307938
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「レイモンド・チャンドラー」に心酔している原氏は自著のシリーズ4作で見事に探偵「沢崎」を造形した。やや乾いた文体と沢崎から発せられる皮肉の利いたせりふ。沢崎の人物像や周辺、彼の生い立ちなどについては、ほとんど語られてはいないが、むしろ映画的ともいえるシーンの描写や沢崎のせりふから、かえって沢崎の人物像、キャラクターの陰影が浮き出てくると思える。
極めて映画的と思える情景描写と沢崎のキャラによって、日本のハードボイルド界に独自のポジションを築いたシリーズ。ファルコン賞、直木賞を受賞した「私が殺した少女」。

私が殺した少女 (ハヤカワ文庫JA)
原 りょう / / 早川書房
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「さらば愛しき女よ」、「長いお別れ」、「大いなる眠り」というチャンドラーの代表作を併せて第三作「さらば長き眠り」のタイトルにしたことに、彼のチャンドラーへの心酔、傾倒ぶりは窺える。
また、シリーズ作品中には、JAZZが絡む背景や小道具、せりふなどはあまり出てこないのだが、自身をモデルにしたと思われるレコード会社社員崩れの作中人物江原に言わす次の言葉に、JAZZへの思いもわずかに窺える。「鍵盤の右から左まで両手の指をただ転がしているだけじゃ、いったいどれがあんたの聴かせたい“歌”なのかわからんよ。もっと音を少なくして弾けないものかね。」

さらば長き眠り (ハヤカワ文庫JA)
原 りょう / / 早川書房
ISBN : 4150306540
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「鳥類学者のファンタジア」の主人公、ビ・バッパー「フォギー」もそうであったが、原氏の敬愛するJAZZピアニストは「バド・パウエル」である。モダン・ジャズの語法をピアノで表現した天才、ビ・バップの創始者の一人にして、バップ・ピアノの最高峰と称される「バド・パウエル」。
なぜか日本でのみ人気の高かったといわれる、代表作「クレオパトラの夢」が収録されている「ザ・シーン・チェンジズ」がベストか。聴けば、やはり青春時代のあの時と同じように「クレオパトラの夢」に魅かれ、心浮き立つ自分がいる。

ザ・シーン・チェンジズ+1
バド・パウエル / / EMIミュージック・ジャパン
ISBN : B000XAMEVA
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読むJAZZ(5) ~ もうひとつの鳥類学者のファンタジア ~

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いやあ、びっくりしました。Amazonから送られてきた「おすすめ商品メール」にコミック版「鳥類学者のファンタジア」があるではありませんか。まさかコミックになっているとはまったく知りませんでした。出版日は (2008/3/13) とあるから、出版後まだほやほやらしい。

「鳥類学者のファンタジア  下 (3) (KCデラックス) (コミック) /望月 玲子 (著), 奥泉 光 (著) ;講談社」

「上」、「下」、(3)とか書いてあり、全何巻のシリーズかは分からないが下記にあげた出版社からの内容紹介を読むと、紛れもなく前回とりあげた「奥泉光/鳥類学者のファンタジア」のコミック版のようである。表紙のイラストから推察すると、どうも若い女性向けのコミックのようであるが・・・・。少し気恥ずかしいが、機会をみて書店で立ち読み、品定めでもしてみようと思う。多分オカルト的趣向が前面に出た作品だと思われる。さて、奥平原作には溢れていた、そのJAZZYなテイストは、いかなる表現がなされているのであろうか? 興味津々!

鳥類学者のファンタジア 上 (1) (KCデラックス)
望月 玲子 / / 講談社
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 【出版社 / 著者からの内容紹介】

「オルフェウスの音階」と猫が導くめくるめく冒険ファンタジー!
ジャズピアニスト・フォギーこと希梨子は演奏中、柱の陰に1人の聴き手の存在を感じる。彼女の前に現れたその不思議な女性は、昔ベルリンで亡くなったはずの祖母・霧子だった!謎の「オルフェウスの音階」と猫に導かれて、ナチス支配下のドイツにタイムスリップした彼女は……!?

時空を超えた壮大な冒険旅行の意味がついに明らかに……!
1944年のベルリンで「神霊音楽協会」という謎の組織に深く関わることになったフォギー。降霊会で「水晶宮」へトリップしてしまった彼女が見た「宇宙オルガン」の正体は!?そして霧子の演奏による前代未聞の「実験」とは!?時空を超えた壮大な冒険旅行の意味が、ついに明らかに!

読むJAZZ(4)   ~ 鳥類学者のファンタジア ~

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このブログの読者「堅気の勤め人@横浜」さんから、「読むJAZZ」へのコメントを頂きました。それは、「奥泉光/鳥類学者のファンタジア」のおすすめであった。この本、たしか4年ほど前に買ったが、あまりの超長編(文庫本で約750頁ほど)のため、躊躇したまま本棚にしまい込み、すっかりその存在を忘れてしまっていた。氏のコメントでそのことを思い出し、早速読んで見たが、JAZZファンにとっては、実に面白い、まさに「読むJAZZ」に値する本であった。

まず「タイトル」からして、うれしい。JAZZファンなら、「鳥類学者」の「鳥」が、かのビ・バップの創始者「チャーリー・“バード”・パーカー」を指していることは容易に想像つくであろうし、主人公である女性JAZZピアニストの「フォギー」こと池永希梨子は、「バド・パウエル」を敬愛する「ビ・バッパー」を自認しているが故の「鳥類学者・・・」というタイトルであることも納得がいく。さらに、パーカーの曲に「鳥類学/Ornitholgy」と言う有名曲があり、タイトルにも三重の仕掛けが施されている。

ストーリーはといえば、フォギー・希梨子が国分寺のライブハウスで演奏中に、「柱の陰に誰かいる・・・」という不思議な感覚にとらわれ、1944年冬、ナチスの敗色濃厚なベルリンにタイム・スリップして大冒険が始まる。そして「フィボナッチ数列」、「オルフェウスの音階」、「ピタゴラスの天体」やら、キリストを刺したといわれる「ロンギヌスの聖槍」などが彩る、オカルト色一杯のファンタジーが展開される。やがて最後は、舞台は1945年のニューヨーク、ハ-レムのビ・バップ発祥の地といわれる伝説のJAZZクラブ「ミントンズ・プレイハウス」へと移り、マイルス・デイヴィス、セロニアス・モンク、マックス・ローチらが集う、ビ・バップが誕生するJAZZの歴史の瞬間に立会い、「フォギー」もセッションに参加し、最後はなんと「チャーリー・パーカー」の演奏を聴いて、JAZZの本質を確証し、気がつけば国分寺のライブハウスへ戻る・・・。 

このブログでJAZZを文章で語ることの難しさと未熟さを痛感していたが、この小説を読むにいたって一層その想いが強まった。
いわく、「アイデアや閃きを間髪をいれず腕と指の動きにもたらす瞬発力は反復練習によってしか鍛えるしかなく・・・」といった音楽への姿勢や、「右手と左手の打鍵のずれでもってリズムをつくりだしながら・・・・」というようなライブハウスでの演奏の描写に生き生きとしたプレイヤーの内面が見事に描かれている。これも実際にJAZZバンドでフルートを演奏するという奥泉氏のジャズ感が随所に垣間見られる。終章「ミントンズ」でのビ・バップの立役者たちによる白熱のセッションの描写も、実際に演奏が眼前で展開されているかのような錯覚さえ覚える。
そして最後の解説は、あの「山下洋輔」。山下洋輔をして「この作品をジャズとジャズマンと柱の陰の聴き手への壮大なオマージュとして受け取る喜びを分かちあいたい。」と最大級の感謝と賛辞を贈り、主人公フォギーのバンドのテーマ曲である「Foggy’s Mood」を作曲し、その楽譜が記載されている。
また、この曲は、奥泉光オフィシャルサイト「バナール主義」の作品リストで、本人のフルートを含むカルテットで聴くことが出来る。

国分寺のライブハウスから始まって、そこへ戻って終わるという、リアルタイムで言えばステージとステージの休憩のほんのつかの間の壮大なファンタジー、「鳥類学者のファンタジア」。山下洋輔氏も言っているように、「ただ一度のアドリブ・ソロの中に、プレイヤーたちはこれだけの夢を見ているのだ」というその壮大な夢とJAZZの本質に迫る「読むJAZZ」。これぞ、JAZZファンにおすすめの書である。

鳥類学者のファンタジア (集英社文庫)
奥泉 光 / / 集英社
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チャーリー・パーカーに憧れてジャズ・ミュージシャンになったという、現代っ子「矢野沙織」のアルバムから。日本のハイティーンの女の子が、ニューヨークのJAZZクラブで,アルトサックスを絶好調で吹きまくるその痛快さ。

PARKER’S MOOD~Live in New York
矢野沙織 / / コロムビアミュージックエンタテインメント
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