JAZZYな生活

プレミアムエイジ ジョインブログ

私的番外編・もしもピアノが聴けたなら

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私事で恐縮ですが、次男が結婚しました。親としては一つ肩の荷が下りたと同時に、社会へお返ししたのだから、色々の面で社会的責任を果たし、人間的にも成長していって欲しいと、月並みな普通の親としての感慨を持ちました。

ところで、新婦は幼少の時からピアノを習い、今は職場のJAZZバンドでピアノを弾いているとの事。「もしもピアノが弾けたなら」シリーズを連載している私としては、これは見逃せません。「ぜひ、いちど聞かせて欲しい」と頼んでおきましたが・・・・・。いや、贅沢な夢が実現しそうかな。

結婚披露宴で、そのバンドのメンバー二人が、演奏してくれた曲が、優しく美しく心に響く演奏でした。その曲は、ギターとバイオリンのデュオで、情熱大陸のテーマ曲「葉加瀬太郎/エトピリカ」。

アルバムは、ヴァイオリンとピアノのデュエットで、代表曲15曲を再録音した葉加瀬太郎アコースティック・ベスト盤。

Sweet Melodies~TARO plays HAKASE

葉加瀬太郎 / ハッツ・アンリミテッド

もしもピアノが弾けたなら(16) ~ヨーロッパ・ジャズ・ピアノ・トリオ番外編(2)~

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ヨーロッパJAZZピアノ・アーティストの補足の番外編を続けましょう。

いままで書いてきたように、ヨーロッパのジャズ・ピアニストたちを並べてみると、北欧を中心とする北ヨーロッパとイタリアに出身を持つピアニストが多いことに気がつきます。なにか理由があるのでしょうが、残念ながら私には思い浮かびません。どなたかお考えをお持ちじゃありませんか?
それと、いずれのアーティストの殆どが、ビル・エヴァンスによって確立された、三者対等のインタープレイ(=アドリブ)を前面に打ち出した「ピアノ・トリオ」のスタイルと、メロディやハーモニーを基調とする「音楽世界観」を踏襲する、いわゆる「エヴァンス派」であるということです。

かってよく聴いていたが、その舌を噛みそうな名前が覚えられなくて、長らく忘れていた次に挙げるピアニスト、「エンリコ・ピラヌンツイ・トリオ」もまたイタリア出身の「エヴァンス派」です。ヨーロッパJAZZがこんなにもブームになる前、EJTが結成された1984年にはすでにレコードデビューを果たし、いちはやく、エヴァンス派の筆頭格として注目を集めたイタリアのベテラン、名手である。いまはなきレーベル、アルファ・ジャズが手がけた作品のひとつである「ナイト・ゴーン・バイ」は、1996年リリースの名盤とよばれるアルバムであるが、その希少性により中古市場においてプレミア価格で取り引きされる人気盤となっていたが、待望の復刻再発売が実現したアルバム。エンリコ・ピエラヌンツィ(p)、マーク・ジョンソン(b)、そしてビル・エヴァンス・トリオのドラマー、ポール・モチアンを迎えたトリオによる、「Yesterdays」で幕が開く、美しくもドラマティックな世界。

ナイト・ゴーン・バイ
エンリコ・ピエラヌンツィ・トリオ / / ビデオアーツミュージック
ISBN : B00009AUZJ
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彼のアルバムはいままでに約20作ほどリリースされているが、デビュー当時と同メンバー(ドラムスがジョーイ・バロン)で、デビューの11年後の1997年にNY録音のアルバムが「チャント・オブ・タイム」。ビル・エヴァンスの流れを汲んだ耽美派とも呼ばれる彼の演奏は、流麗、華麗なタッチでメロディを奔放に奏でるが、その曲の持つ本質的な美しさを決して損なうことはない。「Fool On The Hill」、「You Don’t Know What Love Is」にそのことが見て取れる。そしてオリジナルの「Un’alba Dipinta Sui Muri/壁に描かれた夜明け」は、切ないほど美しい。

チャント・オブ・タイム
エンリコ・ピエラヌンツィ・トリオ / / ビデオアーツミュージック
ISBN : B0000C9VP9
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もしもピアノが弾けたなら(15) ~ヨーロッパ・ジャズ・ピアノ・トリオ番外編(1)~

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イタリアでピアノが発明されて、今年で丁度300周年。それにちなんで、イタリアから出発してヨーロッパのJAZZピアニストを中心にこのシリーズを書いてきたが、後数回でそろそろ大詰め。今回は、番外編としていままで漏れていたアーティストを補足してみたい。

まずは前回の「北欧への憧れ編」で漏れたノルウェイのアーティストから「トルド・グスタフセン/Tord Gustavsen」。このトリオによる3作目、2007年にリリースされた『Being There』が素晴らしい。最初の収録曲「At Home」は、私のようなウェットな日本人にはピッタリのはまり曲で、出だしのフレーズを聞いただけで、涙腺が緩みそうな感じである。『このトリオは明確な方向性とサウンドを持っているが、まだまだたくさん探求すべき部分もあるのだ』とグスタフセンは語る。いろいろな可能性を追求している最中という意味で、このアルバム・タイトルを、『Being There』、『現在いう時に存在し、その瞬間の全てを感じ、たっぷり焦点を当てた』という意味を込めたという。はっきりとしたメロディー描写が特長のヨーロッパJAZZのカテゴリーにあてはまり、今後の可能性を期待させる北欧JAZZピアニスト。微妙なタッチ、音と音の間(ま)、深く心に届いてくるピアノ。緩やかだが力強いベース。指の先だけでなく、編み針やペーパータオルの芯のような特殊な道具も使っているという、かすかなかすれ音がピアノを引き立てるドラムのブラッシ・ワーク。そして、北欧の冷たく透き通った空気を感じさせるECMの録音(オスロのRainbow Studio)もすばらしい。

Being There
Tord Gustavsen Trio / / ECM
ISBN : B000NVL4EM
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そして、かの人気の評論家「寺嶋靖国」氏が、年に1枚のペースで、知られざる名演奏を発掘し、紹介していた「Jazz Bar」シリーズの2007年度版で教えてもらったが、「Michel Bisceglia(ミシェル・ビセリア)/Paisellu Miu」。「Jazz Bar 2007」の4曲目に収録されているが、その切なさはもう落涙もので、寺嶋氏も絶賛。欧州系JAZZピアノファンは必聴すべし。

イタリア系ベルギー人ピアニストで、出所のオリジナル・アルバムは「Inner You」である。即、Amazonで発注したが、このアルバムは売り切れのため、「i-Tune Shop」で有料ダウンロードした経験がある。日本に殆どなじみがないアーティストであるが、透徹とした独自のピアノ世界を展開している。「Paisellu Miu(Rocco Granata/Michel Bisceglia)」 の切なさだけを味わいたいなら「Jazz Bar 2007」をおすすめ。

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「Michel Bisceglia(ミシェル・ビセリア)/「Inner You」」

寺島靖国プレゼンツ JAZZ BAR 2007
オムニバス / / インディーズ・メーカー
ISBN : B000WZO446
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「ティティアン・ヨースト/Tizian Jost」。1985年ミュンヘン生まれ。ベテランのドイツ人ドラマー「クラウス・ヴァイス」が推す若手ピアニスト。ベースのThomas Stabenow とともにサポートしているのが同じレーベル澤野工房の「ロバート・ラカトシュ」。まったくおなじ構成なので、そのことがやや気になるが、このベテランが有能な若手JAZZピアニストを育て、売り出そうとしていると素直に解釈したい。

ヨーストもヨーロッパJAZZピアノのカテゴリーにぴったりはまり、そのシンプルさと柔らかな心地よさは決してピアノ・ファンを裏切らないはず。蒼い瞳のジャケットが極めて印象的な最新アルバム「Night Has A Thousand Eyes」。軽やかリズム、洗練されたスウィング。選ばれたスタンダード中心の選曲の多くもどこかで聴いたことがある。

日常生活の中で、忙しさや喧騒やストレスなどで暮れのこの季節、見失ないがちになっている自分を少し取り戻す・・・・。シンプルで柔らかな語り口のこのアルバムは、そんな助けに少しはなってくれそうです。

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Tizian Jost/Night Has A Thousand Eyes

もしもピアノが弾けたなら(14)  ~はるかなる北欧への憧れ~

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北欧の短い夏。ストックホルム。太古に氷河が大地を削り取って出来た複雑な地形のフィヨルド。そのフィヨルドが、ストックホルムの街まで複雑に深く入り込んでいる。ストックホルム市の発生の原点でもあり、いまなお市の中心でもあり、中世がいまも息づく街、「ガムラスタン」。車はまったく通れないほどの狭い石畳の路地を抜けると、日の光の差しにくい路地とは対称的に、真夏の光にきらめくストックホルムの港が目の前に開ける。そこには、オスロ(ノルウェイ)、ヘルシンキ(フィンランド)、タリン(エストニア)などへの客船や大型クルーザーが、真っ白に輝く優美な船体を横たえて停泊している。それらの船を見ると、日本から、はるかかなたのストックホルムの埠頭にたたずみながらもなお、まだ訪れたことの無い他の北欧やバルト海沿岸の街への憧れを掻き立てられていることに驚きもした。

「北欧のヴェネチア」と呼ばれ、フィヨルドの特徴である複雑な地形を見せる入り江や湾と島々から成るストックホルム市街は、島が連なった優美な街で、「ヨーロッパで最も美しい首都」の一つに挙げられている。
13世紀、この「古い町・旧市街」を意味するガムラスタン地区にストックホルムの基礎となる初めての居住が行われたという。この東西700m南北800mほどの島である旧市街、「ガムラスタン」には、ストックホルムは勿論、スウェーデンの重要な建造物の多くが集まっているのだ。
王家の居城はストックホル郊外のドロットニングホルム宮殿であるが、国王の執務などが行われる王宮、国会議事堂、大聖堂など・・・。

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そして、ガムラスタンには中世の古い通りがそのまま残されていて、無数の石畳の通り路地が交差し、建物と建物の間隔が1m前後の狭い路地、あるいは階段や曲線状の通路などが、街の景観と風情を創りだし、旅人達の心に旅情を醸し出している。これらの通りや路地には、お土産ショップ、アートやアンティークショップ、ファッションショップ、あるいはカフェやレストランなどが軒を連ね、ツーリスト達を迎えている。勿論、JAZZクラブもいくつかあり、ストックホルムの夜を楽しんだことが思い出としていまも残っています。あ、そうそうノーベル賞の受賞晩餐会はガムラスタン近くの美しい赤レンガ造りの市庁舎で行われるのです。今年は4人の日本人が受賞という快挙でしたね。

そんなストックホルムの埠頭から、私がなお遠く思いを馳せたフィンランドやエストニアからも素晴らしいJAZZアーティストが生まれているのだ。

ウラジミール・シャフラノフ(Vladimir Shafranov)。現在フィンランドに住まいを持っての悠々の活動を展開しているが、かの澤野工房が発掘し、紹介してから日本でも急速に人気が高まったアーティスト。その幻の名盤といわれたアルバムを復刻したのが「White Nights」。全体的には、落ち着いたやや地味な印象ではあるが、タイトル曲の「White Nights」はその透明感といい、哀愁といい、際立っている。「名盤」と呼ぶにふさわしい一枚。
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White Nights/Vladimir Shafranov

そして、歌物スタンダードにボッサ、クラシックなどの趣味の良い選曲を加え、いつもながらのスウィング感溢れる演奏で聴かせてくれる。その抒情性とその手際やタッチの鮮やかさにいつもながら感心してしまう一枚。
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Kids Are Pretty People/Vladimir Shafranov

最新作は、「Easy To Love」。コール・ポーター、トミー・フラナガン、A.C.ジョビンなどのスタンダードに、ショパンのノクターン「別れの曲」を加えて聴かせる。どんなとき、どんな場所で聴いても決してその場の雰囲気を裏切らないBGMの極みと言っていい上質のアルバム。ふっと肩の力が抜け、体がリズムを刻み出しますよ。
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Easy To Love/Vladimir Shafranov

「ついに澤野もエストニアのアーティストまで・・・・」と話題にもなった「トヌー・ナイソー・トリオ/Tonu Naissoo Trio」。エストニアは、旧ソ連崩壊後独立を果たしたバルト三国の一つである。思いを馳せただけで訪れたことの無いエストニアの地同様、いまだ聴いていませんので、キャッチコピーを引用しておきましょう。いつか願いがかなうように・・・。

いつもはるか遠くエストニアの国から、驚くほど素敵なジャズを届けてくれるトヌー・ナイソー・トリオの新録です。スピーディにリズムを刻む快活なドラムと、まろやかな音色で穏やかに包み込むベース。そして何よりも、軽々と鍵盤の上を踊るトヌーのタッチが目に浮かぶような、クリアなピアノ。バラードでは子守唄のように滑らかに耳に馴染み、聴く者の心を静めてくれます。
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トヌー・ナイソー・トリオ/FOR NOW AND FOREVER

もしもピアノが弾けたなら(13)  ~ スエーデン、雪と光のクリスマス ~

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梅田のスカイビルの巨大クリスマス・ツリーに点灯されたというニュース。11月も半ばの、この時期になると、あちこちのクリスマス・ツリーに灯が灯されたと言うニュースが流れる。そして関西では、12月にはすっかりおなじみとなった神戸「ルミナリエ」、中之島の「光のルネサンス」などの光のイベントが行われる。冬、特にクリスマス間近のこれからの時期、日本の各地は「光」のイベントに包まれる。

以前のブログでクリスマスのこの時期のヨーロッパはおすすめであると書いた。(参照「番外編 X’mas Jazzy 紀行」)そのなかでもこの時期のスエーデンにはとりわけ思い出がある。
(参照「欧州JAZZY紀行(2) ~スエーデン北緯60度にて~」、「欧州JAZZY紀行(10) ~スエーデン式スロー・ライフ~」など)

ブログで書いたように、スエーデンのクリスマスの時期には写真のような山型のデコレーション・ライトが街中のオフィス、アパート、商店などすべての窓辺に置かれるのである。街中の窓という窓が山型ライトの明かりで、ほのかに雪の中に浮かび上がる光景は、幻想的でロマンティックで、暖かな雰囲気に包まれる。日本からの長旅の疲れがどれほど癒されたことか、私は今でも思い出すたびに胸に暖かさがゆっくりとこみ上げてくる。

そして、もう一つこの時期のスエーデンの風物詩は「12月13日」に行われる「ルシア祭」である。冬にスエーデンを訪れるたびに、この祭りをみてゆけと勧められたが、ついに観られずじまいであった。クリスマスよりも、この「光の祭り」と呼ばれている「ルシア祭」のほうがスエーデンでは、「一番大切な冬の行事」であるといわれている。

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12月13日、聖ルシアの日。日本でも有名なあのイタリア民謡「サンタ・ルチア」の「ルシア」である。「ルシア」はイタリアのシシリー生まれで、今から1700年ほど前に火あぶりになった聖女。なぜイタリアの聖女がスエーデンで祝われるのか、起源はよく分からないらしいが、この日は、旧暦によると最も夜の長い冬至の日、冬の長いスカンジナビアに暮らす人々が、この日を境に翌日から日が長くなることから、光に対して抱く特別な感情、或いは民間信仰がキリスト教と融合し、この祭りになったのではないかといわれている。この日の夜、スウエーデン各地の教会では、教会の鐘が高く鳴り響き、頭には7本のローソクに灯が灯る冠を付け(八つ墓村ではありませんよ!念のため)、白装束の光の女王、「サンタ・ルシア( Sankta Lucia )」に扮した若い女の子が、サンタ・ルシア( 清しこの夜 )の歌を唄いながら、静かに祭壇に向かって歩く。そして、教会のコーラス・グループがクリスマスにちなんだ多くの歌を次から次へと唄い、その間に宣教師が聖書を読み上げる。この神聖なルシア祭は、一年でもっとも重要な儀式で、普段教会には来ない老人も若い人達も、この日だけは家族そろって教会に来るそうです。

すこし気の早いクリスマス・レポートでしたが、こんな「ルシア祭」に関した記述を読むと、一度だけでもぜひ観ておきたかったなあと思う・・・。

今夜は、家の近くの北欧雑貨店「ロピスラボ」で買い求めたフレーバーな薫りと味がお気に入りの、スエーデン紅茶「スモーランド紅茶」をゆっくりと飲みながら、スエーデン女性JAZZピアニスト「モニカ・ドミニク・トリオ」を聴くとしようか・・・・。

「モニカ・ドミニク・トリオ/ティレグィナン」。アルバム・タイトルは、献呈或いは献身という意味だそうで、スエーデンでは定番のウエディング・ソングとして親しまれているそうです。

美しさ、儚さ、切なさ… 全てが優しくブレンドされた、スウェディッシュ・ピアノ・トリオの大名作、遂に復刻! 北欧はスウェーデンの女性ピアニスト、作曲家、また歌い手としても多彩な才能を発揮するモニカ・ドミニクが、1980 年にトリオ編成で自主レーベルからリリースした極上の秀作が、遂にCD 化。ジャズファンのみならず、美しいメロディを好む方なら、きっと誰もが気に入るのでは?と言うメロディアスな逸品です。愛らしいジャケットも、ホントに最高デス…(CDの帯からの引用)

女性の細やかな感性だけでなく、スエーデンという清冽な風土がこんな美しいアルバムを紡ぎだした。このアルバムもまたヨーロッパ・ジャズのカテゴリーにぴったりと嵌まってしまうのだ。初めて取り上げた女性ヨーロピアン・ジャズ・ピアニスト。

ティレグィナン
モニカ・ドミニク・トリオ / / ヴィヴィド・サウンド
ISBN : B001FMHYT2
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もしもピアノが弾けたなら(12)  ~人魚姫のとまどい~

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デンマークの首都、コペンハーゲンに有名な観光名所ともなっている「人魚姫の像」がある。そう、あの童話作家のアンデルセンによって生まれ、彫刻家エドワード・エリクセンによってその優雅な姿を彫られた「人魚姫の像」の像である。コペンハーゲン港の埠頭の脇にひっそりと座っている。

コペンハーゲンから海峡を隔て、指呼の距離にあるスエーデン、マルモ(マルメ)市に関連会社があった関係で、コペンハーゲンには度々訪問したことがある。現在は海峡に橋が架かって、コペンハーゲンとマルモは鉄道で40分程度で結ばれているが、それまでは船、フェリーであった。休日などにフェリーでコペンハーゲンに遊びに行くと、船の到着する桟橋から「人魚姫の像」がよくみえたものだ。
マー・ライオン、小便小僧とあわせて、「世界三大がっかり」の一つと揶揄されたりもしているが、私はこの像が大変好きである。大きさも、想像していたより小作りで、高さ120cmほどの小さい像ですが その肩先の細い線や、左手の指先のラインなどに優美さや哀愁が感じられ、中宮寺や広隆寺の弥勒菩薩・半跏思惟像とどこか通ずるような、繊細さ、儚さ、可憐さが漂っているのである。

ところが、この像を、2010年の上海万博に出展させるという計画を政府が提案したところ、市民から猛反対の声が上がり、いま大騒動になっているそうだ。ヨーロッパを訪れる観光客数では近年日米を抜いてNo1となった中国人観光客をデンマークにも呼び込むための目玉と政府は考えただろうが、地元紙なども首都のランドマークの他国への貸し出しには反対しているようだ。いままでに何回も修復されたいるらしいが、1913年から100年近くバルト海を見つめ物思いにふけってきた人魚姫も、きっと当惑しているに違いないだろう。

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コペンハーゲン。チボリ公園などで有名なこの美しい北欧の王国・デンマークの首都には、数多くのJAZZ CLUBがあるジャズの街でもある。もう10月のこの時期はコートが必要なほど朝夕は冷え込むが、色づいた街路樹、公園の木々と石造りの建物、石畳のコントラストの美しさ、もう季節を終え、ハーバーに舫われたヨットたち。旅情を誘う北欧の詩情あふれる街。

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しかし、「水清くしてJAZZ?住まず」。パリ、アムステルダムなどと同様、コペンハーゲンは裏の顔を持っている。ゲイおよびレズビアンの旅行者にとって人気のある目的地になっており、毎年八月はじめに行われるコペンハーゲン・プライド(かつてのマーメイド・プライド・パレード)は彼らのための最大のお祭りである。またコペンハーゲンは不夜城都市であり、最大の繁華街ストロイエを、散歩しさえすれば、特に午後から夕方にかけては、音楽家、マジシャン、ジャグラーなどの大道芸人たちによって繰りひろげられているパフォーマンスを観ることが出来る。

毎年7月上旬に行われ、今年で30周年を迎える「コペンハーゲン・ジャズ・フェスティバル」は、ヨーロッパで有名なジャズ・フェスティバルの一つである。1960年代はじめにアメリカのジャズ・ミュージシャンたち、ベン・ウェブスター、タッド・ジョーンズ、リチャード・ブーン、ケニー・ドリュー、エド・シグペンなどが出演してから大きく発展したといわれる。コンサート・ホールだけでなく、市内の小さなクラブ、カフェ、ストリート、歴史的な場所や広場、運河など街中のいたるところででジャズが楽しめる。仙台、神戸、御堂筋など日本でもよく行われる「街ジャズ・フェス」の原型ではないだろうか。

そして、北欧を代表する哀愁・可憐派ピアノ・トリオは貴公子「ヤン・ラングレン・トリオ」。1966年生まれ、スエーデン南部地方出身で現在はマルモに住み、マルモとコペンハーゲンを行き来しているそうだ。ヨーロピアン・ジャズ・トリオに通ずる典雅さ、ジーン・ディノヴィに通じるよく歌うピアノと華麗なメロディとスイング感、明るさと華やかさがあり、まさにヨーロピアン・ジャズのテイストを持つ。
わずかな夏を追って足早に迫りくる北欧の長い冬の季節。その間の短い秋。まさに「Fall」と呼ばれる秋の夕暮れに聴くにはあまりにもうっとりするロマンティックな「ヤン・ラングレン・トリオ」。

ロンリー・ワン
ヤン・ラングレン・トリオ / / エム アンド アイ カンパニー
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シャレード
ヤン・ラングレン・トリオ / エムアンドアイカンパニー
ISBN : B000063C43
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パーフィディア
ヤン・ラングレン・トリオ / / エム アンド アイ カンパニー
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仕事ではあったが、何度となく訪れた北欧コペンハーゲンとマルモの街。その思い出のために・・・・・・・。

もしもピアノが弾けたなら(11) ~アムステルダムの陽だまり~

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写真;アムステルダム近郊のチューリップで有名なキューケンホフ公園

「アムステルダム」とくれば、「ヨーロピアン・ジャズ・トリオ(以下EJT)」をあげないわけには行かないだろう。「ジャック・ルーシェ」など60年代に一世を風靡したバロック・ジャズを別にすれば、私がヨーロッパ・ジャズに、特にジャズ・ピアノ・トリオに目を向けるようになったのは、まさにEJTからである。元は1984年にカレル・ボエリー(p)を中心としたメンバーで結成されたらしいが、1988年にカレル・ボエリー(p)、フランス・ホーヴァン(b)、ロイ・ダッカス(ds)というメンバーで再スタートし、1989年にアルバム「ノルウェーの森」でデビューして、日本で大評判になった。以後20年間にわたって、素晴らしい作品をリリースし、その人気は衰えることなく、定着している。
1995年には、ピアノの「カレル・ボエリー」が脱退し、「マーク・ヴァン・ローン」が加入し、その後現在に至るまでメンバーは変わっていない。カレルからマークに変わった微妙な違いはあるにせよ、わたしには、トリオの音楽性に大きな違いや違和感があるとはまったく感じられない。それというのも、各メンバーの技量、音楽性よりも、ユニットとしての「EJT」が目指す音楽スタイル、コンセプトというものが明確かつ重要になっており、プロデューサ(1988年からは木全信氏が一貫してプロデュース)、レコード会社もそれを要求し、リードし、彼らも才能を持って、十分に応えているからであろう。

EJTの音楽スタイルとは何か? それは至極シンプルである。JAZZのスタンダードを始め、例えばビートルズなどのPOPS、ラテンのヒットナンバー、映画音楽、おなじみのクラシックの名曲など、JAZZにこだわらない幅広い曲をレパートリーとし、EJT風の哀愁とロマンティズム、リリシズムで聴かせる、このことに尽きる。このことが特に日本の幅広いJAZZだけでないファンに受け入れられ、長く人気を維持してきた理由であろう。さらに付け加えるなら、このEJTスタイルの幅をさらに広げるために哀愁極まりない曲を奏でるゲストを迎えてのコラボである。フリューゲルホーンの「アート・ファーマー」、ギターの「ジェシ・ヴァン・ルーラー」などとのアルバムがそれである。日曜日の朝、ドライブ、海辺、酒場、深夜の独り酒・・・・・など場所、季節、時間などのシチュエーションを問わず楽しめ、いつ聴いてもスッとかれらの音世界に入っていけ、安らかな満足感を得ることができる。その選曲の絶妙さと、その曲にふさわしい叙情性、ロマン性を失わない限り、いつまでもファンから支持されつづけるに違いない。

さて、おすすめであるが、30枚近いアルバムが出ているので選ぶのに本当に困ってしまうのだが、スタンダード、POPS、クラシックなどが絶妙にちりばめられているEJTスタイルが最もよく分かるアルバムから選んでみよう。

まずは、初代カレルがピアノのデビューアルバム「ノルウェーの森」。マッカートニーの「ノルウェーの森」、「マイ・ロマンス」、「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」、「サマータイム」、「いそしぎ」、「枯葉」などのスタンダードがちりばめられ、爽やかでクール。EJTが目指そうとしたスタイルの原点がよく分かるアルバム。

ノルウェーの森
ヨーロピアン・ジャズ・トリオ / / エム アンド アイ カンパニー
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つづいて、「悲しみのアンジー」。オランダの若手ギタリスト、ジェシー・ヴァン・ルーラーを再び迎えて、3曲フィーチャーしている。「ジャンゴ」、「ゴールデン・イアリング」、「スカボロウ・フェア」などのポピュラーな曲ばかりでJAZZになじみがなくともきっと聴きやすいだろう。

悲しみのアンジー
ヨーロピアン・ジャズ・トリオ / / エム アンド アイ カンパニー
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ストリングス・セクションとの共演盤からは、「モナリザの微笑」。このアルバムを聴くたびに、こういうJAZZを産み出すヨーロッパ社会、文化はなんて豊かなんだろうと思ってしまう。クラシックのロマンティシズムとJAZZのリリシズムが見事に融合したまさにEJTスタイル。「慕情」、「モナリザ」、「サマータイム」などスタンダードとビリー・ジョエルの「オネスティ」などが取り上げられている。

モナリザの微笑み
ヨーロピアン・ジャズ・トリオ / エムアンドアイカンパニー
ISBN : B000657Q1A
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3曲のコンチネンタル・タンゴ(この言葉が分かる人は相当のお年か?)、「夜のタンゴ」、「真珠採り」、「ジェラシー」を、特に取り上げたアルバム「夜のタンゴ」。勿論タンゴだけでなく、ボサノヴァやビートルズ・ナンバー、ノラ・ジョーンズまで取り上げた、最高傑作とも言われるEJTスタイル・アルバム。

夜のタンゴ
ヨーロピアン・ジャズ・トリオ / / エム アンド アイ カンパニー
ISBN : B000BKJE4M
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つぎはお得意のクラシックのジャンルから。これもたくさんアルバムが出ているが、「クラシックベスト盤Ⅰ、Ⅱ」がすべてが網羅されている点でおすすめであるが、単品アルバムをあげるとしたら、「幻想のアダージョ」。特に「アルビーノのアダージョ」「G線上のアリア」は、もともとが美しいクラシック曲であるため、JAZZにアレンジしてもこの上なく美しい。そのほかアルバム「天空のソナタ」、「マドンナの宝石」も。休日の朝にでもゆっくりと聴いてみて下さい。ゆったりとした暖かい気分になれますよ。

幻想のアダージョ
ヨーロピアン・ジャズ・トリオ マーク・バン・ローン フランス・ホーバン ロイ・ダッカス / エムアンドアイカンパニー
ISBN : B00005FPG2
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そして、ゲストとの哀切極まりないコラボ・アルバムから「風のささやき」。もう一つのファーマーとのコラボ・アルバム「哀しみのバラード」もいいが、私はこちらが好き。持病の特定曲症候群のひとつである「風のささやき」が流れ出すともうそれだけで・・・・・・。

風のささやき
ヨーロピアン・ジャズ・トリオ・フィーチャリング・アート・ファーマー / / エム アンド アイ カンパニー
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オランダのジャズ・ギターの貴公子、「ジェシ・ヴァン・ルーラー」を迎えてのアルバム。「エリック・クラプトン」の「Tears In Heaven」や「アランフェス」など4曲をコラボしているが、やはり「サンタナ」の「哀愁のヨーロッパ」が極めつけの聴きものである。

哀愁のヨーロッパ
ヨーロピアン・ジャズ・トリオ ジェシ・ヴァン・ルーラー / エムアンドアイカンパニー
ISBN : B0000549K0
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最後に「カレル・ボエリー・トリオ」もあげておきましょう。初代ヨーロピアン・ジャズ・トリオのピアニスト。新しい境地を開拓したというライナーノーツとみたのと、思わずのジャケ買いに走った「ブルー・プレリュード」。バーグマンの「追想」のテーマ曲「アナスタシア」なども美しい。

ブルー・プレリュード
カレル・ボエリー・トリオ / エムアンドアイカンパニー
ISBN : B000BU6PYO
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EJTの音楽を聴くたびに、フェルメールが描いたあの柔らかな光に包まれたアムステルダムの街角や、チューリップで一杯のキューケンホフ公園の陽だまりが眼に浮かぶ。
やはり「EJT」、私にとってのヨーロッパJAZZ、JAZZピアノ・トリオの原点である・・・・。

もしもピアノが弾けたなら(10) ~アムステルダムに運河は流れる~

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皆さんは「アムステルダム」と聞いたら、どんなイメージを待たれるでしょうか?
オランダ王国の首都、風車、チューリップ、木靴、運河、レンブラント、フェルメール、アンネの日記、そして歴史好きな方なら東インド会社・・・などでしょうか。どちらかといえば、少しメルヘンチックなイメージ。しかし、この街はそれとはまったく違った危ない一面を併せ持っています。麻薬が合法的であること、同性愛・同性結婚が法的に認められていること、飾り窓の女などそちらも公に認められていることなど。ソ連崩壊後、ロシア・マフィア達が大量に流入した街、北朝鮮による日本人拉致のヨーロッパ拠点にもなった街といえば想像できると思います。しかし、そんな奔放、自由な街だからこそ、パリにつぐヨーロッパ有数の「JAZZ CITY」として有名になったといえるでしょう。あの無頼派で最後まで薬物中毒から抜け出せなかった「チェット・ベイカー」が晩年の最後の地となった街。私はといえば、出張時に宿泊する予定のホテルを目の前にしながら、運河をどうしても越えることができずに、1時間近くもウロウロしたというお馬鹿な思い出のある街。

私の好きなヨーロッパ・ジャズ・ピアノ・トリオをあげろといえば、多分すぐにその名が出てくるだろうトリオのひとつがご当地出身「ヨス・ヴァン・ビースト・トリオ」。澤野レーベルで真っ先に好きになったのもこのトリオであった。「暖ったか派ピアノ」の代表格ともいえるトリオで、何回聴いても本当に暖かく、ロマンティックになれるトリオ。浪花のJAZZレーベル「澤野工房」から、最近リリースされたアルバムを含めの4枚リリースされています。「Swingin’ Softly」、「Everything For You」、「Because Of You」、最新作「Exclusively For You」。

ライナー・ノーツにいわく、「感傷の詩人 ヨス・ヴァン・ビースト・トリオによって醸成された極上のワインにもたとえられる、究極のロマンティシズムJAZZピアノ。甘美にして清澄、時には深遠・・・・・ため息をつかずしてこのCDを聴きとおすことが出来ますか?」

「Because Of You」に収められた「いそしぎ」「酒とバラの日々」、「Swingin’ Softly」に収められた「枯葉」「黒いオルフェ」、」、「Everything For You」に収められた「イエスタディズ」「トリステ」「ミスティ」。甘美といわずして何と言おうか。ライナー・ノーツのごとく、夏よりは、冬の暖炉の傍らで酒でも飲みながら・・・という雰囲気のほうがよく似合うかもしれませんが・・・。いずれにせよ、これらのアルバムもピアノ・ジャズを聴いてみようかと思う方には最適のおすすめアルバム。

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Because Of You

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Swingin’ Softly

そして、「熟年離婚あるいは婦唱夫随 (2)」の章でも紹介したように、奥さんでもあるJAZZシンガー「マリエール・コーマン」との共演アルバムを、これまた澤野工房から2枚出しています。自然のままの飾らない、チャーミングなマリエールの歌声。奇をてらうようなアレンジも超絶的な技巧もなく、甘くなりすぎることもないトリオの演奏。その中から滲み出てくる夫婦の暖かさと、さわやかな気持ちのよさの両方を味わえます。

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From The Heart

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Between You & Me

「ルイス・ヴァン・ダイク」。私が入れ込んだオランダが誇る女性ボーカル「アン・バートン」のアルバムで入魂のバックのピアノを弾いていた。(「第5回 二人目の「A」・・・・」、「60歳過ぎたら聴きたい歌(6) ~Bang Bang~」参照)
先のブログでも書いたが、「アン・バートン」のバックでは異彩を放っていたが、彼女の死後しばらく活動を中断、そして最近自分のトリオで演奏活動を再開した。クラシック育ちの華麗な指捌きは認めるも、アンのバックで感じられたあの深い哀しみや詩情はどこへ行っただろうかと、すこしがっかりもしていたが、最新のアルバムではその詩情は戻ってきたように思われる。

おもいでの夏
ルイス・ヴァン・ダイク・トリオ / / エム アンド アイ カンパニー
ISBN : B000SKNPEU
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ソロでよし、女性ボーカルとの組み合わせもよし、JAZZピアノの楽しみは深いのだ!

もしもピアノが弾けたなら(9)   ~ 至福のハンガリアン・ナイト ~

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(写真は小ホール、芸術文化センターHPより)

「ロバート・ラカトシュ」、なにわのJAZZレーベル澤野工房がいちおしの若手JAZZピアニスト。1975年ハンガリー、ブタペスト生まれ。まだ33歳の気鋭のアーティスト。
聴いた瞬間に「やばい!!」と直感的に感じるアーティストが過去にも何人かいましたが、彼もその一人でした。2週間ほど前に初めて友人の薦めで聴いてはまり、7月24日に初来日コンサートがあるの知り、速攻チケット予約し、コンサート「Robert Lakatos Trio & Solo」に行ってきました。

コンサートがあったのは、あの大震災から10年後、兵庫県の文化復興のシンボルとして阪急西宮北口駅にオープンした、芸術監督を「佐渡裕」が務める兵庫県立芸術文化センター。地元住民の熱い支持やボランティアをうけ、大きな成功を収め、芸術文化の新しい発信拠点となった大中小3ホールのうち、座席数約400の小ホールで開催されました。
ユニークな変則八角形のドームで、床、壁、天井、座席すべて木材で覆われたアリーナ形式のホール。そのため、パフォーマーの一挙手一投足が間近に見え、息づかいまでもが聴こえてきそうな客席と舞台の一体感に長け、ピュアーで自然の音に包み込まれるような、ラカトシュには最もふさわしいと思われるようなホール。JAZZ、しかもそんなに有名だとは思われないアーティストなのに、ほぼ満席で、我々とほぼ同世代のご夫婦連れが多かったが、彼の音楽性のためか、意外と若い女性客が多かったことにびっくり。

演目は「You and The Night And The Music」からはじまり、トリオ、ソロを交え、今までのCDに収録された「アルマンド」、「エスターテ」、「フラジャイル」など美しく煌くおなじみの曲が中心で、あっという間の2時間であった。ラカトシュは、私がピアノ・トリオに魅かれる、或いは望む四要素、「美しさ」、「切なさ」、「心に届く深さと力強さ」をすべて持っている。ピアノ・トリオに慣れ親しんでいるベテランだけでなく、これからピアノ・ジャズを聴いてみようかと思っている人にも是非おすすめのアーティストである。先の四要素を持っているがゆえに、決してイージーではなく心に響いてくるはずだ。クラシックも好きな人なら、なおさらであろう。

アンコールの「ブルーモンク」にもびっくりしたが、この日の演奏曲のなかに「チャーリー・パーカー」の曲が2曲ほどあったが、かれもパーカーを尊敬しているみたいで、美しいであるばかりでなく、その根っこに力強いビ・バップへの憧れが脈打っていることも垣間見ることができた。

ラカトシュは、ハンガリー語とドイツ語しかしゃべれないらしく、終始無言で、(MCはドラムのドイツ人ヴァイスが担当していたが)相撲取りかと思う大柄な体格で、スタンウエイが大変小さくみえた。しかし、いったん弾き始めると、その鮮やかなタッチの指先から紡がれる音楽は、無骨な外観からは想像できないくらい美しい。やっぱり、ロバート・ラカトシュ、今後、眼いや耳を離せないJAZZピアニスト。至福の一夜であった。

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You And The Night And The Music
最新3rdアルバムで、今回の来日のメンバーによる演奏である。タイトル曲「You And The Night ・・・・」、「Fragile」、「Whisper Not」、など美しいスタンダードとスインギーな曲が絶妙な組み合わせで芳醇な雰囲気を醸し出す、きっと聴く場所を選ばない珠玉の一枚。

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Never Let Me Go
2作目でラカトシュの本領発揮、まさしく本物、王道であることを確信させるほどのできばえ。なかでも、「Estate」は最高の聴きもの。

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So In Love
デビュー作であるが、この「Allemande」の美しさはどうであろう。かの寺嶋氏が「Jazz Bar 2005」に取り上げたのも分かる。そして「Zingaro」、「Yesterdays」と続けば、デビュー作にして、澤野レーベルの看板アーティストに間違いなく成長するであろうことを予感させるアルバム。

そして、偶然前の日に見たDVDは、今年見逃していたハンガリー映画、クリスティナ・ゴダ監督「君の涙 ドナウに流れ」。
第二次世界大戦以後、ナチの支配下であった東欧地域は、ソビエト連邦(現・ロシア)の支配下に入り、社会主義体制をとる事になる。 表面上、社会は平静を保っていたが、裏では秘密警察による厳しい言論統制や粛清が行われて居り、ポーランド、ハンガリー、チェコでは、自由を求める人々が蜂起しては、ソ連軍に制圧される、という事件が繰り返されていた。1956年に起こった、いわゆる「ハンガリー動乱」と、メルボルン・オリンピックの栄光の陰で繰り広げられた悲劇を描いた作品。
オリンピックに向けて水球チームのエースとして活躍するカルチは、学生デモを統率する女子学生ヴィキと出会う。革命を信じる彼女と接し、ソ連軍が市民を撃ち殺す光景を見たカルチは、自由のための戦いに身を投じてゆく…。若い男女の愛の物語を中心に、感動のストーリーは展開されますが、 ハンガリー国民の苦難の歴史を、50年以上も経った今、映画として描く事が出来たという歴史の背景にも思いを馳せる映画であった。

君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956 デラックス版
/ ジェネオン エンタテインメント
ISBN : B0017UE0PS
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映画とコンサート。二夜連続、至福の「ハンガリアン・ナイト」であった・・・・・・。

もしもピアノが弾けたなら(8)   ~ 「ジャポニズム」の息吹が聞こえる ~

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(写真はHPより  脚付杯《蜻蛉》 エミール・ガレ 1903-04年 サントリー美術館蔵)

「うちふるえる蜻蛉を愛する者 これをつくる(エミール・ガレ)」という言葉に魅かれ、天保山「サントリー・ミュージアム」でひらかれている「ガレとジャポニズム」を観に行ってきました。ガレという人物が何者であるかは勿論知っていたのですが、140点、これほどの数のガレの作品を体系だって見るのは初めてでした。日本画、浮世絵、錦絵、陶磁器、工芸品など19世紀後半ヨーロッパに渡った日本の美術品は「ジャポニズム」と呼ばれるブームを巻き起こした。印象派の画家たちがこぞってそのモチーフを取り入れたことはよく知られているところですが、フランスのアール・ヌーヴォーを代表する装飾芸術家「エミール・ガレ(1846-1904)」もその影響を大きく受けた一人であった。初期のガレは、北斎などの日本画のモチーフなどを巧みに配した美しいガラス工芸品などでその名声を得るが、やがて一歩高みの「自然への回帰」をテーマにした自己の世界を確立していく。そんな彼の美の軌跡と変遷に触れることが出来た展覧会。展示品はすべてため息が出るほどに美しく、「ガレだね、やはりガレは美しいね」と言った入社当時、配属された研究所の所長の言葉を思い出しました。

展示は4章仕立てで、構成されていますが、私は「第4章:ガレと蜻蛉」に一番興味を惹かれました。その訳は、私の卒業した高校の校章が「蜻蛉、とんぼ」であり、その謂れは、日本の国の形が蜻蛉の交わる形に似ていることから、「蜻蛉」の古称にちなんで「秋津洲(アキツシマ)」と呼ばれていたことに由来しているからです。ガレは30年余にわたる創作活動の中で、たびたび蜻蛉をモチーフに取り上げ、そして蜻蛉文を付したある作品に、「うちふるえる蜻蛉を愛する者 これを作る」との冒頭の銘文を彫っていますが、写真の最晩年の脚付杯《蜻蛉》は、まるで彼の形見のように、ごく近しい友人かあるいは親族に授けられたとも言われています。この杯はフォルム、質感、色といい、本当にうちふるえるほど美しい。

「JAZZ」というジャンルの音楽は、もうすっかりグローバルな音楽になってしまったので、あえて「ジャポニズム」などいう名の衣をまとわなくても、十分世界を魅了し、世界に通用する日本人アーティストたちが沢山出てきている。その若手の代表JAZZピアニストが「上原ひろみ」。NYで現在活躍する彼女は、1979年生まれ、バークリー音楽院在学中の2003年「Another Mind」でデビュー、その後同音楽院を首席で卒業、アルバム5作を数える。オスカー・ピーターソンに強く影響を受け、彼やミシェル・カミロ、チック・コリアなどとの共演もこの若さで行い、彼女の辞書には「気後れ」という言葉はないのではと思わせる。その独創性がゆえに天才とも称され、いま最も「旬」で人気No1.のピアニストといえる。初めて聴いたとき、まったく今までに聴いたことのない音世界を感じさせたアルバムは、「スパイラル」であった。

スパイラル(通常盤)
上原ひろみ / / ユニバーサル ミュージック クラシック
ISBN : B000ASBG3W
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彼女のJAZZは、どちらかといえばロック系、フュージョン系の「音作り」と思っていたが、映画「オリヲン座からの招待状」のメインテーマ「The Place To Be」で見せたくれた、穏やかで、暖かく、そして澄んだ世界にも素直に惹かれたが、それに続いて待望のスタンダード集がリリースされた。ますます「ガレ」にも似た変幻自在な彼女のイマジネーションの世界が拡がる。

ビヨンド・スタンダード(通常盤)
上原ひろみ~HIROMI’S SONICBLOOM / / UNIVERSAL CLASSICS(P)(M)
ISBN : B00162LY2Y
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「小曽根真」。1961年、神戸生まれ。彼もまたオスカー・ピーターソンに影響を受けてジャズ・ピアノを始め、バークリー音楽院卒業後、83年に米CBSと専属契約を結び、デビュー・アルバム『OZONE』を発表。トリオ、ソロ、ビッグバンド、オーケストラとの共演など、多様なスタイルで精力的に活動中である。その小曽根が、JAZZにこだわらずに、広く愛されるメロディを持つ楽曲をソロで演奏したアルバム「フォーリング・イン・ラヴ・アゲイン」が心地いい。リアル・ジャズ・ファンには物足りないかもしれませんが、還暦男の耳には本当に心地よい。彼、彼女たちの音楽は、和風の音階や旋律をことさら用いることはないが、音と音の間の無音の音空間に、古来「間(ま)」、「しじま」となづけられた「静寂の響き」を感じてしまうのは、まさに「ジャポニズム」のDNAかもしれない。

フォーリング・イン・ラヴ・アゲイン
小曽根真 / / ユニバーサル ミュージック クラシック
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そしてこの世界で、忘れてはならない先駆者が「秋吉敏子」。その「秋吉敏子」の名を世界に広めた歴史的名盤が「ザ・トシコ・トリオ」。戦後まもなく渡米し、先駆者として大変な苦労も重ねた彼女の50年に渡る米国でのJAZZ音楽活動の原点となる代表作で、日本人としてはじめて「ジャズの殿堂」入りをしたアメリカン・ジャズ・マスター賞受賞記念復刻盤である。

ザ・トシコ・トリオ
秋吉敏子 / / ミューザック
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新しき「ジャポニズム」の息吹が聞こえる。



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