ストーリーは、瑠里子の復活ライブの最中に起こった殺人事件。果たして彼女が殺人犯であるか否か?ストーリーの出来についてはまあまあであったが、彼女の歌う「サマータイム/Summertime」、そして、多分このドラマのために書かれた曲であろう、「When Love Kills You」を聴くことができた。期待に違わず、なかなかジャージーで雰囲気のある歌唱であったことを記しておこう。
いわゆる歌謡曲の歌手と米国のジャズ・バンドのコラボ。ちょっと想像しがたい不思議な組み合わせである。きっかけは、1997年にアメリカのオレゴン州、ポートランドで結成された、ジャズ・オーケストラ・グループ「PINK MARTINI」のリーダー、「トーマス・M・ローダーデール/Thomas.M. Lauderdale」が、ポートランドの中古レコード・ショップで、偶然手にした由紀さおりのLPレコードのジャケットと透明感のある歌声に魅せられ、「Taya Tan」を自らのアルバムでカバーしたことからだという。その縁で2010年11月、「PINK MARTINI」が世界発売をしたアルバム「Joy To The World」に、「由紀さおり」がヴォーカリストとして参加、日本語で「ホワイト・クリスマス」を歌った。その「Saori Yuki」の歌声が評判となり、そのアルバムは全米の音楽CDで、12月第2週には32位を記録し、2010年のクリスマスの新しい定番となったという。
そして今年。彼女は、2011年10月17日、ロンドンは名門のホール、「ロイヤル・アルバート・ホール/Royal Albert Hall of Arts and Sciences」で、「ピンク・マルティーニ」とのコンサートを大盛況のうちに終了させた。この日、「BBCコンサート・オーケストラ」も迎えての大舞台で披露した曲は、「夜明けのスキャット」、「ブルー・ライト・ヨコハマ」、「さらば夏の日」、「夕月」、「マシュケナダ」などアルバム「1969」からのナンバー。この成功を受け、彼女は12月からの「Pink Martini」 の全米ツアーにも同行するという。(毎日、朝日など各紙参照)
どうにも気になる女性歌手がいる。「インガー・マリエ(・グンデルセン)/Inger Marie (Gundersen)」。このブログでも何回か紹介したノルウェー出身の歌手。2004年のJAZZシーンに彗星のごとく登場した女性JAZZボーカルである。1959年生まれというから遅咲きであるし、デビュー作を含め、アルバムはまだ3枚というから寡作でもある。2004年のデビュー当時、「エミリー・クレア・バーロウ/Emilie-claire Barlow」、「ソフィー・ミルマン/Sophie Milman」、「マデリン・ペルー/Madeleine Peyroux」、「シモーネ/Simone」などオーガニック系の美形女性シンガーとは一線を画した、ちょとアンニュイでダークな大人の雰囲気が際立っていた。
デビュー作「Make This Moment 」(2004)、セカンド・アルバム「By Myself 」(2006)、第三作「My heart would have a reason 」(2009)、たった3枚であるが、ちょっとアンニュイで、ダークっぽく、決して明るく健康的とはいいがたい声であるが、かえってそれが北欧の乾いた空気と、さらっとしたぬくもりを感じさせ、私にとってこよなく心地いい。音の空白、無音の瞬間を大事にする、そんな彼女の歌唱スタイルが成熟した女性を感じさせる。
最近手に入れた三作目「My heart would have a reason」のライナーノーツを見ていたら、歌においても人生においても、彼女の座右の銘は、「Less is more ・・・」だという。「歌いすぎない」、「音を溢れすぎない」、「飾り過ぎない」・・・。彼女の歌を聴くと、そんな彼女の生き方も歌を通じて実感できる。こんな彼女の座右の銘を知って、ますます彼女が気になってきた。北欧の「スロー・ライフ」は、「断捨離」、「足るを知る」などという東洋の思想にもつながっているようだ。
第三作目は、「ジョージ・ハリソン/George Harrison」による名曲「Something」、「スティング/Sting」の「Why should I cry for you」、「ジョニー・ナッシュ/Johnny Nash」の「I can see clearly Now」、さらには「ボブ・マーレイ/Bob Marley」の「Turn your lights down low」、そして「ロバータ・フラック/Roberta Flack」のヒット曲「The first time ever I saw your face」等、飾りすぎることのない、静かで落ち着いた雰囲気のサウンドにあふれている。
マイ・ハート・ウッド・ハブ・ア・リーズン インガー・マリエ / インディーズ・メーカー
アルバム冒頭の曲は、「I Can See Clearly Now」。「60歳過ぎたら聴きたい歌(71)」でも紹介した曲。この歌は、1972年に「ジョニー・ナッシュ/Johnny Nash」が作詞・作曲し、その後 様々なアーティストに カバーされている曲。メロディが明るくて美しい曲であるが、なんといっても歌詞が前向きでとても元気が出る歌である。
「Close Your Eyes」、「I’ll Wait For You」、「I’m A Fool To Want You」、「Windmills Of Your Mind」、「Estate」・・・などが、私がその症候群を引き起こす代表的なウィルス曲ですが、その中に「Comes Love」」という強い感染力を持った曲があります。「♪ 恋に落ちたら、もうなす術がない ♪」という歌詞をもつ古いスタンダードですが、この曲が収録されていれば、歌手が誰であろうとお構いなしに、すかさずそのCDを買ってしまうという症状が現れます。
「ステイシー・ケント/Stacey Kent」のアルバムのこの曲で発症して以来、「ティアニー・サットン/Tierney Sutton」、「ジャネット・サイデル/Janet Seidel」、「コニー・エヴィンソン/Connie Evingson」、「アリス・リシャルディ/Alice Ricciardi」と「発症」を繰り返してきましたが、ここしばらくは落ち着いていたと思っていました。しかし。先日CDショップで目に留まった「親父ごのみ」のなんとなく雰囲気のあるジャケット。手にとってみると「Comes Love」が入っている。おまけになんと「Close Your Eyes」、「Estate」まではいっているではありませんか。即、発症 ・・・。
「ニコレッタ・セーケ/Nikoletta Szoke」。可憐な美形で、「秘密の花園」入りした私が好きな女性歌手の一人である。ヨーロッパJAZZ、それもピアノを主体とした良質なJAZZを提供し続けてくれている澤野工房にあって、ピアニスト「ヨス・ヴァン・ビースト/Jos Van Beest」のパートナーにしてボーカルの「マリエル・コーマン/Marielle Koeman」を別にすると、初めての本格的なJAZZボーカルのデビューである。デビュー作からかなり入れ込んで、やばくなっていたが、この澤野からの3作目も期待にそぐわぬ出来。前作同様、「ロバート・ラカトシュ/Robert Lakatos」のピアノ・トリオが歌伴をつとめ、スタンダード、そしてポップの名曲を、近づく春にふさわしく、華やかに聴かせる。「リュック・ベッソン/Luc Besson」監督の映画「レオン/Léon(1994)
」のラスト・シーンで使われた「スティング/Sting」の「Shape Of My Heart」と、ラカトシュの大人気曲に彼女自身が詩をつけた「Allemande」が心に染み入る歌唱。
ニコレッタ・セーケ/SHAPE OF MY HEART Nikoletta Szoke(vocal) Robert Lakatos(piano) Jozsef Horvath Barcza(bass) Andras Mohay(drums)
そして、二人目はこのブログでも何回か紹介した、「エミリー・クレア・バーロウ/Emilie-Claire Barlow」の新作アルバムは「The Beat Goes On」。ボサノヴァからバカラック、60年代のポップな名曲が小粋なアレンジで蘇る。「雨に濡れても/Raindrops Keep Falling On My Head」、「The Beat Goes On / Soul Bossa Nova」、「These Books Were Made For Walkin’」などJAZZ的フィーリングがあふれる。全ての編曲を彼女が手がけたというから、相当の才人である。ハンドルを握る指先が思わずリズムを刻みたくなる快作。
ビート・ゴーズ・オン エミリー・クレア・バーロウ / ビクターエンタテインメント
彼女の歌で、「The beat goes on soul bossa nova」。
お久しぶりの登場の「イーデン・アトウッド/Eden Atwood」。新アルバムは「Like Someone In Love」。「バニー・マニロウ/Barry Manilow/When October Goes」や「シャーリー・ホーン/Here’s To Life」など新スタンダードといえるナンバーを彼女がどう歌うか。そして、声帯にできた腫瘍の除去手術を受けた彼女の歌声がどう変わっているかを聴きたくて求めたアルバム。かえってダイナミックで強くしなやかな声を獲得し、さらに輝きを増したようにも思える。
二人目のミューズ「ステイシー・ケント/Stacey Kent」の2年半ぶりの新作は、「パリの詩/Raconte-Moi… (Tell Me)」。前回のブルーノートへの移籍第一弾は、日系人の作家「カズオ・イシグロ」の詩を全面的に採用したオリジナル曲集「市街電車で朝食を/Breakfast On The Morning Tram」であった。(参照「読むJAZZ(7)~音楽と夕暮れをめぐる五つの物語~」) このアルバムは、彼女の新しい世界が開け、フランス文化省からの勲章、グラミー・ノミネートなど商業的にも大成功であった。今回はステイシー初の全曲フランス語アルバムである。フランスで何度もコンサートを行ってきた「ステイシー・ケント」。これまでも「セルジュ・ゲーンズブール」や、「シャルル・トレネ」、「アンリ・サルヴァドール」など、フランス語の曲をアルバムに収録していますが、今回は、ジョビンやスタンダードにフランス語詞をつけたナンバーに加え、若手ライター達がステイシーのために書き下ろした新作を加えた全12曲で構成。とびっきりオシャレで耳心地よさ抜群のフレンチ・ヴォーカル・アルバムに仕上がっている。今回のこの新しい模索もきっと成功するだろうが、彼女にとってアルバム作りは、ゴールの見えてこない、永遠に続く終わりなき模索かもしれない。
2008年7月には、日本で人気のミュージシャン、「TOKU」、「小沼ようすけ」と共に日本全国ツアーを敢行。2009年12月「Close Your Eyes」をリリース。スイングジャーナル選定【ゴールドディスク】に選ばれる。1998年からの日本でのライブ活動も10年を超え、今まで500回も越える公演や全国ツアーを行い、ワールドワイドに彼女が求めてきたもの。それは「人間のそのままの自由」だという。( ウンサン・オフィシャルサイト より)
スイングジャーナル誌、ゴールド・ディスクを獲得した4作目になるという「Close Your Eyes」。オリジナル2曲を含んで、スタンダードからロックまで彼女の多面的な魅力を味わうことができる。ハスキーにしてスイート、オーガニックにしてブルージー、ガッツにしてメロウ・・・。バックでサポートする日本人ミュージシャンも最高のできばえ。「マイケル・フランクス」のカバー「ヴィヴァルディーズ・ソング」のボサノバ・テイストも秀逸。
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