JAZZYな生活

プレミアムエイジ ジョインブログ

海を越えて吹きわたるJAZZYな風

TAGS: None

P1020517.JPG
(写真は毎年見事な花をつけるご近所の蓮)

今週から家の近所では赤とんぼが群れだした。蝉も相変わらず喧しく鳴いている。梅雨が明けたのはつい二週間前のことであったのに・・・。遅れてやって来た夏といつものように訪れそうな秋の気配とが同居しているのだ。

先だってのブログでは、韓国より吹いてきたJAZZYな風、「Winterplay」を今年の清涼系ボーカルのイチオシと紹介しました。今日は続いてこの夏から秋にかけての「ニオシ」、「サンオシ」のおすすめ、心和む風のような爽やかな女性ボーカルを紹介しましょう。

まず、アルゼンチンの大草原パンパを吹きわたってきた爽やかな風は、「リヒア・ピロ/Ligia Piro」 。1971年生まれで、もうデビュー後10年の中堅といってもいい。一方で、女優としても活躍するブエノス・アイレス出身の美形女性ジャズ/ボサノヴァ・シンガーである。各種ジャズフェスなどで多くのファンを獲得、2005年にはKONEXというアルゼンチンのジャズ最高の賞を受賞したというキャリアの持ち主。アルバムは「ソー・イン・ラブ~ジャズ・アンド・スタンダーズ」。原タイトルは「Trece Canciones De Amor(13曲のラブソング)」。タイトルどおり、コール・ポーター、アーヴィング・バーリン、ビル・エバンスなどのスタンダードから、ビートルズ、レオン・ラッセル、クラプトンのナンバーまで幅広いジャンルのラブソングをシンプルなギターとのデュオによる甘くさわやかな歌声に、郷愁、ノスタルジーを感じる。アルゼンチンから吹いてきた甘く優しい風・・・。1947年生まれのベテラン・ギタリスト「リカルド・レウ」が上手い、渋い。そして、ジャケットもいい。

ソー・イン・ラブ~ジャズ・アンド・スタンダーズ

リヒア・ピロ / インディーズ・メーカー


つぎは、アルゼンチンとは地球のまったく反対側のフィンランドから白夜の夏を吹き抜けてきた凛とした風。須永辰緒が推薦する北欧女性ヴォーカル、「ソフィア・フィンニラ/Sofia Finnila 」。1970年生まれ。1994年に北欧の名だたる音楽家を輩出している「シベリウス音楽院」で声楽を学び、1999年にフィンランドで開催された国際ジャズ・シンガー・コンテストで優勝し、フィンランドで着々と実力を重ねたキャリアの持ち主。現在はフィンランドの声楽校の教授として教壇に立つという。2008年に自主制作したアルバム「Everything I Love」を世界に先駆けて須永辰緒主宰レーベル”ZOUNDS”からリリースとなった。

CDショップで1曲目「Cheek To Cheek」、2曲目「So In Love」を試聴して惹き込まれてしまった。収録曲はいずれもスタンダード、それもどちらかというと古い時代のスタンダード。それらに新しい感覚を与えようという意気込みを感じる。すべての曲が成功している訳ではないが、ソフィアの柔らかでムードのあるヴォーカルがだけでなく、ご機嫌にスウィングしているサポートのザ・ファイヴ・コーナーズ・クインテットの力によって、大方の曲に新鮮さを感じる。だから、心地いいだけでなく、コンテンポラリーなジャズ・ボーカルの一つの形、方向が提示され、それが読み取れるような気がする。そして、これもまたジャケットが秀逸。

EVERYTHING I LOVE

ソフィア・フィンニラ / ZOUNDS


どちらのアルバム・タイトルにも「Love(Amor)」という言葉が入り、収録曲に私の好きな「So In Love」が奇しくも共通して含まれていた。

韓の国より吹いてきたJAZZYな風

TAGS: None

久し振りのCDショップのそぞろ歩き。
「クール・ビューティ=ヘウォンの透き通る歌声が、心地よい風を運んでくる・・・。オシャレなジャージー・ポップ・グループ『WINTERPLAY』登場!」。
こんなキャッチに魅かれて試聴してみた。アルバム・タイトルにもなっている冒頭の曲、「Songs Of Colored Love」を聞いた瞬間、ミディアムなテンポのボサノバのリズムにのって流れてくる、その甘く透き通るような声にすっかり魅了されてしまった。そして英語の曲ながら、そのメロディーに聞き覚えが・・・。そうだ、「Ego-Wrappin’(エゴ・ラッピン)」の「色彩のブルース」だ。即、久し振りの衝動買いとなってしまった。

この「WINTERPLAY/ウインタープレイ」、実は韓国JAZZチャート第一位にランキングされた韓国発の人気ジャージー・ポップ・ユニットで、「ソングス・オブ・カラード・ラヴ」は、日本デビュー・アルバムである。透明感に溢れる美声を持つ歌姫、ヘウォンとプロデュース/ソング・ライティングも手掛けるトランぺッター,ジュハン・リー(「色彩のブルース」の英詩も担当)による韓国人デュオ・グループ。米国西海岸発を思わせるようなクールなサウンドで、SONIAやBELEZAを初めて聴いたときと同じような感覚にとらわれた。
彼らのオリジナルに加え、ラテンのスタンダード、「クァンド、クァンド、クァンド 」、スティングの「バーボン・ストリートの月」、カーペンターズの「青春の輝き」、ロッド・スチュアート「胸につのる想い」などをアコースティックでオーガニックなサウンド、メロディアスなアレンジで聴かせてくれる。

このうっとうしい長雨を吹きとばしてくれる韓国から吹いてきた涼やかな風・・・。今年の夏、清涼系ボーカルの私のイチオシはこれ!

ソングス・オブ・カラード・ラヴ

WINTERPLAY / ユニバーサル ミュージック クラシック


いよいよ韓国までとは・・・。どこまで拡がるJAZZYな生活・・・。

春を感ずる美女ボーカル三人 ~巧みなジャケット・マーケティング~

TAGS: None

P1010696.JPG
日課としているウォーキングの道の傍らの水仙がほぼ満開。 こんなところから早くも春の息吹が感じられる・・・・。

まちどおしい春。ひな祭りには少し早いが、久し振りの「三人官女」ならぬ、「ジャケ買い」美形ボーカル三人特集を始めましょうか。聴けば、春めいたうきうきした心になるかもしれません・・・。

まず最初は、「ガブリエラ・アンダース(Gabriela Anders)/Bossa Beleza」。最初の彼女のアルバム「Waiting」は、楚々とした全身の遠景のショットが気に入り思わずジャケ買い、秘密の花園入り。2枚目は顔のアップ、猫科の動物を思わせるような目に魅かれて、これもジャケ買い、またも秘密の花園入り。そして3枚目も成熟した女性の色気に魅かれて、またもやジャケ買い。3枚もジャケ買いしたのは彼女くらいであろう。余談であるが、このようにジャケット、特に女性アーティストのそれは、私の購買動機に決定的に影響を与える要因でもあるのです。

1997年、ユニット「Beleza」の歌姫として、ジョビンのトリビュート・アルバムでデビューし大ブレイクしたアルゼンチン出身の美しきシンガー、「ガブリエル・アンダース」。彼女の最大の魅力である、ささやくような、くすぐるような、シルキー・タッチの歌声、その容姿とあいまって世のオジサンたちの心をつかんだ彼女。ジョビン・トリビュート・アルバムはジョビン誕生80周年の去年、待望の再リリースがされた。彼女の音楽スタイルは、ボサノヴァ、ジャズ、ポップス、サルサ、レゲエ、ファンクなど多くのジャンルをミックス・ブレンドし、彼女独自のボサノヴァ・カラーに染め上げてしまうのが特長。あまた世に発売されている、いわゆる「SONIA」などに代表される「フェイク・ボサノヴァ」の元祖として、根強い人気をもっているのです。そんなガブリエラが久々にニュー・アルバムをリリース。ボサノヴァの名曲から、欧米ポップスのヒット曲などを彼女風に仕上げた、お得意の洒落た「フェイク・ボサノヴァ」集。収録されている曲がちょっと平凡で、「Waiting」のようなJAZZY色が濃くないのがちょっと不満だが、相変わらずのジャケットのよさに免じて、いいじゃないかとしよう・・・。

ボッサ・ベレーザ

ガブリエラ・アンダース / ビクターエンタテインメント


澤野工房初の女性ボーカルのアルバム・リリースは、「ニコレッタ・セーケ/A Song For You」。これはジャケットのせいも勿論あるが、「澤野初」、「歌伴はロバート・ラカトッシュ」、この二つのキーワードで即購入決定。
1983年生まれ、「ロバート・ラカトッシュ」と同じハンガリー出身のシンガー、「ニコレッタ・セ-ケ」。ジプシー音楽の名門に生まれ、2005年のモントルー・ジャズ・フェステイバルでは、ジャズ・ヴォーカル・コンペティションにおいて第一位に輝いたシンガーという。ジャケットをみると、キャッチコピーにあるとおり、まさに妖精と言える美貌。澤野デビューとなる本作では、スタンダード、そしてポップの名曲を、若さを生かしながら、華やかに歌います。やはり、澤野氏の審美眼が色濃く反映した、アメリカとは違うヨーロッパ・ジャズ・ボーカル。彼女、今後大きく成長し、澤野の女性ボーカル看板になるかもしれません。そしてラカトッシュのピアノも、今回は歌伴に徹していますがファンには聴き逃せないものとなっています。

パーソナルは、Nikoletta Szoke (vo)、Robert Lakatos (p)、Thomas Stabenow (b)、Klaus Weiss (ds)。「ラカトシュ」、「ティティアン・ヨースト」、そして今、「ニコレッタ・セーケ」を立て続けに澤野から世に送り出した「Klaus Weiss 」は残念なことに、年末に逝ってしまった。

191_m.jpg

さて三人目ですが、私が持っているヴィーナス・レコードのCDでは、「シモーネ」、「ニッキ・パロット」に続く多分三人目?の女性ボーカルだと思います。「テッサ・ソーター」。さすがヴィーナスレコードですね、「エロカッコいい(もう死語かな?)」、またもやオヤジの心をくすぐる本格女性JAZZボーカルです。ジャケット・マーケティングは、ヴィーナス・レコードさんは本当にうまい。何かしら意味深なストーリーで想像を掻き立てるエロジャケが過去にいくつもあり、心をくすぐられ、何枚買ったことか・・・・。

「テッサ・ソーター」。トリニダード・ドバゴ人の父と英国人の母の間に生まれ、ロンドンに育った。そして米国に渡り、サンフランシスコでジャーナリスト(なんとVogue, Elle,The Guardian,the Times などと言うから驚く)として活躍した後、ジャズ・ヴォーカリストに転身、96年にニューヨークへ移り、JAZZ歌手活動を本格的に始めたそうである。作詞、作曲もするセンス抜群な実力派女性ボーカルの日本デビュー・アルバムが「キー・ラーゴの夜」である。ベイルート、NY、モスクワ、ロンドンなど世界各地のJAZZクラブでのJAZZ活動をする中で、フラメンコや中近東音楽がもつ情熱やソウルに影響を受けたようで、バラードを最も得意とするようであるが、自然体で優しく素直でありながら、濃蜜な情感のこもった歌唱が、粋で心地よい。大型新人誕生の予感。

キー・ラーゴの夜

テッサ・ソーター / ヴィーナスレコード


アルバム・タイトルの「キー・ラーゴ」には、すこし想い出もあります。フロリダ州、マイアミから「キー・ウエスト」まで約400kmに渡って点々と延びる細い砂州、小島。その砂州と小島をつないで、NYを出発点とし、キー・ウエストまで海を貫くほそい一本道が国道1号線。よく映画などで出てくるところです。キー・ラーゴは、その途中にあるリゾートで、スキューバと釣りのメッカ。海の中にキリスト像か何かがおかれていたと思うし、たしかヘミングウェイ「老人と海」もこのあたりがモデルだったか?。
そしてジョン・ヒューストン 監督、ハンフリー・ボガート、ローレン・バコール主演の映画「キー・ラーゴ」の舞台となったところでも有名で、その関係か、おなじボガード主演の「アフリカの女王」という映画で使った船が係留されていました。
そして、1号線沿いには沈船から見つけた金やお宝を買い取る店がいくつもあったことを覚えています。そうそう「Sade(シャーデー)」の「Smooth Operator」という歌の中にも登場しますね。

キー・ラーゴ [DVD]

ワーナー・ホーム・ビデオ


ここは、大西洋から昇る朝日とメキシコ湾に沈む夕日とが両方望めるところ。一日中海を見ていようとしたことがありますが、悲しいかな、日本のサラリーマンの性で2時間程度が限度だった・・・・。そんな思い出が、この「キー・ラーゴ」にはあります。

最後におまけは、「テッサ・ソーター」のHPから無断借用した「お宝写真」を・・・。これ以上の「お宝写真」を見たい人は、英語ですが彼女のオシシャル・サイトにアクセスしてみてください。

home_image.jpg

いとしのエリー ~再会の金子晴美~

TAGS: None

P1010540.JPG
かなり前のブログにこんなことを書いた。
20年ほど前、大ファンであった「金子晴美」。最近は名前もアルバムも見ないがどうしたんだろう?それまでの日本のJazzシンガーといえば、巻き舌風で、わざとらしいしゃがれ声でうたうお姉さんたちが多かったが、きちっとボイストレーニングと英語の発音訓練をうけている彼女のデビューには当時ビックリもした。・・・・・・・・  まだまだアルバムがあるのに、タイトルも変わって、2枚しか再発売されていないし、amazonにデーターもない。まだ十分活躍できるし、熟年になってからの成長も見てみたかった。ほんとうに彼女どうしたんだろう?誰か知りませんか?

ところがですよ、私の町で開かれるコンサート「West River Jazz Concert Vol.21」に金子晴美が出演するという。いやびっくりしたのなんのって。いままでの日本人女性ボーカルにはない魅力をもったシンガーとして、その昔ずっとファンであった。 その後、消息を聞かなくなったしまったので前述のようなブログを書いてしまったのだが・・・・・。少し調べてみたら、公式のWEBサイトあるし、ブログもあり、そしてアルバムも発売されていた。

行ってきましたよ、小躍りして。再会の彼女は、20数年前と同じ暖かいクリアな声で、ステージにいた。そして、「いとしのエリー」を歌ってくれた。多分、サザンの曲の優れてJAZZ的な要素を見つけて、JAZZアルバムにした一番最初の歌手だと思う。もちろん、「いとしのエリー」をJAZZアレンジしたことについても・・・。

「金子晴美」。東京都出身。独協大学ドイツ語科在学中に、ジャズ・ヴォーカルを始める。豊かな英語力と歌唱の美しさをかわれ、1980年4月、ボブ・ドローのプロデュースにより、ファースト・アルバム『アイ・ラヴ・ニューヨーク』を発表、一躍注目を集める。ロン・カーターをはじめニューヨークの一流ジャズメンをバックに抜群のスィングを聴かせ、センセイショナルな成功を納めた・・・・、とプロフィルにはある。

私のおすすめアルバムの1枚目は、当時は「スペシャル・メニュー」のタイトルでリリースされた、全編「サザン・オールスターズ」のJazzカバーアルバム。これほど桑田の曲がJazzにアレンジするとすばらしいとはと驚いた。あの「いとしのエリー」がJazzアレンジでカバーされた、おそらく最初のアルバム。「レイ・チャールス」がとりあげ、ヒットするのはずっと後のことである。
「ミュージックマン(我らパープー仲間)」、「メモリーズ・オブ・ラブ(YaYaあの時代を忘れない) 」、「ストーリーズ・エンド(別れ話は最後に)」、「ホエン・ユーア・オーヴァー32(恋する女のストーリー)」、「Just A Little Bit」など今聞いてもそのJazzyなセンスと新鮮さには感激する。ジャンルを越えて楽しめる一枚。編曲は日本を代表する故・八木正生。。「いとしのエリー」を含む4曲の英語詩は、無類のJAZZファンでイラストレータの和田誠。「SPECIAL MENU~いとしのエリー」は、1983年のリリース。

いとしのエリー
金子晴美 / ユニバーサルクラシック
ISBN : B00005FEJT
スコア選択:

ボサ・ノヴァ、サンバの名曲を集めたCDで、ギター&共同プロデュースにブラジルの名プロデューサーでACジョビンらとともに、ボサノバの創始者でもあるロベルト・メネスカルが参加しているので話題になったアルバムは「TRISTEZA」。
このなかにも、桑田の名曲で、「中村雅俊」が歌い、映画「蒲田行進曲」で、松坂慶子が一人身重な体で雪降るなかを産院に向かう印象的なシーンに流れていた、「恋人も濡れる街角」のボサノバ・バージョンが聴ける。

金子晴美/TRISTEZA
金子晴美 / ユニバーサルミュージック
ISBN : B00005MWBD
スコア選択:

上記以外の、彼女の初期のCDは殆どが残念なことに廃盤になっている(勿論私は持っていますが)。それはさておき、再会の「金子晴美」は、明るく、にこやかで、暖かく、そして素敵であった・・・。

コンサートは2部仕立てで、彼女は第2部に登場。メンバーと彼女が歌った演目をあげておきます。

11月3日 アステ川西 アステホール 15時開演
金子晴美;ボーカル、稲垣次郎(特別ゲスト);SAX、fl、竹下清志;ピアノ、時安吉宏;ベース、佐藤英宣;ドラム、ふさはらただひろ;トランペット

マック・ザ・ナイフ/ベイズン・ストリート・ブルース/この素晴らしき世界/いとしのエリー/月光価千金/ハウ・ハイ・ザ・ムーン/モーニン(アンコール)

何が彼女をそうさせた?  ~女優ノラ・ジョーンズ~

TAGS: None

ある映画の予告編を観てびっくりしたことがあります。主演「ノラ・ジョーンズ」となっているではありませんか。すわ、映画女優に本格転向か?と驚いたのですが、どうもそれは早合点だったみたいです。その彼女初の主演映画は「マイ・ブルーベリー・ナイツ」。若い女性ごのみのオシャレでメルヘンチックな恋物語のようだが、60歳をとうに過ぎたおじさんでも、ノラ・ファンとしては見逃せないので勇気を持って・・・・と思いましたが、結局DVDということに・・・。

ノラ・ジョーンズといえば、父親は、ビートルズも大きな影響を受けた、インド人のシタール奏者ラヴィ・シャンカールである。ノラはニューヨークに生まれたが、そのとき母親スーはすでに離婚していた。4歳のときテキサス州ダラス近郊に移り住み、それ以来膨大なLPレコードを持つ母の強い影響を受けて育った。長ずるにつれ、ピアノを習いだした彼女は、JAZZミュージシャンの影響も受けるようになった。「ママが8枚組のビリー・ホリデイのアルバムを持っていて、その中から、好きで何度もなんども弾いた曲の入ったディスクを取り出したの。『ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド』(”You go to my head”)が大好きだった。」 と語った言葉は有名となり、あちこちに引用されている。

ソウル、カントリー、フォーク、ポップスなどのいろいろな要素を取り込みながら、レトロな「癒し系」といわれるジャズのスタイルを確立し、「癒し系女性ボーカル」ブームを作り出した元祖である。特に大ヒット曲「Don’t Know Why」を含むデビューアルバム『Come away with me』(邦題:『ノラ・ジョーンズ』)は、1800万枚を売り上げ、第45回グラミー賞(2003年2月)のグラミー賞では主要4部門を含めノミネート部門すべてで受賞し8冠を獲得したのも記憶に新しい。

主演ではないが、映画出演は、2002年にサンドラ・ブロック、ヒュー・グラント主演の『トゥー・ウィークス・ノーティス』(Two Weeks Notice)にて本人役での出演を果たしている。

インタビューを読んでも、今ひとつその動機がはっきりしないが、その彼女が、香港映画の「ウォン・カーウァイ」に口説かれて、アメリカを舞台に描くロードムービー仕立てのラブストーリーに初主演することになった。
ストーリーは、恋人の心変わりで失恋した女性が、NYのカフェのオーナーの男性に愛の予感を感じ、新たな恋に踏み出す勇気を得るため、自分探しの旅に出て、1年後にNYにかえり、ハッピーエンドでめでたしという、現代の恋のメルヘン。そのヒロインのエリザベスを演じるのが、「ノラ・ジョーンズ」。彼女の恋の相手は女性に人気の高い「ジュード・ロウ」が演じる。
  
メンフィスでは逃げた妻を忘れられない酒びたりの警官と、「レイチェル・ワイズ」演ずるその妻の愛と憎悪の渦に巻き込まれる。ラスベガスでは他人を信用しない主義の「ナタリー・ポートマン」演ずる女性ギャンブラーの父親との愛の確執を経験する。初主演だから無理もないのだが、この二人の女優の存在感のある演技に、ノラはすっかり喰われているので、ファンとしては、不完全燃焼の感を禁じえない。とはいえ、ラストの「ジュード・ロウ」とのキスシーンがとても印象的だったことに免じ、一応ファンとして及第点は差し上げておきましょうか・・・・。

マイ・ブルーベリー・ナイツ スペシャル・エディション
/ 角川エンタテインメント
ISBN : B001AP0GLW
スコア選択:

映画の中の音楽も、ノラ・ジョーンズ自身の歌う「ザ・ストーリー」はもちろん、いろいろなアーティストの音楽が使われている。その点では、やはりノラが出演しているだけあって、音楽的には神経の行き届いた作品になっている。
劇中何回か印象的に流れていた曲は「Try A Little Tenderness(もうすこしやさしくして)」。若くして飛行機事故でなくなってしまった「オーティス・レディング」の歌うバージョンが際だって心にしみる。

リスペクト ~ヴェリー・ベスト・オブ・オーティス・レディング
オーティス・レディング / / イーストウエスト・ジャパン
スコア選択:

わたしは、少し人生を考えたくなったときにいつも聴く「アン・バートン」のアルバムに収録されている「Try A Little Tenderness」が好きである。

バラード&バートン
アン・バートン ジャック・スコルズ ルイス・ヴァン・ダイク ジョン・エンゲルス ルディ・ブリンク / ソニーミュージックエンタテインメント
ISBN : B00005G4A4
スコア選択:

最後のため息 ~ ヘレン・メリル ラスト・コンサート ~

TAGS: None

4200112315_20080426154034.jpg

「ヘレン・メリル」のラスト・コンサートを聴いてきました。(西宮;兵庫県立芸術文化センター、中ホール)

「ヘレン・メリル」、数多い女性ジャズ歌手の中で、とりわけ我が国のファンに愛されている一人。そのハスキー・ヴォイスに特徴があり、「ニューヨークのため息」といわれる、あのけだるい声は、まさにジャズのムード、女性JAZZボーカルの象徴そのものと言ってもいい。いまなお、ジャズボーカルをめざす女性のスタンダードとなっている、「♪You’d be so nice to come home to ・・・・・♪」の歌いだしはJAZZファンならずとも知っている超有名曲である。

1929年にクロアチア(旧ユーゴスラビア)からの移民の子として生まれたヘレン。御歳79歳。私の母親と大して変わらない年だ、ヒイエエ~~~~~エ!!。
ヘレンは1960年に初来日して日本ではおなじみとなり、1966年には一時期日本に居をかまえたこともあるほどの親日家で、ちょっと日本語も話せるらしい。

そんな彼女の、多分本音で「ラスト」であろうコンサートを聴いてきました。興行主もよく彼女をその気にさせて日本まで引っ張ってきたものだと感心するが、案の定、79歳、2時間近くのコンサートは体力的に続くはずもなく、コンサートは2部構成で、第一部は、テッド・ローゼンタール・ピアノ・トリオ+スコット・ハミルトン(ts)+ウォーレン・バシェ(tp)のクインテット仕立て。あの「泣かせのブロー」、サックスのスコットにやや元気がなかったのとは対照的に、足が不自由なウォーレンのトランペットの冴え渡ること。いや大正解でした。そして第2部がお目当ての「ヘレン・メリル」でした。

1曲、トリオの演奏が終わって次の曲「Born To Be Blues」で割れんばかりの拍手で登場。最初は、声量も小さく、かすれ気味、足取りも少しふらつくような感じで「大丈夫かな?」なんて思ったりもしたが、そこは、さすが年季のはいったプロ歌手。3曲目あたりからからだんだん乗ってきて、声量も出、往年のハスキーに近いものを感じさせ、ファルセットも息切れせずによく伸びていた。そしてびっくりし、感動したのは、短いワンコーラスの「Love Me Tender」。ピアノと弓で奏でるベースだけをバックにしっとりと、語りかけるように歌うこの歌は、涙が出そうになるくらいの名唱であった。この一曲が聴けただけでもこのコンサートの来た甲斐があったとおもう。

そしてラストは、スコットもウォーレンも加わって、会場一杯の別れを惜しむお客さんの手拍子で、ノリノリの定番「You’d Be So Nice ・・・・」。アンコール曲の「ス・ワンダフル」まで含めて10曲を見事歌いきりました。

ヘレン79歳、スコット54歳、テッド49歳、軽快にスイングするドラムのベテラン「テリー・クラーク」は1968年生まれで、よく歌うベースの「スティーブ・ラスピーナ」ともどもまだ若い。ゲストのバシェは足が不自由でツエを使っていたが50代後半か・・・・。客席はとみると、2階席からみれば男性の頭は、照り返しか、白髪頭(かくいう私もですが・・・)ばかり。まるで「敬老の日記念コンサート」の様相でしたが、「Love Me・・・」以外は、ステージ上で座ることなく、立ち続けて歌うヘレン。「パワーをもらったね」と語り合いながら、帰りの途についた初老の我ら夫婦でした。帰りがけ、丁度楽屋口から車に乗り込むヘレンを見かけたが、囲むファンに投げキッスをした姿が印象的。

「さようならヘレン。ありがとうヘレン。」

なんといっても、一世を風靡した、その「You’d Be So Nice To Come Home To (あなたがいてくれてうれしい)」をはずすことは出来ません。クインシー・ジョーンズが編曲し、クリフォード・ブラウンらが伴奏に加わった「ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン」は、何年経っても彼女のベスト・アルバムである。1954年に吹き込まれたこのアルバムが、運がいいのか悪いのか、早々と彼女の代表作になってしまい、悪く言えば「一発屋的」印象ともいえるが、50年を超える長い間、この歌が、誰でも知っている代表作であり続け、しかもJAZZボーカルとして高いレベルを保ってこの歌を歌い続けているヘレンには、ただ敬服するのみである。

ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン
ヘレン・メリル / / ユニバーサル ミュージック クラシック
ISBN : B000VZE0EG
スコア選択:

「スコット・ハミルトン」。今回は「泣かせのブロー」にやや精彩を欠いたものの、エディ・ヒギンス、ハリー・アレン、ローズマリー・クルーニなどとの共演盤をこのブログで何回も取り上げたお気に入りのサックス・プレイヤー。

マイ・フーリッシュ・ハート(紙ジャケット仕様)
エディ・ヒギンズ&スコット・ハミルトン / / ヴィーナス・レコード
スコア選択:

ステージでヘレンにものすごく優しく気を使っていたのが客席まで伝わってくるほど印象的であった「テッド・ローゼンタール」。ヘレン・メリルの専属ピアニストでもあるテッド・ローゼンタールが、ヘレンの十八番をピアノ・トリオで演奏した想い溢れるトリビュート・アルバムは、そのタイトルもズバリ「マイ・ファニー・バレンタイン~トリビュート・トゥ・ヘレン・メリル~」。

マイ・ファニー・バレンタイン~トリビュート・トゥ・ヘレン・メリル
テッド・ローゼンタール・トリオ / / ヴィーナス・レコード
ISBN : B000XYQGS8
スコア選択:

「ウォーレン・バシェ」。スコットやテッドをサポートしたアルバムをいくつも出しているが、スコットとともにローズマリー・クルーニをサポートした「ローズマリー・クルーニー/Sings Ballads」が私のお気に入り。

シングス・バラッズ(XRCD)
ローズマリー・クルーニー ウォーレン・バシェ スコット・ハミルトン エド・ピッカート ジョン・オッド チャック・イスラエル ジェイク・ハナ / ビクターエンタテインメント
ISBN : B0001ZX2D6
スコア選択:

さいごに演目一覧をあげておきます。(太字がヘレンが歌った曲)

【第1部】
Tea For Two
It’s All Right
Sky Lark
Cherokee
My Funny Valentine
Let’s Call The Whole Thing Off
Sweet Georgia Brown

【第2部】
People Will Say We’re In Love
Born To Be Blues
Summertime
Gee Baby, Ain’t I Good To You
Autumn Leaves
Antonio’s Song
Love Me Tender
My Favorite Things
Wild Is The Wind
You’d Be So Nice To Come Home To

【アンコール】
S’Wonderful

オーディオ・ファンは癒し姫の夢を見る 

TAGS: None

この夏に帰省したおり、このブログの読者でもある友人の山荘(ログハウス)を訪れる機会があり、友人の要請で私が持参したCDでのJAZZ談議が始まった。彼は山荘に立派なオーディオ装置を持っており、山の中の一軒家なので大きな音量で鳴らしても苦情が出ない。多分あんな大きな音量でJAZZを聴いたのは、かなり昔のJAZZ喫茶以来かもしれない。ちまちまとしたミニコンポや、ヘッドホンで聴く我が音楽ライフとは違って、久し振りにスカッとしたし、あんな音量で楽しめたらいいなと思ったりもした。そしてやっぱり、アーティストや再生装置から流れる音楽そのものは勿論のこと、友人、酒、静けさ、語らい、闇、雨の音、雷鳴、時間・・・・など、音楽以外の空間を構成する色々な要素が、音楽を楽しむ上でも重要なポイントであることをあらためて思った。

さて、CDショップで一枚の女性シンガーのCDを見つけたところから話を始めよう。

かってこのブログで、「第10回 アジアの癒し姫たち」というタイトルで、日本ではあまり知られてはいない女性歌手であるが、アジア系のもつ独特のまったりとした雰囲気によって、とても癒される歌手たちがいる・・・と絶賛したことがある。シンガポール出身の「Jacintha」(ジャシンサ或いはジャシンタと発音する)と、フィリピン出身で香港を音楽活動の地とする「Jheena Lodwick(ジーナ・ロドウィック)」である。ジーナのほうは香港で活躍しているので、中国のCDショップでアルバムがおかれているのを何回も見たが、ジャシンサは立て続けに何枚かのアルバムがリリースされたあと、マイナーレーベルというせいもあるのだろうか、ショップでは見かけることはなかった。そのジャシンサのCDを久し振りに見つけたのだ。

ジャシンサは、癒しの美声であることのほかに、リリースされたアルバムは、多分すべて「SACD(Super Audio Compact Disc)」とのハイブリッド仕様であることでも注目されてる。
「SACD(Super Audio CD」とは、CDと同じサイズの光ディスクに、オーディオ・データをCD以上の高音質で記録したものである。1999年にソニーとフィリップスにより、従来のCD規格の音に満足できないハイエンドユーザーを対象とした高音質追求音楽ファン御用達のフォーマット(サンプリング周波数は2822.4kHzと一般CDの約70倍)として規格化された。(原理はかなり技術的な説明になるので省略するが、興味ある方はネットなどで調べてください。)
発売されているソフトは、様々なジャンルあるが、最近はクラシック音楽・ジャズなどが発売されるソフトの大部分を占め、2008年6月現在で約5300タイトルが発売されている。SACD仕様で再生するには専用機が必要であるが、DISCがSACD/CDの両方の仕様で記録されているハイブリッドタイプの場合は、普通のCDデッキで再生できる。
そして「我が癒し姫ジャシンサ」のハイブリッドCDは、SACD仕様のCDを多くリリースしている「Groove Note Records」から発売されている。

いろいろなカテゴリーの音楽ファンのなかに「オーディオ・ファン」と呼ばれる高音質を追求するハード系指向の音楽ファンがいる。百万円いや一千万円の大金をオーディオ・システムにかけ、なかには専用のリスニング・ルームを作ってまでも高音質を追求する人達である。いままでは「音楽は想像力と感受性が8割、ハードよりはソフトに金を」と、ずっと私は思っていたので、そんな大金をシステムかける心理が分からなかったのであるが、おなじCDを聴いたのに、私の装置で聴いたのとはまったく違った音世界が拡がったのを友人の山荘で体験したことをきっかけに、ちょっと見方が変わったのである。高級オーディオから得られる音世界とは何なのか少し興味をそそられたのである。

あるオーディオ・ファンによると、セットで30~50万円クラス以上のスピーカーで聴くと到底同じCDとは思えないほどのピュアーな音が得られるそうで、さらに、このピュアーなサウンドが脳内にアルファ波を満たし、そのアルファ波が「βーエンドルフィン」という快楽ホルモンを脳内に放出させ、「非常に強烈な幸福感と癒し感」がえられ、お気に入りの音楽を聴くだけで若々しい病気知らずの人生を送れるというのです。この「ミュージック・セラピー」というらしいが、効果、真偽のほどは分からないが、音楽には人を楽しくさせたり、元気付けたり、感動させたりするある種の力があることだけは確かだとおもう。

このようなオーディオ・ファンたちにモテモテのシンガーが、「ジャシンサ」なのだ。久し振りに再会したジャシンサをNETで調べてみて、彼女のファンにオーディオファンが多いことに驚いた。いわく、「・・・超官能的な歌声と豊かな声量、そして群を抜く音質のハイレベルさ・・・」、いわく「・・・全身の毛がゆっくりと逆立ち・・・」という絶賛振り。ジャシンサはオーディオファンにとって、オーディオ機器の実力を測るリファレンスCDとして重用されるほどの、まさにSACD界の「夢見る癒し姫」であったのだ。

再会のCDは、「Jacintha Goes to Hollywood」。スタンダードでもあるよく知られた映画主題歌 「Alfie」、 「Windmills Of Your Mind」、「 A Man And A Woman」などを歌う。

Jacintha Goes to Hollywood
Jacintha / / Groove Note
ISBN : B000TP5TAC
スコア選択:

SACDでなく、普通のCDデッキで聴いても、かなりの高音質である今までのアルバムから、いくつかおすすめをあげると、まず「Ben Webster」に捧げた「Here’s to Ben」。「The Look Of Love」、「Stardust」、「Tenderly」などのスタンダード曲が続く。とりわけ「Danny Boy」は鳥肌が立つほどの凛とした歌唱力に圧倒される。アルバム「Rush Life」、「Autumn Leaves~The Songs Of Johnny Mercer」もやはり同様のおすすめ。スタンダード曲満載のアルバムで女性ボーカルファンは、普通の再生装置でも十分に癒しの時間を過ごせるであろう。

Here’s to Ben: A Vocal Tribute to Ben Webster
Jacintha / Groove Note
スコア選択:

Autumn Leaves: The Songs of Johnny Mercer
Jacintha / Groove Note
ISBN : B000040OJD
スコア選択:

これらのアルバムを再聴してみて、SACDデッキと高音質のオーディオ・システムで、彼女の歌を一度聴いてみたいと思ったが、システムにかける大金と家のつくりから考え直さなくてはということをおもうと、やはり夢のまた夢で終わりそう・・・・・。

もし、あなたが、SACDの互換機、高級オーディオをもっているリッチなオーディオ・ファンであれば、最近SACD仕様のみのジャシンサ・ベスト盤が発売されたようであるので、そちらで楽しむことも出来ますよ。

Best of Jacintha
Jacintha / / Groove Note Records
ISBN : B0017SZ3B0
スコア選択:

普通のCDデッキで聴けるもう一人の癒し姫、「Jheena Lodwick」の「All My Loving」に続く2作目「Vol. 2: Feelings」もおすすめしておきましょう。

Vol. 2: Feelings
Jheena Lodwick / / JVC
ISBN : B00068CVN0
スコア選択:

我がミューズたちの新作

TAGS: None

私にはJAZZボーカルで5人のミューズがいることは度々このブログでも書いた。「ジャネット・サイデル、カサンドラ・ウィルソン、ステイシー・ケント、ダイアナ・クラール」。そしてあと一人は日本人枠であるが、仮ミューズとして「伊藤君子」が入っている。その中の「ジャネット・サイデル」、「カサンドラ・ウイルソン」が相次いでアルバムをリリースした。

「ジャネット・サイデル/Janet Seidel」。彼女が過去にリリースしたアルバムの中に、彼女が敬愛する3人の女性歌手へのトリビュート盤がある。「ペギー・リー」、「ドリス・ディ」、「ブロッサム・ディアリー」へのそれぞれのトリビュート盤である。そのうち「ペギー・リー」と「ドリス・ディ」は廃盤になっていたが、「ペギー・リー」へのトリビュート盤は中古CDで見つけ(「我が心のミューズたち(1)  ジャネット・サイデル」参照) 残るは「ドリス・デイ」だけとなっていたが、やっと復刻盤が出た。

アメリカが生んだ国民的スター、「ドリス・デイ」のレパートリーをジャネットがカヴァーした好アルバムが、リニューアル・デザインで復刻! 24トラック全30曲収録。ドリスの温もり。そしてジャネットの安らぎ。

こんな帯がついていましたが、「Somebody Loves Me」から始まって、「Sentimental Journey」、「二人でお茶を」、「ケ・セラ・セラ」など、我々より少し上の世代に人は、ラジオから流れてくるドリスの歌声にまさに「豊かな国アメリカ」を感じてかじりついたであろう30曲がぎっしり詰まっている。
かっては、ナット・キング・コール・トリオ、最近ではジョン・ピザレリ・トリオと同じ編成、ジャネットのピアノ、デヴィッド・サイデルのベース、チャック・モーガンのギターという、ドラムレスの変則ピアノ・トリオである。この編成が、アコースティックで、レトロな感じを出し、聴く人に安らぎを与えるジャネットのボーカルを更に際立たせている。

「ドリス・ディ」は今年、2008年のグラミー賞で「Lifetime Achievement賞」を受賞した。このことは引退してから40年経ってもドリスは、アメリカの国民的歌手としての人気が健在であることを示している。日本で言えば、美空ひばりのような存在であろうか。ドリスはJAZZ歌手ではない。ポピュラーソング・シンガーであるが、JAZZ歌手のように気持ちよくスイングする。そんなドリスへの憧れと尊敬と親しみをこめてつくられたアルバム「Doris & Me」。聴くほどに心が和む、ジャネットの本領発揮のさすがの一枚。

ドリス&ミー ~センチメンタル・ジャーニー
ジャネット・サイデル / / ミューザック
ISBN : B00175HCS0
スコア選択:

かって、私は「千手観音」に喩えた「カサンドラ・ウイルソン/Cassandra Wilson」の新作「Loverly」。(「Black Beauties  ~孤高の歌姫たち~」参照) カサンドラは常にひとつ所にとどまらず、アルバムをリリースするたびに、新しい試みを試している。前作『Tunnderbird』以来の、2年ぶりのアルバム。そして彼女自身にとって、ブルーノート・レコードより初となるフル・スタンダード・アルバム。ということでかなりの期待と注目を持って聴いてみたが、残念ながら期待を裏切るものであった。アルバムに統一感、明快なコンセプトがないのである。1曲目「Lover Come Back Me」。スイング感溢れる冒頭の曲、「きたきた・・・」と思ったのもつかの間2曲目はムーディな甘い「黒いオルフェ・カーニバルの朝」。カサンドラってこんなんだっけ。10曲目「Dust My Room」。ブルージーな感覚溢れる佳唱。ベースとのデュオでうたう「The Very Thought Of You」。一つ一つの個別の歌はすごくいいのである。しかしアルバムを通して聴くと、「各論OK、総論NG」という違和感を覚えるのを禁じえなかった。千手観音全身を見たいのではないのだ。一本一本の手(アルバム)にフォーカスし、メッセージをこめることによって、聴き手の脳裏に千手観音全体が浮かび上がるということを期待しているのだ。ベスト版みたいなものはまったく期待していないのだ。ブルーノートからの期待の初リリースなれど、新しきプロデューサーはここを間違えているようだ。

Loverly
Cassandra Wilson / / Blue Note
ISBN : B0016NCTH2
スコア選択:

継ぐものたち・・・・・・

TAGS: None

新入社員、新入生の季節です。電車ですぐそれと分かるいささか緊張した面持ちの彼・彼女らをみると、40年近く前のあの頃の緊張感が甦ってきます。
(財)社会経済生産性本部というところから毎年、今年の新入社員のタイプについての命名が発表されます。これは昭和48年以来30年間にわたり、坂川山輝夫氏が命名されてきたものを平成15年度から引き継いで命名及び発表を行っている。

ことしの新入社員のタイプは「カーリング型」だそうである。その心は、「磨けば光るとばかりに、育成の方向を定め、そっと背中を押し、ブラシでこすりつつ、周りは働きやすい環境作りに腐心する。しかし、少しでもブラシでこするのをやめると、減速したり、止まってしまったりしかねない。」ということだ。伸びるのも止まるのも伯楽次第ということか。最近は先輩たるその伯楽のほうが怪しいというか手本にもならない例が多いことは最近の報道を見れば明らかであるのもむなしい思い。HPには、昭和48年以来のタイプの一覧があるので、自分の入社したときの命名を調べてみるのも一興か。(私は44年なのでありませんが・・・)

さて、デビュー当時から注目してきた二人の女性シンガーが相次いで新アルバムをリリースした。
「Lizz Wright/リズ・ライト」。まだ20歳そこそこのジョージア州出身の女性シンガーであるが、デビュー作「ソルト」、第二作「ドリーミング・ワイド・アウェイク」とゴスペル、ソウルの薫りに満ちたアルバムで一躍注目された。牧師の娘で、幼少よりゴスペルに親しんできたため、彼女にとっての音楽の原風景はゴスペルにあるという。最新作「オーチャード~禁断の果実」が彼女の本領が発揮された出色のできばえのアルバムである。1曲目の「Coming Home」から、彼女の独特の深みのある歌の表情は、引き込まれてしまう魅力に溢れている。プロデューサーは、N.ジョーンズ、C.ウィルソンを手がけたクレイグ・ストリート。まさしく名伯楽でLizzの内面を見事に引き出すことに成功している。
ソウル、ジャズ、R&B、ゴスペルといった豊富な素材を見事に料理したこのアルバムは、カサンドラ・ウィルソンを彷彿とさせる。まさしく、彼女を継ぐであろうシンガーの誕生といって良いだろう。三作目にして本領発揮。ソウル、ブルース大好きのJAZZファン!これは買いですよ!

The Orchard
Lizz Wright / / Verve Forecast
ISBN : B000Y14TXO
スコア選択:

オーチャード~禁断の果実
リズ・ライト / / ユニバーサル ミュージック クラシック
ISBN : B000YY6696
スコア選択:

私は輸入盤のほうが安いのでそちらを購入しましたが、日本盤との違いは、日本盤には更なるボーナストラックがついているとありましたが、輸入盤も曲リストに載っていないだけで、最後13曲目に隠しでばっちり入っていました。さすれば歌詞カードとお宝映像だけか違いは・・・・・。

さて、「Lyambiko」。2002年にリリースされたデビュー作『Out Of This Mood』で一気に注目された、アフリカ系にルーツを持ち、JAZZ不毛?のドイツで活躍の女性シンガー、「リャンビコ」。最新の6枚目のアルバムは、ニーナ・シモンが主にレパートリーとしていた楽曲をカバー、ニーナへのオマージュとなっている。「悲しき願い」、「Feeling Good」に続き「Black Is The Colour Of My True Love’s Hair」で魅せる抜群の歌唱力。圧巻は皮膚の色の違う4人の女性を歌ったポリティカル・メッセージ色の強い「Four Women」は、ニーナ・シモンに肉迫するかのような説得力と魅力に圧倒される曲。アルバム・タイトルの「Saffronia」は、4人の女性の中の一人の名前である。抜群の存在感、歌唱力、そして個性を持った彼女のヴォーカルは、まさにニーナ・シモンを継ぐシンガー。

lyambiko.jpg
リャンビコ/Saffronia

あちらの世界からようこそ・・・・

TAGS: None

あちらの世界からこちら、JAZZYな世界に、気が向けば遊びに来てくれるミューズたちがいる。例えば、原田知世、川原亜矢子、吉田日出子など(異世界から舞い降りたミューズ(2)参照)。そうそう、驚くかもしれないが「美空ひばり」などもそうであった。

また、あちらの世界からこちらの世界に遊びに来て欲しいミューズたちもいる。例えば、「ちあきなおみ」、「高橋真梨子」など。その歌唱力とJAZZの素養に、遊び心を発揮して、こちらの世界にあそびに来て欲しいと願うのは私だけではあるまい。もちろん、「リアル・ジャズ・ファン」といわれる人からすれば、異端、軟弱、論外と言われるかもしれないが、JAZZを人生の「BGM」として聴き、齢60を超えると、耳に優しい軟弱な音楽もまたいとおしくなるものなのです。

そんなミューズの一人でもある、「今井美樹」が新作アルバムをリリースした。「I Love A Piano」。今井美樹と、小曽根真、武部聡志、大野雄二、塩谷哲など、日本を代表するジャズ・ピアニスト7名とのコラボレーション・アルバム。曲はスタンダードではなく、「PRIDE」など彼女のヒット曲のセルフ・カバーである。従って、厳密には「こちらの世界」とは言いがたいが、彼女の透明な声、雰囲気が、ピアノとよくマッチしたオシャレで素敵なアルバムに仕上がっていると思う。

「バレンタイン・ディのお返しに何か」と考えている方にはおすすめの一枚かなとおもう。

I Love A Piano
今井美樹 / / EMIミュージック・ジャパン
ISBN : B00118YOIY
スコア選択:

こちらの世界から彼女の歌をカバーしたアルバムもあります。「今井美樹ソング集」。彼女の曲を海外のシンガーが英語でカヴァーする「逆カヴァー」。参加しているのは、「ジェーン・モンハイト」、 「ジョイス」、「 パティ・オースティン」、「ケヴィン・レトー」など実力派揃い。ボサ・ノヴァ風のJAZZYな雰囲気でドライブのお供などに最高のBGM。

テイク・ミー・トゥ・ザ・サンシャイン~今井美樹ソング集
オムニバス / / ビクターエンタテインメント
スコア選択:



© 2009 JAZZYな生活. All Rights Reserved.

This blog is powered by the Wordpress platform and to just Go Beach Rental.