キュートで、コケティッシュな白人美人ヴォーカリスト「スー・レイニー/Sue Raney」のジャズ・ヴォーカル史に残る傑作は、雨をテーマにした詩情溢れる「雨の日のジャズ/Songs For A Raney Day」。「Rainy」と「Raney」とをかけ、雷鳴で始まり雷鳴で終わるこのアルバム、1959年録音ながら古臭さはまったくなく良き時代のJAZZの香り溢れる名盤。
デビュー・アルバムは、「ステッピング・アウト/Stepping Out」。サード・アルバム、「オール・フォー・ユー~ナット・キング・コール・トリオに捧ぐ/All for You: A Dedication to the Nat King Cole Trio」(1996年)は、グラミー賞にノミネートされ、また70週間もの間、ビルボード誌のジャズ・チャートに上がっていた。「ホエン・アイ・ルック・イン・ユア・アイズ/When I Look In Your Eyes」(1999年)では「ジョニー・マンデル」によるオーケストラ・アレンジのバックもあり、再度グラミー賞にノミネートされ、クラールはその年の最優秀ジャズミュージシャンとして表彰された。2001年9月にクラールはワールドツアーを開始し、フランス・パリのパリ・オリンピア劇場でのライブは彼女の初めてのライブ・アルバムとしてリリースされた。これにより彼女は二つ目のグラミー賞(最優秀ジャズボーカル)を受賞したのだ。
その代表的なアルバムから「ザ・ルック・オブ・ラヴ/The Look Of Love」。スローなボッサのけだるさが、オジサンにはたまらない。
さて、さて、セルメン以後、長い間、フェイク・ボッサを聴いていなかったオジサンの私の耳を奪ったのが、「ベレーザ/Beleza」であった。ささやくような、くすぐるようなロリータ・ボイス、その容姿とあいまって、オジサンの心をつかんだのは、「Beleza」の歌姫、「ガブリエル・アンダース」。ボサノヴァ、ジャズ、ポップス、サルサ、レゲエ、ファンクなど多くのジャンルをミックス・ブレンドし、彼女独自のボサノヴァ・カラーに染め上げてしまうのが特長である。「フェイク・ボサノヴァ」の正統ともいえる系譜?に属するユニット「ベレーザ」。1997年にインディー・レーベルからリリースされ、大ヒット・アルバムとなったが、長らく廃盤だった「ジョビン・トリビュート・アルバム」は、ジョビン誕生80周年の去年、待望の再リリースがされた。タイトルはジョビンへのトリビュートだが、ジョビン以外の作品、「シンディー・ローパー」の「Time After Time」や、「This Masquerade」、「Besame Mucho」など有名曲を収録、これぞフェイク・ボッサのヒット・アルバム。
お隣の韓国からは、「WINTERPLAY/Songs Of Colored Love」。「クール・ビューティ、ヘウォンの透き通る歌声が、心地よい風を運んでくる・・・。この「WINTERPLAY/ウインタープレイ」、実は韓国JAZZチャート第一位にランキングされた韓国発の人気ジャージー・ポップ・ユニットで、これは日本デビュー・アルバムである。透明感に溢れる美声を持つ歌姫、「ヘウォン」とプロデュース/ソング・ライティングも手掛けるトランぺッター、「ジュハン・リー」による韓国人デュオ・グループ。ミディアム・テンポのボサノバのリズムにのって流れてくる「ソングス・オブ・カラード・ラヴ」は、日本のJAZZデュオ、「Ego-Wrappin’ (エゴ・ラッピン)」の「色彩のブルース」のカバー。
最後に、南米へ戻り、最近お気に入りのアルゼンチン女性歌手のフェイク・ボッサ・アルバムをあげておきましょう。アルゼンチンの大草原パンパを吹きわたってきた爽やかな風のような、「リヒア・ピロ/Ligia Piro」。1971年生まれで、もうデビュー後10年の中堅といってもいいブエノス・アイレス出身の美形女性ジャズ&ボサノヴァ・シンガーである。アルバムは「ソー・イン・ラブ~ジャズ・アンド・スタンダーズ」で、原タイトルは「Trece Canciones De Amor(13曲のラブソング)」。タイトルどおり、「コール・ポーター」、「アーヴィング・バーリン」、「ビル・エバンス」などのスタンダードから、「ビートルズ」、「レオン・ラッセル」、「エリック・クラプトン」のナンバーまで幅広いジャンルのラブ・ソングをシンプルなギターとのデュオによる甘くさわやかに歌う。
その後も第2集、「分岐点/EQUINOX」(1967)では、JAZZスタンダードの「ナイト・アンド・デイ/NIGHT AND DAY」を、初めてオーケストラの入った第3集、「ルック・アラウンド/LOOK AROUND」(1968)では、バカラックの「恋のおもかげ/THE LOOK OF LOVE」など3曲、1969年の第4集、「フール・オン・ザ・ヒル/Fool On The Hill」では、タイトル曲に加え、「スカボロー・フェア/SCARBOROUGH FAIR」など3曲が収録されている。 ビートルズの「フール・オン・ザ・ヒル」や「デイ・トリッパー」といった曲をボサノヴァ風にアレンジしたカバーなど、欧米の音楽市場にとって親しみやすいボサノヴァをつくり、世界中での支持につながった。このことからも「セルジオ・メンデス」が、「フェイク・ボッサ」の元祖と考えていいと思う。ブラジル生まれというところが面白いが、故国の音楽ボサノバを知り尽くしていたからこそかもしれない。
その後、40年以上に長きにわたり、ブラジル音楽のトップに君臨する「セルジオ・メンデス」ですが、69歳の現在も活動は衰えない様で、2008年のボサ・ノヴァ誕生50周年には、ニュー・アルバム「モーニング・イン・リオ」をリリースしている。リード・トラックは、かって「マシュ・ケ・ナーダ」と並んで大ヒットした「ルック・オブ・ラヴ」。世界中から色々なミュージシャンが参加しているが、日本からは「DREAMS COME TRUE」が参加。彼らが参加した「ルガール・コムン」は、ポルトガル語コーラスとのかけあいで、「吉田美和」の日本語ヴォーカルがとても印象的。
多くの大ヒット曲を持つ世界的なアイドルだったためだけでなく、その音楽性が極めて優れていたため、フェイク・ボッサの初期からビートルズの曲の採用が多いようです。その傾向は今でも変わらず、多くのビートルズ・フェイク・ボッサ・アルバムが作られています。そのなかの私のお気に入りの一つを紹介しましょう。ムタンチスのリード・ヴォーカルであり、ブラジル・ロック界のカリスマ、「リタ・リー/Rita Lee」の「ボッサン・ビートルズ/Bossa’n Beatles」。「A Hard Day’s Night」、「Michelle」、「I Want To Hold Your Hand」などおなじみのビートルズ曲が軽快なBOSSAのノリで歌われる。何故か数曲がポルトガル語なのもご愛嬌。
一方、「ナラ・レオン」とは、犬猿の仲であったらしいが、ブラジルに残り、軍事独裁政権を批判したもう一人のボサノバ・ミューズがいた。「エリス・レジーナ/Elis Regina (1945年3月17日 – 1982年1月19日)」である。1960年代から1970年代にかけて、ブラジルで最も人気のある国民的女性シンガーであった。彼女のヴォーカルは、心躍らせる歌声と、優れた抑揚を持ち合わせており、特にアップテンポなナンバーに卓越していた。1974年には、「アントニオ・カルロス・ジョビン」とのコラボレーション作品であるアルバム「エリス・アンド・トム/Elis & Tom」を発表。このアルバムを、最も優れたボサノヴァ・アルバムの一つといわれている。そしてこのアルバムに収録されたジョビン作の「三月の水(”Águas de Março”)」を最も優れたボサノヴァ・トラックの一つであると考える人も多い。
そして、これぞ、「ボサノバ唄い」という歌手がいます。「吉田慶子」。ふとしたことからボサノバと出会い、その魅力にとりつかれ、2000年には単身ブラジルへ渡り、1stアルバム「愛しいひと bem querer」を制作したという。2作目は、「コモ・ア・プランタ~ひそやかなボサノヴァ」。このアルバムには、「ジョビン」、「モライス」、「カルロス・リラ」、「エデゥ・ロボ」などボサノバ黎明期の巨匠の曲、クラシック・ボサノバが収録されているが、「サウダージ」をこれほど心象風景として、表現できている日本人「ボサノバ唄い」も他にいない。そして、「長谷川きよし」がギターで参加し、ポルトガル語で歌う「別れのサンバ」のカバーも収録されている。帯にいわく「ささやき声で始まって、ただ終わる美しいひととき」。
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