厳寒の日々が続いている。一足早く春の味を食べたくなったので、母の四回忌が近づいてきたことに託けて、「鯛茶漬け」を食べに行く、ほんのり桜色の鯛の切り身に、鰹節・昆布ベースの熱い「白だし」をかけるのが関西風である。
そして、鯛茶漬け、節分の恵方巻きといわし、いかなごのくぎ煮、ひなあられ、関西では春の味覚である鰆(さわら)・・・と、春の味が続く。そうそう、チョコレートも間近です。
今宵の曲、「A Taste Of Honey(蜜の味)」。「リック・マーロウ /Ric Marlow」作詞、「ボビー・スコット/Bobby Scott」作曲で、1960年に上演された同名のブロードウェイ・ミュージカルのために作られたという。多くのミュージシャンがカバーし、「ビートルズ/The Beatles」もこの曲を取り上げていが、なんといっても、1965年、「ハーブ・アルパート&ティファナ・ブラス/Herb Alpert & The Tijuana Brass」のカバーが大ヒットとなり、同年のグラミー賞最優秀レコード賞を獲得した。今宵は、スピリチュアル・ヴォイスで、独自のR&B/ブルースの世界を創り上げているご贔屓「リズ・ライト/Liz Wright」の歌唱。
【 A Taste Of Honey 】
「♪ Cold winds may blow 冷たい風が
Over icy seas 厳寒の海を渡って吹いてきたら
I’ll take with me 君を温暖の地に
The warmth 連れて行こう
A taste of honey 蜜の味
A taste much sweeter その味は
Than wine ワインより甘い
・・・・・・・・・・・・・・
I will return きっと
I will return きっと
I’ll come back 帰ってくるよ
For the honey あの蜜の味と
And you 君のために ♪」
「カサンドラ・ウイルソン/Cassandra Wilson」の後継者なんてささやきもある「リズ・ライト/Liz Wright」。1980年、米南部、ジョージア州生まれ。父は教会の牧師で、音楽監督を務め、母はオルガン奏者だったという。その影響で、幼少よりゴスペルに親しんできたため、彼女の音楽の原風景はゴスペルにあるという。ハイ・スクール時代は聖歌隊に参加、やがてブルース、ジャズに開眼する。その後進学したジョージア州立大学では本格的なバンド活動をスタート。 シンガーとしての頭角を現した彼女は、「ジョー・サンプル・バンド/Joe Sample Band」のメンバーとして初来日、「ブルーノート東京」のステージに立った。
アルバム、「ソルト/Salt」(2003)でデビュー。しかし寡作である。デビュー15年にしてわずか6作を数えるのみである。しかし、ゴスペルで培った深みと憂いのあるこの独特のスピリチュアルな世界観、ただものではない。もっともっと評価されていい歌手。
「A Taste Of Honey」は、とりわけ私に好きな2ndアルバム、「ドリーミング・ワイド・アウェイク/Dreaming Wide Awake」(2005)に収録されている。本作ではオリジナル曲を始め様々なジャンルの音楽が取り上げられており、「リズ・ライト」のスピリチュアルな個性にくわえ、その奥にある暖かさも前面にでてきている。
Dreaming Wide Awake
リズ・ライト/Lizz Wright
Verve Forecast
「Lizz Wright – A Taste of Honey」
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