「・・・ そして、たどり着いた一里塚・マイルストーンは、ジョバンニ・ミラバッシであった。・・・」と書いていったんシリーズを休んだのは1年ほど前のことであった。(参照「もしもピアノが弾けたなら(19) ~たどり着いた一里塚から ~」) 前よりはゆっくりとした足どりではあるが、再び歩き出してみたいと思う。
どういうわけか、今年から「澤野工房」からに「ビデオアーツ・ミュージック」にレコード会社を変えて「ジョバンニ・ミラバッシ」がリリースしたアルバムに「新世紀~Out of tracks~」がある。澤野のような小さくても、良質のJAZZを提供するレコード会社から変ったことで、クオリティが下がらなければいいが・・・。その中の2曲目の「ピエラヌンツィ」という曲は、ヨーロッパJAZZピアノの偉大な先駆者でエバンス派の筆頭にも挙げられる「エンリコ・ピエラヌンツィ」に捧げられた曲である。レーベルを変えての再出発に際し、最も強い影響を受けた「エンリコ・ピエラヌンツィ」への想いからオマージュとしてアルバムに入れたのであろう。やはりヨーロッパにおけるエバンス派の大先達は「エンリコ・ピエラヌンツィ」のようである。
新世紀~Out of tracks~
ジョバンニ・ミラバッシ・トリオ / VIDEOARTS MUSIC( C)(M)
さて、私にとって、ピアノトリオの今年一番の収穫は「トルド・グスタフセン・トリオ/Tord Gustavsen Trio」であった。ノルウェーの若手ピアノ・トリオ。ちょうど一年ほど前、たまたま寄ったCDショップで手に取ったアルバムが「ビーイング・ゼア」であった。そのはかないくらいのロマンティシズムにすっかり圧倒されてしまったのだ。(参照 「もしもピアノが弾けたなら(15)~ヨーロッパ・ジャズ・ピアノ・トリオ番外編(1)~」 )
そこから遡って聴き出したのだが、デビュー作「チェンジング・プレイセズ」は、ECMの過去10年間の新人作品のなかで最大のヒットを記録したという。そのデビュー作を聴いて、完全にはまってしまったのだ。全編オリジナル。なにゆえこれほどまでに美しいのか。儚いのか。それにしても「トルド・グスタフソン」の音の美への耽溺ぶりは尋常ではない。それくらい凄い。だからといって決して華美、華麗な演奏ではなく、むしろ音使いはシンプルで少な目といってもいい。だからこそ曲の持つ間、静けさが一層際立つ。「もののあわれ」というよな「無常の美」に通ずるのかもしれない。夜の闇の中で静かに散りゆく櫻のイメージが頭に浮かんだ。JAZZ、クラシックを問わず、ピアノ好きは聴くべき、おすすめの一枚。

チェンジング・プレイセズ
トルド・グスタフセン・トリオ / ユニバーサル ミュージック クラシック
セカンド・アルバム、「ザ・グラウンド」。このアルバムも全曲トルドのオリジナル。デビュー作同様、最少の音だけでメロディ・ラインをきらりと浮かび上がらせる、まるで純度の高い結晶のようなトルドのピアノである。

ザ・グラウンド
トルド・グスタフセン・トリオ / ユニバーサル ミュージック クラシック
はじめて、私がトルドに魅せられてしまった3作目のアルバム、「ビーイング・ゼア」。冒頭の「At Home」に惹きこまれてしまったのだ。3作目にしても、その音楽のクオリティは少しも変わらない。むしろもっと余分なものがそぎ落とされて純化していっているような気がする。

ビーイング・ゼア
トルド・グスタフセン・トリオ / ユニバーサル ミュージック クラシック
ヨーロッパのJAZZピアニストたちに受け継がれ、進化し続けている「エバンスの魂」・・・。


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