先日の雨降り続きのなか、所要の途中、小雨になったのを幸いに、前から少し気になっていた神社によって見た。「戸隠神社」。隣町の谷あいの集落にぽつんとある、いわゆる「村の鎮守さま」である。天の岩戸伝説にゆかりのある信州・戸隠神社と同じ祭神、岩戸を力ずくで開いた「天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)」を奉っていること、それと本殿が国指定重要文化財であるということから興味を持っていた神社である。案内板によると、創立についてはよく分からないらしく、また信州・戸隠神社との関係を窺わせるような記述もなかった。ただ、大永四年(1524年)に本殿上棟の記録が残っているという。
小雨のなかを長めの石段を登って詣ってみた。人一人としていない狭い境内には、保護のための覆い屋の中に極彩色に彩られた小さな本殿が鎮座していた。これが国指定重要文化財であろう、その鮮やかな色の蟇股(かえるまた)や柱が目に焼きついた。関西に住んでいると、村の鎮守さま、お地蔵さん、お稲荷さん、祠など昔からの信仰が生活の中に息づいている風景をよく見かける。どこでももちゃんと地域の人々がお世話やお祀りをしているのだが、この神社もその一つ。高齢化や過疎化によってそんな伝統が途絶えたとしたら、日本人を日本人たらしめてきた日本の原風景も失われてしまうかもしれない ・・・。
そして社殿の前には定番の一対の狛犬。「狛犬(こまいぬ)、中国語:石獅子」とは、犬に似た想像上の獣の像で、神社や寺院の入口、あるいは本殿・本堂の正面左右などに一対で置かれている。スフィンクスなどに見られる古代インド、古代エジプトやメソポタミアあたりの神域を守るライオンの像がその源流と考えられているらしい。この狛犬、誰もが知っている存在でありながら、今までほとんどと言っていいほど学術的な研究がされてこなかったという。従って今でも、定説というものはないという。正しくは、仁王像と同じように、向かって右側が角はなく口を開いた「阿(あ)像」で「獅子」、左側が角がある口を閉じた「吽(うん)像」で「狛犬」というそうだ。この「阿吽」の形になっているのは日本特有の形式で、中国の獅子像などは阿吽にはなっていないらしい。
私も、一般同様に、狛犬の「狛(こま)」は、「高麗(こま)」、「巨麻(こま)」に通じ、古代朝鮮半島の文化や氏族と何らかのつながりがあるのではと漠然と考えてきたが、ちょっとしらべてみると、狛犬が神社などに普及したのは江戸時代の頃らしく、また朝鮮半島に「狛犬」文化があったという証拠はなく、どうもこれは「狛」という字からくる誤解であるという説が有力であるようだ。
そんなことを思い浮かべながら、懐かしい気持ちで、この社に置かれた、すこしユーモラスにも思える雨中の狛犬を眺めていた。説はともかく、狛犬は日本の寺社にはなくてはならない風景のようである。
関西には古代朝鮮につながりがあるであろうと思われる文化遺跡や地名が、極めて濃密にあることを感じる。渡来人である秦(はた)氏、高麗(こま)氏などにつながる地名や寺が多いのだ。秦氏が機織(はたおり)技術を伝えた京都・太秦(うずまさ)の地、その氏寺である、弥勒菩薩で有名な広隆寺はその代表的な例である。
「金達寿(キム・タルス)」氏のシリーズ「日本の中の朝鮮文化」は、文学者である氏が日本国中にある渡来人の痕跡である寺や神社をたずねる調査紀行シリーズ。たしか全巻12巻が刊行されている。歴史学者からは反論もあったが、隠された古代の日本の貌(かお)が新しい歴史の姿を纏って浮かび上がってくる知的興奮をかきたてられる好著。「金達寿」氏は、韓国慶尚南道馬山市出身の在日朝鮮人文学者。

日本の中の朝鮮文化―相模・武蔵・上野・房総ほか (講談社学術文庫) 金 達寿 / 講談社

日本の中の朝鮮文化2―山城・摂津・和泉・河内 (講談社学術文庫) 金 達寿 / 講談社
狛犬が朝鮮渡来の文化であるか否かは別にして、最近亡くなった「つかこうへい」氏、「パク・ヨンハ」氏など、韓流スターの人気や在日朝鮮人の芸術、芸能の分野での活躍は著しい。この分野に関する感受性の深いところで、DNA的に日韓に共通するものが何かあるかもしれない。そして、韓国JAZZミュージシャンの日本での人気も話題になっている。去年デビューしたトランペトと女性ボーカルのデュオ・ユニット「Waterplay」や、女性ボーカル「ウン・サン/Woong San」が大変話題になったことは、このブログでもとりあげたところ。(参照 「韓の国より吹いてきたJAZZYな風」、「これはヤバイ!韓流JAZZ」 )

ソングス・オブ・カラード・ラヴ WINTERPLAY / ユニバーサル ミュージック クラシック

Close Your Eyes ウンサン / ポニーキャニオン
聴いてみますか? 「WINTERPLAY」。「EGO-WRAPPIN’」のカバー「色彩のブルース」を。 (埋め込みができませんのでクリックしてください) う~~~ん、クール・ビューティですね。
デビュー・アルバムのタイトルにもなっている「Woong San」のオリジナルで軽快にスイングする「Close Your Eyes」。 それでいて「マデリン・ペルー」のような雰囲気も魅力。

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