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試作品第一号

分散型オンライン開発チームは当初、僕以下6名程でスタートしたが、アメリカから帰国した後、チームを3人ずつの2チームに分け、僕がヘッドを務める「営業店事務オートメーション化」チームと、Sをリーダーにした「制御システム開発」チームに分けて夫々が構想を深堀りし内容を固めて行った。1週間毎に両者の刷り合わせを行い、軌道修正の検討やより良い方法の発見などに努めた。

勿論僕が主管する「営業店事務オートメーション化」は、それまで、業界全体がそうであったように、紙とボールペン・算盤(電卓)で全ての事務をこなしていたのを、事務員(女子社員)が自席に1人1台のオンライン端末を持ち、端末機の指示に従って事務を遂行する形に変えることである。

これにより、難しい計算や仕分けなどはコンピューターが行うし、間違いは即座にコンピューターが指摘するので、人間側の事務処理負担が大きく軽減されることを狙いとしている。

システム部門の先輩と同期の人が支店長を務める八王子支店を紹介して貰い、何度か出掛けては、現状の事務の姿や問題点を確認し、現地の人達とも議論を深めながら、コンピューターの支援する事務処理のイメージを固めて行った。

これに対し、「制御システム開発」チームのミッションは、上記事務システムが稼動出来る全ての環境条件を用意することなのだが、通常、ホスト・コンピューターであれば、この部分はOSと言ってメーカー側が用意するシステムなのだが、如何せん、工場のライン制御用のミニコンにはベーシックなOSが有るにはあるが、事務用に必要なOS機能など無いに等しい。

従って、S以下の同チームは、所謂DC(通信制御)DB(データベース制御)を初めとして、自ら、或いは、メーカーのSEと協同で、事務用OSを一から作り上げることが求められたのである。1金融機関のシステム部門がそこまでやるのは聞いたことがないが、ミニコンを使うと決めた以上仕方ない。

何度目かの刷り合わせ会議で、議論はそろそろ切り上げて、必要最低限の機能だけでも開発に入ろうということになり、両チームともコア部分のシステム作りに取り掛かった。

3ヶ月程で、ミニマム・システムが出来上がり、両システムの接続実験もまずまず。それでも幾つも不都合(バグ)が見付かり、更に1ヶ月を要して、最初のプロトタイプと呼べるものが出来上がった。

八王子支店からも女性陣にコンピューター・センターに来て貰い、出来たばかりの事務システムを端末操作して貰った。

結果は甘くなかった。制御システム側で用意された機能のままでは、今後追加開発する事務システムが複雑になり過ぎることが判明。もう少し踏み込んだ、面倒見の良い制御システムにする必要がある。一方、八王子支店の女性陣からは、「入力負荷が大変。このままのシステムなら、今の手作業事務の方が良い」、と宣言されてしまった。やり直しだー!!!あーあ。

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