終った
その後、1~2年掛けて、新事務システムとして予定していたコア業務以外の膨大な機能の開発を終了し、それを多摩地区での実験に加えた。Sが率いる「制御システム」開発チームの方も、多摩地区だけで稼動している分には、センターから出向くのも比較的容易だが、全国展開になればそうは行かない。遠隔地でも困らないようにあらゆる機能を自動化・リモート化しなければならないから大変だった。
それらの開発が完了してから全国展開を開始し、約2年間掛けて全国全ての店(当時500店に増えていたが)に分散型オンラインを導入し終えた。その間、「営業店に訳分からんコンピューターなどいらん」との店長さん達の抵抗に遭遇したりもしたが、各地の当システム推進係が多摩地区と連絡を取って現場の実際の声を聞いた結果、システム導入後の方が圧倒的に事務ロードが軽くなったとの答えが決め手となり、その後はスムーズに展開出来た。
八王子支店・立川支店・小金井支店といった多摩地区の営業店には、最初の実験から最終段階までの全部の過程で協力をして貰ったが、事務担当の彼女達から僕等に浴びせられる意見は、決して心地良いものではなく、辛口極まりない意見・感想のシャワーが多かった。
僕等も必死で彼女等の指摘に一つ一つ対応したのではあるが、これからシステム導入で不安がる全国の営業店に対して、そんな彼女達が「怖がらないで、早く事務を切り替えた方がいい」と説得に回ってくれたのだ。思ってもみなかった。僕等システム開発チームと多摩地区の連帯感をこの時ほど感じたことはなかった。心から感謝した。
全国展開が遂に終った。Fさんに「ミニコンを使おう」と言われた時から、都合5年掛かった僕等の大仕事はやっと完了したのであった。
最後の営業店でこのシステムが無事稼動したのを確認した翌週、F部長は僕等のためにわざわざ新宿京王プラザホテルで、システム部門全員を集めた完成記念パーティーを開催してくれた。嬉しかった。涙を辛うじて堪えた。
直属の部下、他のセクションの人々、全ての人達の協力がなかったら完成しなかった大仕事だったから、集まった人全員に心から感謝した。そしてSとは何も言わず硬い握手を交わした。言葉は要らなかった。


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