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江連忠のゴルフ

ある会社のゴルフ・コンペに、員数合わせとして呼ばれ、半年振りのゴルフに参加した。朝、ゴルフ場に着いたら、その会社の関係者が待っていて、「練習場でエズレ・プロのレッスンが行われているから、着替えたら、直接練習場に向かって欲しい」と言われた。

「エズレって誰?聞いたことがあるような気がするが」とは思った。だが思い出せもせず、練習場に向かった。練習場の半分の打席をレッスンに当てているようで、打席で打っている人以外はその後方で大勢がスタンバイしているのが遠目にも分かる。その日のコンペ参加者は既にあらかた揃っているようだ。

近付いて行ったら、ひと際体格の良い男が、大きな声で話している。「ゴルフはカッコ良さですよ」。「この構えとこういう構えのどっちがカッコいいですか?」と自分で2種類の構えをしてみせる。「次に、構えた時、絶対にグリップに力を入れたらダメですよ」。「手に力が入ると肩がガチガチになってスムーズに振れなくなりますからね」。

と、その時、彼の携帯が鳴った。「すいません。桃子からの電話なので」と言いながら電話で話し始めた。桃子?アぁ、分かった。エズレって、上田桃子のコーチの江連忠のことだ。諸見里しのぶや片山晋吾、伊澤利光など大物トッププロ達を教えているコーチだ。ヘー、今日は日本一のコーチが、ド素人の僕等に教えてくれるんだ。

「今、ハワイの試合2日目が終ったところで、3位らしいです」と江連氏。嬉しそうだ。「明日の最終日もそのまま突っ走れと言っときました」。周りから大きな拍手が起きた。

僕も俄然やる気が出て来た。あの江連プロだと知ったら、自分のフォームを絶対に見て貰わなくちゃ。「はい、皆さんスタンバイしている人も全員、アドレスの構えをしてみて下さい」と言うので、僕は彼の直ぐ近くで構えた。なのに、彼は隣の人の前にしゃがむようにして両腕の角度やグリップの位置などを手にとって指導。はい、もう良いでしょう?次は僕。ところが江連さん、次に反対隣の人の指導に移ってしまった。

大勢だから順番が回ってこないかもな。仕方ない、言われた通りの構えを練習しておこう。と構えていたら、江連さん、遂に僕の前に現れてくれた。「オー、良いですね。右腕をもう少しリラックスさせたらパーフェクト。そうそう右ひじが体に付く感じ」「なるほど」。

「この人の構え、見ただけで飛びそうでしょう?」と他の生徒に言ってる。僕は彼に言った。「江連さん、僕は昔から構えとスウィングは奇麗だって言われるんですよ。但し、ボールが無ければなんですが」。

「いいんですよ。先ずは素振りで正しい構えとスィングを体で知ることが大事ですから。ボールがあるとそれが出来ないのは力むからでしょう。グリップに力を入れないで、ふにゃふにゃグリップにしてボールを打つ練習をしましょう。それで絶対上手になります」。こう断言されると勇気付けられるねぇ。

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