復帰します(3)
退職した翌々日、15年振りに人間ドックに行って来た。
前職の会社では責任者として、全社員に人間ドックに行くようにお触れを出したものだ。責任部署の総務部長には人間ドック皆受診を達成したら特別表彰するからと言明しながら、僕が行かないのだから皆受診が達成する筈もないのだが、それでも総務部長が頑張ってくれて2年間で受診率を85%から、97%まで上げてくれた。
僕が何故人間ドックを受けなくなったかと言えば、1つは、自分の身体は自分が一番良く知っているという思い上がり。もう一つは多分、待ち時間の長さが厭で遠ざかってしまったのだ。1つの検査から次の検査までの待ち時間が途轍もなく長かった。朝一番に行っても、検査が終了するのは午後3時近かった。
今回受診しようと思ったのは、昨年秋に、生まれて初めてポリープ除去手術を経験し、思い上がりが少し揺らいだのと、人生の大きな節目だから今後のために現時点の身体の状態を確認しておこう思ったからだ。
長い待ち時間に備えて僕は2冊ほど文庫本を持ち込んだ。ところが、4月の初めということもあり、受診者が極めて少なかったためか、何と50分程で全ての検査が終了してしまった。流れ作業のように全てがテキパキと進んだのには驚いた。
最後に院長からの説明があったのだが、この院長、会社の顧問医でもあるので以前から面識があったからか、「神童さん、本をお持ちになったようですが、読む時間ありましたか?」と来た。流れ作業みたいだったから勿論そんな時間はなかった。
「そうでしょう。看護師や事務員にお客様を絶対に待たせてはいけないと口を酸っぱく言っています。そのためにお客様に時間予約して貰っているのですから」と少し誇らしげ。成程ね。こんなに簡単なら毎年来てやってもいいな。僕らのことを「お客様」と呼ぶのも良い。
「私は都合が付かなくて行けませんけど、今度のNHKホール頑張って下さい」「それは残念ですが、頑張ります・・・。ところで先生。肝心の所見は?」「ああ、そうでしたね。血液検査などの結果は1週間後になりますが、それ以外では全く問題ありません。目も耳もOK。胃も腸も肝臓・すい臓・脾臓・腎臓・心臓全部大丈夫ですよ」って。
ほんまかいな。さっささっさと手際良くやってくれたのは良いけど、何か見落としてない?カミサンには最近耳が遠くなったの、物忘れが酷くなったの言われてるし。「血液検査の結果や、総合成績表はご自宅に郵送しますから」とのことで全て終了。
1週間後結果が自宅に送られて来た。「高脂血症の値が高めで且つコレステロールが高いので一度医者に相談することをお勧めします」。なっ。そうすんなりは行かないものよ。
翌日近所のクリニックに行った。先生曰く「この位の値じゃうちでは薬出しませんけど、どうしてもと仰るなら出しますが。どうします?」「じゃぁ、いいです」。何か無駄なことやったような、そうでもないような、すっきりしないのよ。そう言やぁ、昔もそんな感じだったなぁ。それで人間ドック行くの止めちゃったんだっけ。思い出した。


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