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靖国神社

一昨日、東京は一週間振りに快晴となった。朝食の時にカミサンに「天気が良いから何処か近間に出掛けてみようか?」と投げ掛けてみた。「そうね。都内のお寺や神社で2人共まだ行ったことがない所ってどう?」と言う。

「いいね。明治神宮や浅草寺は何回も行ってるし、花園神社じゃつまんないし・・・」「靖国神社は行ったことあるの?」とカミサンが聞く。「ない。今丁度何かとドキュメンタリー映画が騒がれているから行ってみるか」

てな訳で、僕は生れて初めて靖国神社を訪れた。都営新宿線の九段下で降りて直ぐの所に靖国神社に入口はあった。御堀端の道路は、毎年冬に行われる東京女子マラソンの最後の長い上り坂で、4年前、それまで独走していたQちゃんが急に失速してアテネ五輪への道が途絶えた因縁の場所だ。その道路を挟んで反対側には武道館が見える。

さて、僕とカミサンは靖国神社に向かう。僕が生れてこの方一度もここを訪れたことがないのは、ここが愛国主義や軍国主義の聖地と思っていたので、何となく精神的障壁が高く、靖国神社を本能的に敬遠していたのだ。

考えてみれば還暦も過ぎいい年して、右だ左だと今もって物事をステレオタイプに考えている自分がいて何だか滑稽に思えた。靖国神社の実物も知らずに何となく好ましくないと思っている自分を少し恥じた。カミサンは偉い。妙な偏見も先入観もなく、極々単純に、今まで行ったことない神社だから行こうと言う。

大きな大きな鳥居をくぐると、中央に高い台の上に乗った銅像が現れる。眉毛が際立って太く長いその人物は大村益次郎(村田蔵六)。彼が戊辰戦争で戦死した兵士を供養するために作ったのが靖国神社の始まりだそうだ。

更にもう一つの鳥居をくぐって本殿にお参りをしたあと、正面向かって右手にある資料館「遊就館」を見て回った。僕の大学時代の友人は、靖国神社そのものは全く違和感なかったが、「遊就館」の中は完全に右翼思想の資料館だった、これから外国との付き合いを考えればあれは止めた方がいい、と以前言っていた。

だが、僕が見て回った限りでは、友人が言うほどとんでもないものとは思わなかった。特攻隊員が残した母に宛てた手紙や、兄弟を思う手記などは、心打つものがある。米国でも英国でもその手の記念館には、戦死した兵士が書き残した手紙や詩が必ず展示されているから、万国共通だ。

しかし、そこに書かれている「お国のために死ぬのは男の本懐です」という言葉は本当の本音だったのだろうか。20歳の男が「まだ死にたくない」と言えなかった時代の空気にこそ、そら恐ろしさを感じる。

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