鳩山会館
梅雨の合間の晴天。その日の朝、「今日は雨降らないらしいから、どこか都内の名所に行ってみようか?」とカミサンに声を掛けた。彼女も同じことを考えていたらしく「音羽会館に行ってみたい」と即座に答えが返って来た。「音羽会館って、あの鳩山さんの邸宅のことかい?いいかもね」と相槌を打った、つもりだった。
「何よ~ぉ。気のない返事ねぇ。いやなら別の所でもいいわよ」。正直言えば、古くからの歴史的な建造物ならいざ知らず、立派かも知れないが最近まで鳩山家の人々が実際に住んでいた建物の中を見に行くというのは、何か覗き見趣味のようであまり乗り気にはなれなかったが、カミサンの希望なら仕方ない、付き合うか、っといった心の内を簡単に見抜かれた。
「鳩山会館(通称:音羽会館)がいやだという訳じゃないけど、今日のメインがあってサ、その序でに立ち寄るのなら良いと思ってね」「じゃぁ、あなたの行きたい所は何処なのよ?」「うーん、これといったところがある訳でもないけど、四十七士が眠っている泉岳寺とか、一度行ってみたいと思っていた浜離宮なんてどうかなぁ。現在のNHKの朝ドラの影響で月島・佃島辺りが人気スポットになってるらしいから、そういう下町散策もいいかもね」。
カミサンの提案。「じゃぁ、その全部を地下鉄乗り継いで回ってみる?ウォーキングも兼ねて」「そうしよう」。僕は早速インターネットでそれらを何線のどの駅で乗り換え、どう回るのが効率的かを調べていざ出発。午前10時だった。
家から私鉄とJRに乗り継いで「飯田橋駅」。そこで有楽町線に乗り換え。池袋方面に1駅「江戸川橋駅」下車。徒歩7分で「鳩山会館」入り口に到着。驚いたことに、大型観光バス2台が会館前の大通りに駐車していた。一台は「はとバス」、もう一台は山梨ナンバーだった。「鳩山会館」が東京の立派な観光名所になっていたのだ。
入口の正門からは上りの坂道が続く。両サイドには青紫・赤紫の紫陽花(アジサイ)が咲き誇っていた。結構な距離を歩いてやっと屋敷が見えて来た。門から屋敷までこんなに遠いとは。それも文京区、東京のど真ん中の個人の屋敷なんだから凄いこと。
今は殆ど死語になった「深窓(シンソウ)の令嬢」という言葉が昔あった。門からかなり奥に屋敷があり、外の喧騒など全く聞こえないような場所で大切に育てられた上流階級の娘を指す言葉なのだが、「鳩山邸」は正にそれを偲ばせる敷地だった。
建物も鉄筋コンクリート造りのモダンな佇まい。地下1階、地上2階建で、その上には広い屋根裏部屋がある。1階には応接室が4つ。和室が一つ。2階は、中央に舞踏会も出来そうな大ホールがあり、その両隣りは夫々鳩山一郎氏とその子供威一郎氏の資料室だった。生前は書斎だったり家族の居間だったようだ。和室もある。
また、建物の前面には広い洋風の中庭があって見事なものだ。その庭に立ってみて思い出した。そう言えば以前、小沢一郎や管直人、鳩山由紀夫ほか民主党の幹部等が、この庭に勢揃いして歓談している場面をテレビ・ニュースで放映してたっけ。


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