虎ノ門のビートルズ(1)
先日、虎ノ門にある「ムーンドッグス」というライブハウスに、本物のビートルズより上手いビートルズを見に行って来た。彼等は男4人に女性1人の5人組だ。男4人はジョン役の「ズー・ジョン」、ポール役の「ポッツ」、ジョージ役の「キャップ」、それにリンゴ役の「わにどら」。女性は「サム」と言ってジョンの曲を「ズー・ジョン」と交代で歌う。
男は全員40代50代のいいおっさん達なのだが、ビートルズ一筋20年・30年だから、ビートルズがビートルズだった期間の倍以上ビートルズをやっていることになる。だから彼等は物凄く上手いし、夫々の役になり切っていて、歌う曲も原曲通り自分の曲以外(他のメンバーの曲)は決して歌わない。声は紛れもなくあのビートルズの声だし、しぐさや顔付もそっくりなのだ。
「サム」はこのバンドのマスコットのような存在で、ジョンの曲を歌い、ギターを弾く時の何とも楽しそうなその笑顔はとても可愛らしくて、荒んだ心を一瞬にして癒してくれる、僕らおじさん達のアイドルと言っても良い。但し、年齢は不詳。
バンド名は、「アップルビーツ」。何故僕が虎ノ門の店で人気のこのバンドを知っているかと言うと、2か月ほど前まで、クーペの店で毎週木曜日に彼等が演奏していたからだ。そこにたまたま「虎ノ門ムーンドッグス」のオーナーが飲みに来て、大いに彼等を気に入り、オーナーがクーペに頼み込んで、「アップルビーツ」の虎ノ門への移籍が決まった経緯がある。
僕も彼らが大好きだったので、遠くへ行ってしまうのは本当に残念だったが、何より彼等が東京のど真ん中で活躍出来るならと気持ち良く送り出したものだ。
「クーペ&Shifo」と一緒に僕も出演させて貰った4月のNHKホールでは、出演する訳でもない「アップルビーツ」が、全員裏方に徹して最初から最後まで舞台裏を手伝ってくれた。凄く良い奴等なんだ。
そんな彼等を是非一度、虎ノ門に見に行きたいと思い、僕は前の会社の同僚のK君を誘ったら、彼は「家内を一緒に連れて行きたい」と言う。それではということで、僕も現役時代秘書役をやってくれたA子を誘って4人で押し掛けることにした。A子は、確かまだ30歳前後の筈。良くぞこのロートル・グループの誘いに応じてくれたものだが、実はA子も彼等のファンなのだ。
20時開演と聞いていたから19時半に店に入ったら、「アップルビーツ」がステージ上でマイク・テストやアンプの接続などをやっていた。彼等は直ぐに僕等に気付き、嬉しそうにニコニコ顔で僕等のテーブルにやって来た。「ご無沙汰しています」「良く遠くから来てくれましたね」「凄く嬉しいです」などと口々に言ってくれる。嬉しいのはこっちの方だよ。


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