虎ノ門のビートルズ(2)
僕等が虎ノ門のライブハウス「ムーンドッグス」を訪れた何日か前に、東京郊外で「クーペ&Shifo」のライブがあり、「アップルビーツ」のドラマー「わにどら」が裏方の手伝いに来てくれていた。
その時僕は彼に「近い内に虎ノ門に君等のステージを見に行くよ」と言ったら、「神童さん、それは凄く有難いんですけど、店が今にも潰れそうで、丁度今日、店のオーナーがビル・オーナーにもう少し続けられるように交渉する日なんです。それ次第で閉店になるか続行となるか、という状況でして・・・」と、申し訳なさそうに言う。
「次の君等の日はいつだったっけ?」「一応明後日の火曜日ですけどね」「分かった。一応その日に行くつもりでメンバー集めるから。その前に閉店が決まったら教えてよ」と、かなり深刻な会話をしてたのだ。
が、取り敢えずはもう1ヵ月続行出来ることになり、僕等も初めて店にやって来ることが出来たのだ。だが、実際来てみるとどうだろう。ステージが始まる前だけど、僕等を入れてもう20名弱の客が来ている。40人ほどの収容力らしいから決して悪いことない筈だがな、と僕は思った。
「アップルビーツ」のステージは、各ステージ30分で全部で4ステージ。第1ステージは20時から、第2ステージ以降は夫々21時、22時、23時開始。
僕はK君の奥様と始めて親しく話させて貰った。栄養士として横浜に勤務されているのだそうだ。日頃、ゴルフに飲み会にK君を引っ張り回しているお詫びをしながら、楽しく会話をさせて貰った。とても若々しく美しい方で、話していてこちらがとても楽しくなれる女性だった。K君にはもったいないくらいの方だと思った。
その奥様が僕の隣の女性A子を「神童さんの恋人かと思いました」なんて、ドキッとするようなこともおっしゃる。どう説明しようかなと思ってたらK君が代わって説明してくれた。「A子さんは会社で庶務をやっていて、神童さんの秘書代わりをしていた人だよ」。「初めまして」。それをきっかけにステージが始まる迄4人で洋酒を飲みながら談笑したのだった。
「アップルビーツ」の演奏が始まった。1曲目「アイソーハースタンディンゼア」。ジョン役「サム」が歌う。女性が歌うのに雰囲気は完全なるビートルズなのが不思議だ。ポッツ(ポール役)が歌う「アンドアイラブハー」は初めて聞いたけど、いいねえ、青春が蘇る。ポールそっくりと言うよりもポールそのもの。
メンバー全員が夫々1~2曲歌って、第1ステージ最後の曲「カンサスシティー」。ポッツが歌った。乗りの良い曲だから、グループで来ていた客達は、お酒の勢いもあって椅子に座りながら体を揺らしている。


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