時代おくれ
昨夜、もうオリンピックにも飽きて、何か違うことやってる番組ないかとチャンネルを回していたら、偶然、矢代亜紀の歌う「舟歌」が聞こえて来たので、そのまま番組終了まで見てしまった。何を隠そう、その昔、カラオケでどうしても歌わなくてはいけない時、僕が歌える唯一の曲だったからだ。
NHKのBS放送だった。丁度一年前の8月1日に亡くなった阿久悠の残した数々のヒット曲を振り返る特集だったようだ。俳優の緒方健が阿久悠の残した随筆や手記を朗読しながら番組は進んだ。
僕が見始めたのは、もう最後の方だったみたいだが、阿久悠が自然と頭に湧いてくる詩を書き留めて、あれだけの数を残したのではなかった。いつもいつも、テーマを持って作詞して行った。その時代の空気を掴み、その先にあるものを弄りながら、或いは、その時代が気付かずに通り過ぎてしまいそうなものをテーマに言葉を紡いで。
そんな彼の歌が次々に紹介された。歌手が歌うその映像はその当時の紅白歌合戦のビデオテープだった。懐かしい。そして、番組はラストを迎えた。テレビには阿久悠が生前、テレビのインタビューに答えた映像が映し出された。
そこで彼は「東京オリンピック以降と言うか大阪万博以降、日本は高度成長期に入り、物凄い勢いで進んで来た。普通の歩幅が70~80cmだとすれば、その倍くらいの歩幅で駆け抜けたようなものではないか。僕はその大きな歩幅の中に、今、もっと大切にされて良いものを置いて来てしまったような気がして「時代おくれ」という歌を作りました」。
これには正直驚いた。「時代おくれ」って、あの河島英五の「時代おくれの男になりたい♪」って曲のこと?それとも同名の別の曲かなぁ?アナウンサーが「それでは締め括りは、河島英五の「時代おくれ」を聴きながらお別れしたいと思います」。う~ん、やっぱりあの曲だ。
僕はその曲を河島英五の作詞作曲だとばかり思っていたから、本当に驚いたのだ。その詩は彼の声、彼の風貌にぴったりだし、時代に逆らうような河島英五の生き方の中から生まれた詩の如くに説得力があったからだ。更に驚いたのは作曲も森田公一だった。凄いことだね、プロというものは!本人より本人らしい曲を作っちゃうんだから。
♪一日二杯の酒を飲み肴は特にこだわらず
マイクが来たら微笑んで十八番をひとつ唄うだけ
♪妻には涙を見せないで子供に愚痴を聞かせずに
男の嘆きはほろ酔いで酒場の隅に置いてくる
♪目立たぬようにはしゃがぬように似合わぬ事は無理をせず
他人の心を見つめ続ける時代おくれの男になりたい
♪・・・・・・・


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