未だに好きになれない
各家庭に白黒テレビが普及した頃、僕が何より好きだったのは、巨人と大鵬と卵焼きだった。当時流行語大賞があったら絶対にグランプリを取っていただろう「巨人・大鵬・卵焼き」は、見事に自分のことを言い当てていた。
今ではたまにしかテレビ中継されない巨人。面白くないからそれも当然。つい最近まで敵のチームの4番を打ってた外人が巨人4番?3番はパの方が似合うよ?あの若い人誰?要するに巨人の3・4番は日本を代表する3・4番という嘗ての巨人じゃなくなった。主役のいない映画みたいだ。
相撲は?朝青龍・白鳳・琴欧州・・・。横綱・大関は日本人じゃなきゃとは言わないが、彼等に比べると日本人力士が弱過ぎて、日本人は何やってんだとどうしても思っちゃうね。
卵焼きは?4月に行った人間ドックで、唯一、コレステロールの高さが問題視され、毎朝食べてた卵焼きはもう食べられなくなってしまった。「巨人・大鵬・卵焼き」・・・あ~あ。
さて、小さい頃嫌いだったものは何だったかな。「地震・かみなり・火事・親父」とは言うけど、地震と火事で怖い目に遭ったことはないから、強いて言えば雷と親父かな。
食いものでは肉が全くダメだったし、バターにチーズにヨーグルトも。野菜も殆どダメだった。ニンジン・牛蒡・白菜・玉葱みんなダメ。それに学校の脱脂粉乳、もうダメ。
親父には「食わず嫌いは男の子のすることじゃない」ってよく怒られた。だけど僕は食べて不味いから嫌いになったのであって「食わず嫌い」じゃ絶対ない。母親の料理が下手だったのかなぁ。いや違うな、姉貴は僕の嫌いなものもたいがい好物だったから。
そりゃ痩せてましたよ。そのまま、今日まで嫌いなものは嫌いのままだったら、メタボの心配もいらなかったのにね。今じゃ、脱脂粉乳を除いて全部好きなものになってる。食い物の好物の転機は学生時代だったな。貧しい下宿生活の4年間はいつも腹を空かせていたから、嫌いだったものが全部好きに変わった。
好きも嫌いも変わりつつ、この年まで人間やって来て、もう人間出来てて良い筈なのに、ダメなんだ。顔には出さないように努力するけど、ダメなんだ。恥を掻かされるのだけは。誇りを傷付けられるのだけは。


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