プレミアムエイジ ジョインブログ
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再び共に

JTの引退は社内に大きな波紋を投げ掛けた。数多くいる役員の中でも、筋論を重視し、本質の論議が出来る人物として、また、やると決めたことは徹底的にやり抜く人物として、彼に一目置いていた人間は多かった。部下に対しては、彼等がこの先この会社で充分やって行けるように厳しくそして優しく接する人物として、特に若手に人気があった。

それだけに、様々な憶測が駆け巡ったのも無理からぬところだ。「多分」とは断りながらも訳知り顔で解説する輩もいて僕は閉口したものだが、総じて言えば「何故?」「何があったの?」という疑問形が大勢を占めたように思う。

僕は勝手に解釈している。あの時のように、即ち、「遂にA氏が社長になった。さあ、これで会社を変えられる」と意気込み熱くなった時のように、再びJTの心に火を付ける何かが蘇ることはなかったということだと。

本人は「我が儘退社」とか名付けているようだが、けだし名言ではないか。顔色を伺い、相手に合わせ、可笑しくもないのに笑顔を作る、そんな男が大勢を占める世の中に、我が儘を貫く男がいてくれる。ぶれずに本質論を貫く男がいてくれる。言行一致にとことん拘る男がいてくれる。僕は彼にサムライを感じる。

同じ年の生まれだが、僕が早生まれなので年次は彼の1年先輩に当る。その僕から見てもJTは大した奴。

彼の退職をあのA氏はどう受け止めたのだろうか。興味深いところではあるが、聞かずとも分かる。A氏の、退職後のJTへの接し方を見ていれば分かる。彼のJTに対する信頼の厚さと親愛の深さが。そのJTに充分報いてやることが出来なかったというA氏の思いが。

退職後JTは、経営コンサル会社を立ち上げ、経営に苦しむ中小企業のコンサルティングを初め、行き詰った企業の再生事業や地域貢献・社会貢献に関する各団体との協働、団塊世代向け雑誌の創刊など幅広い活動を開始して、何と初年度から黒字確保という離れ業を成し遂げた。

そして、ここのところ、JTは上記に加えて、前の会社の外で前の会社のために出来ることを真剣に考えている。JTにとっては自分が生きた証の会社、自分を育ててくれた会社だ。そういう思いからだろうか。会社を途中で辞めた人間がこれほど元の会社のことを思う人間を僕は他に知らない。

独立後のJTの事業は様々な分野に広がっているが、その基本理念の一つに、大量に排出される現役引退の団塊世代は、40年に亘る会社生活で身に付けたノウハウがあるのだから、今こそそれを社会還元し地域に貢献すべきだ、というのがある。

彼から声が掛った。気付いたら僕も61歳。現役引退。サンデー毎日。そういう僕に、前の会社のためになるシステムの仕事を手伝えと言って来た。少しは協力しないと叱られそうだ。役に立てるかどうかは甚だ疑問だが、8年振りに再びJTと共に仕事が出来る。それは嬉しいこと、楽しみなこと。

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