イチロー
ついに8年連続200本安打を達成した。200本目はイチローらしい内野安打だった。
今シーズン突入前、イチローはいつになく記録を強烈に意識して開幕を迎えた。偉大な大リーグ記録に並ばないといけない年だと。いつもは周囲の騒ぎを横に、涼しい顔で単なる通過点とコメントするのに、記録達成後のインタビューは「めちゃくちゃしんどかった」「出来ないかも知れないという恐怖を感じてた」。
無理もない。彼が並ぼうとする記録は、100年以上も前の記録なのだから。ウィリー・キーラーが打ち立てた8年連続200安打は、その最後の年を除いて、19世紀の出来事だったのだから。
言い換えれば、それは、後の安打製造機と言われる大打者タイ・カップも、ルー・ゲーリックも、ピート・ローズも、誰も、100年以上破ることは出来なかった記録だ。もう二度と破られることのない記録と言われたことさえ遥か昔の話。
それだけに、今シーズンのイチローの感じるプレッシャーは相当なものだったのだろう。夏前までなかなか3割に届かず、我々ファンを本当にヤキモキさせてくれた。イチローも人の子、重圧に負けそうになっているように見えた。
8月に入ってやっと本来のイチローの姿に戻って固め打ちを何度も記録し、打率も3割1分を上回るようになり、やっと残り試合数が200本安打への残り安打数を上回る状況に入った。
そして、あと10本を切った頃から、毎試合1本の安打は出るが固め打ちが出ないという、記録目前の別のプレッシャーの後、3安打の固め打ちで一気に大記録に並んだのである。この辺りは如何にもイチローらしくて良い。
イチローが大リーグに移ってからテレビで見る機会が増えたのだが、内野安打が本当に多い選手だなと思った。最初の頃は当り損ねが運良く内野安打になっているのだと思っていた。
ところが、イチローと親しい新聞記者は、「彼の内野安打は偶然ではなく、狙って内野安打にしている」と言うから驚いた。「相手は僕の内野安打を一番嫌がっている。それをやることは面白いよね」とイチローは言う。
確かに偶然の内野安打に依存していたのでは、8年連続200本安打は絶対に無理。イチローから内野安打を取ったら2割5~6分の並みの選手以下になってしまうのだから。
ファンは誠に勝手なもので、大記録に並んだからには来年是非9年連続200本の新記録をお願いしたくなる。また、ピート・ローズの持つ年間200本安打10回の記録も是非更新して欲しいし、最後には、生涯安打記録4,256本(ピート・ローズ)を是非とも超えて貰いたいと欲張る。だからイチローも大変なのだ。



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