メープル街道の旅(12)
オタワでは、まず市の中心部にある大規模な露天市場を見て廻った。民芸品・特産品・装飾品・Tシャツ・ジーンズ・果物・野菜・ファーストフードなど、沢山の店が並んでおり様々な人種の観光客で賑わっていた。僕はそこで気に入った帽子を一つ購入した。
次に国会議事堂を見学したが、驚いたのは建物全体が中世ヨーロッパのお城のような趣きで、立派な観光資源になっていたことだ。火災のために建て直したものらしいのだが、見る者には充分に時代の重みを感じさせる。歴史の新しい国でこのような建物にお目に掛かるとは思わなかった。
その後バスの車窓から各国の大使館が居並ぶ地区を眺め、市内を流れるリドー運河の畔を散歩し、セント・ローレンス川をクルージングしてオタワ市内観光を終えた。
翌日は、いよいよ紅葉のカナダの代名詞とも言えるアルゴンキン州立公園に向かった。アルゴンキン族という先住民族に因んで名付けられた。紅葉のカナダをPRするポスターは、大概このアルゴンキン州立公園の写真だそうだ。ここ何日かの冷え込みで、一気に森の木々が色着いていて欲しいものだ。
オタワからはバスで4時間ほど。州立公園全体の大きさは東京都23区とほぼ同じ大きさだという。公園内をバスが行く道路の両側はレッド・メープルの葉が赤々と染まり、息を飲むほどの素晴しさだ。山が燃えるとはこのことと思った。
初日、添乗員に「紅葉はまだ3%」と言われどうなるかと思ったがこれは凄い。カナダに来た甲斐があったというものだ。
実は、僕は現役を引退するまで、紅葉にあまり興味のない人間だった。春の花見には出掛けても、秋に紅葉を見に出掛けるという気にはなれなかった。それは満開の桜には感動しても、葉っぱが色着いた位で何が良いのかと思っていたからだ。
その既成概念が木っ端微塵に打ち砕かれた。林全体が、森全体が紅に染まっている。それも、昨日か今日、真っ赤に染まったばかりだから、晴れ渡った青空を背景にして、新鮮な赤が太陽光を受けて光り輝いている。僕は車窓から我を忘れて見とれていた。
州立公園に入って20分ほど進んだ所でバスから降り、そこから30分ほどハイキングで山を登った。その頂上にテーブル・マウンテンとでも言うような平らな岩が現れた。そこからはアルゴンキン州立公園が一望出来る。一面が、紅葉と常緑樹のモザイク模様だ。遠くには湖が幾つか見える。
人工物が何も見えない超自然。空気も旨い。これがカナダか。空は雲一つない青空。気持ちいい。僕の口が勝手にしゃべった。「カナダなのに、何故か知らねど、日本晴れ」。カミサンが笑った。


0 comments
下記のフォームへの入力が必要となります。
コメント欄