メープル街道の旅(16)
30年振りのナイアガラの滝との再会を果たした後、バスはナイアガラ・オン・ザ・レイクに向かった。この町はナイアガラの滝から、車で30分ほど北上したところに位置する。イギリス植民地時代に現在のオンタリオ州の最初の首都として栄え、今なおイギリス調の街並みが美しい。
小一時間、自由時間があったので、カミサンと町をぶらついた。観光客が大勢この町に押し掛けているようで、どの店も買い物客で賑わっていた。白人の団体客、それも現役引退組みの人達が多いようだ。僕もそうなので何となく親近感。
一通り街を見て回って、最後に町の名前の由来通り直ぐ近くにあるオンタリオ・レイクの畔を散歩してバスに戻った。
カナダの旅の最後は、この町の郊外にあるアイスワイン工場での試飲会だ。バスで10分ほどで目的の工場に到着。早速試飲。アイスワインなるものは初めて飲んだ。甘い。とても甘い。慣れれば美味しいのだろうけど、どうにも僕には合わない。
何故アイスワインと言うかというと、葡萄の実をあえて樹につけたまま冬の到来を待ち、何回か凍結した葡萄の実をワインの原料に使うからである。
凍結と解凍を幾度も繰り返すと、少しずつ水分を失い、葡萄本来の甘みと芳醇な香りをまとった果汁が実の中に凝縮されて行く。ドイツを起源に持つこのアイスワインは、貴族のワインとも呼ばれる。ここナイアガラの厳しい寒さは、アイスワイン用葡萄の生産に適していることから、アイスワインのメッカとなった。
ワイン工場見学後、バスは一路トロントへ。カナダの旅の全行程が終わり、最後の夜をトロントで過ごすのみとなった。ホテルのレストランの別室でツアー一行の晩餐会が開かれた。1週間も行動を共にしていると、殆どの人と気軽に話せるようになるものだ。
僕の隣は上品な感じのするご婦人の2人組だ。年齢も僕等夫婦と近そう。ビールとワインを飲みながらお話をした。婦人の1人が僕に言う。「まだお若い内に、ご夫婦で海外旅行されるというのは本当に羨ましいです。私達も、主人が現役の時はとても無理でしたから。ねぇ」と、お2人で頷き合う。
「え!幾つに見えますか?」と僕は逆質問した。「50チョッと過ぎくらいかなと・・・」。こんな場合、男は喜んで良いんだか悪いんだか。確かに僕は童顔だけどサ。「クーペ&Shifo」には、ステージでいつも「QP神童」って呼ばれ、芸名にされちゃったくらいだから。
その上、旅行の時の僕の格好もカミサンの服装も、ジーンズやチノパン、Tシャツにジージャン、野球帽だから、実際より若く見られてしまうのは分かるけど、50歳とはねぇ。そこまで言われちゃうと本当の年を言えなくなっちゃった。
と、カミサンが躊躇なく「この人とっくに還暦過ぎていて、私も再来月還暦ですから」と言ったもんだから、お2人は目が点になってしまった。
明日はいよいよ日本だ。


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