SEって何?(3)
プロフェッショナルなSEになる第二の道は、コンピューター技術者としてのプロとは真逆の、システム戦略家を目指す道である。
企業内SEの存在意義の第二は、前述したとおり、施策・政策の実施に当たり、本店・本社各部門の検討に横串を指す役割だ。SEが不整合を指摘することで、開発したシステムと人間側の行動がスムーズに回るから、表立って言われるかどうかは別として、SEが入ることで彼らの安心感は増している筈だ。
だが、この役割で満足している限り、プロのSEにはなれない。これではどう見ても会社全体の施策や仕組みを考えるのは本店・本社部門で、それをチェックしシステムを作るのがSEという位置付けである。どう彼らから有難がられても、SEの仕事は新施策実施に於ける下請け業務に過ぎない。
ここに提起したいのは、システムの実現可能性から考えられる会社の戦略を提案するSEを目指そうということだ。システム戦略を、「システムを用いて会社を変えること」と定義すれば、新しいSE像は、「システムを用いれば、会社の業務や事務をここまで変えられますよ」と提案したり、システムを駆使した販売戦略など新たなビジネス・モデルを提起することだ。
システム部門も本店・本社機能の一つならば、他の戦略部門と同じく、システム発の会社施策があっても良いし、寧ろ今の時代、システム戦略に遅れをとった企業は競争上致命傷となるのだから、SEが会社内の下請け業者の地位に満足せず、そこから早く抜け出し、「会社を変える」先頭に立つ意識を持つべきである。
システム可能性から会社運営のあり方を考えることは、本店・本社部門が従来思考の延長で考えることと、多分、大きな違いが出る筈だ。更に、往々にしてシステムからの提案の方が、現状と完成後との差が極めて大きくドラスティックなものとなることが多い(但し、変化が大きいため実現にはリスクがある)。
実は、その2つのギャップが明らかになることが、提案が採用されるされないより、企業にとっては遥かに大事なことなのだ。経営決断を行う経営者に将来展望のもう一つの選択肢を与えることになるからだ。
このようなシステム戦略家を目指すには、目の前の業務に集中するだけでなく、常に、システムを駆使した会社の将来図を描き続けなくてはいけない。そのためには他社他業界の成功事例に関心を持たなければいけないし、場合によってはその企業を訪問して意見交換したりする必要もある。システム部門は内向きにならず、外部との交流努力が不可欠なのである。
以上、これから企業のシステム部門でプロのSEを目指す若手社員に、2つの道を示したつもりではあるが、本音を言えば、彼らの自助努力だけでは不可能だと思っている。より直截的に言わせて貰えれば、各企業のシステム部門責任者にこそ、プロのSEを育成するための指導と環境作りを切にお願いしたいのである。
もし、読者の中にシステム部門やそのOB・OGの方がいらっしゃったら、是非ともご意見を賜りたいと思う。
SEって何?―完―


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