プレミアムエイジ ジョインブログ
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二泊三日の旅(3)

次の日は、有馬温泉を後にしてバスで姫路城に向かった。今旅行、カミサンは姫路城と天橋立に行ったことがないので、その2ヶ所にどうしても行きたくて申し込んだと言う。

僕が会社に入って2年目か3年目の頃、小・中・高、ずっと学校が一緒の、今は亡きM君と2人で、東京から車でこちらに旅をした時、僕等は姫路城と天橋立のどちらにも立ち寄っている。だが37~38年も前のことだからもう記憶も薄れているのと、M君を偲ぶ旅もいいかと思い、もう一度行ってみようと思った。

城の入り口から入って直ぐの、広い庭の遥か後方に聳え立つ姫路城を見た瞬間、あの時見た同じ光景が鮮明に蘇えった。あの時と寸分違わぬ堂々たる城の姿だ。違いがあるとすれば、今日は庭の周りを小学生がマラソン大会か何かで鉢巻姿で一生懸命に走っているが、あの日は、中学生くらいの男の子の集団が、剣道着を付けて全員で掛け声を出しながら走っていたなぁ。

序でに言えば、次の日に行った笠松公園から見た天橋立もあの日見た光景と全く同じだった。建造物や自然は30何年経っても何も変わっていないのに、M君はもう彼岸の人になってしまった。

ここ10年は直接会う機会も無く、毎年の年賀状でお互いの無事を確認していた程度だったが、去年の正月、僕の出した年賀状が宛先不明で戻って来てしまったのだ。それまでは30年以上もそんなこと無かったのに。電話を掛けてみても「お客様のお掛けになった電話番号は現在使われていません」。

転居したならしたで、必ず知らせが来る筈だし、奥さんだってお子さんだっているんだから・・・。いきなり消息不明になってしまったことに僕は納得が行かなかった。

そうこうしている内に、小学校の同窓会の知らせが来たので、僕は法事を兼ねて、故郷の長野に出掛けた。M君は1組、僕は3組。同じ学年の同窓会だから、早速1組の人にM君の消息を聞いてみたが誰も知らない。だが、各組の名簿があり本日の出席者以外にも分かる人の消息が載っていたのでそれを見た。「死亡」。愕然とした。

彼の消息に詳しい人は1組でなく、何のことはない我が3組にいた。T君。彼の家はM君の直ぐ隣の家だった。T君自身は結婚後違う所に住んでいるのだが、お母さん同士が親しいので、状況が分かったのだそうだ。

T君の話では、M君は60歳誕生月に退職したあと、典型的な熟年離婚をしたという。借金もあったらしい。どうも一方的に奥さんの方が離婚を迫って子供共々出て行ったというのが真相らしい。その後、M君は生きる目的を失って自殺してしまったということのようだ。

僕らの世代、深層心理のどこかに熟年離婚のような漠然たる不安を抱えているけど、まさか、まさか、僕の親友が・・・。それも最悪の結末。身につまされる。少しはカミサンを大切にしようか。いやもう遅いかな?

この日は、城崎温泉泊。志賀直哉の小説「城崎にて」で有名な、伝統ある温泉地だ。町の真ん中に川が流れ、その両サイドには柳の並木が何処までも並んでいて、とても情緒のある温泉街だった。僕とカミサンは、M君のことを暫し忘れて外湯巡りを楽しんだ。

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