プレミアムエイジ ジョインブログ
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青春賦(1)

60年安保闘争のデモの模様は、テレビを見て知っていた。樺美智子さんの死は衝撃的な事件だった。新聞を食い入るように読んだ。デモ隊と機動隊の衝突の中で起きた痛ましい事故だったらしい。

僕は中学生だったが、どうも日本がアメリカと同盟を結ぶことに大学生達が猛反対しているらしいことは分かった。その理由までは良く分からない。でも、樺美智子さんが死んだことで、意味もなく学生たちのデモに味方するようになっていた。

しかし、国内世論を二分した大騒乱も、岸内閣は倒れたが、日米安保条約は成立してしまった。「岸を倒せ!安保反対!」のデモは、半分だけ目的を達したのだと僕は思った。

大学生になった。先輩が言う。「米帝国主義は諸悪の根源だ。70年の安保改正の時には、政府に是が非でもアメリカと手を切らせなければならない。だから、その時に向けて学生は団結しなければならない!」と。

僕は小学校高学年、中学、高校とテレビ・映画・音楽全てにおいてアメリカが憧れだった。幼い日は「名犬ラッシー」「ララミー牧場」、その後は「アンタッチャブル」「ベンケーシー」などのテレビ番組は欠かさず見ていた。

ジョンウェインの西部劇や、ジェームスディーンの「エデンの東」「理由なき抵抗」。ユルブリンナーの「王様と私」「荒野の7人」などは我を忘れて見たものだ。

歌は、プレスリー、ポールアンカ、ニールセダカに、コニ―フランシス。音楽映画は、「グレンミラー物語」「ベニーグッドマン物語」「5つの銅貨」。ジャズは、デキシー、スウィング、モダン・ジャズ。

大リーグの野球では、ベーブルース、ミッキーマントル、ゲーリック。テレビ放送など無いから、伝え聞く彼等の姿が僕の中では超巨大化してた。

正に文化の先進国、豊さの象徴、僕等少年達の憧れの的アメリカ。その国が諸悪の根源と言われても、即座には同意しかねる。確かにベトナム戦争を拡大させているアメリカは良くないけど、直接僕がアメリカに痛い目に会わされた訳でもないから、先輩が言うように、アメリカを目の敵になんか出来そうにない。僕が鈍いのか、先輩が賢いのか。

先輩も確か2歳年上だから、まさか親父達のような「今度アメリカと戦う時は、必ずやっつけてやる」という気分が残っている訳じゃないんだろうけど、彼の真意が僕には分からなかった。

結局、先輩の誘いを拒んだ形になってしまった。

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