プレミアムエイジ ジョインブログ
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青春賦(2)

昭和40年。僕は18歳。大学1年生。経済学部教養部の学生だ。故郷を離れ遠く仙台の地で学生生活を始めていた。Hさんとは大学が仙台と東京に別れ別れになって、高校時代の淡い初恋が、どうやら終わったことを悟った僕は、暫く何もする気にもなれず、虚しい下宿生活を送っていた。

当時良く言われていた大学1年生の5月病だったのかも知れない。大学入試を目指して猛勉強をして合格、遂に大学生にはなったものの一気に目標を見失い、無気力症候群に陥るのが、入学2ヶ月目という5月病。

ただ、当時言われていた5月病は、高校3年間、少なくても最後の1年間、目一杯頑張った人に当て嵌まるとのことだから、僕の猛勉強は11月~1月間のたった3ヶ月だったので5月病の仲間には入れない。僕の場合は失った初恋から来る虚脱感だったと思う。

そんなある日、同じ高校出身のKが僕に声を掛けて来た。「神童、確か高校でギターやってたよね。サークルの先輩に頼まれて、チケットを売らなくちゃいけないんだけどさ、これ行かない?」。見たら、大学のクラシック・ギター・コンサートのチケットだった。

「え?お前、ギター部に入ったの?」
「違うよ。俺は音楽からっきしダメ。学生寮の先輩からね、押し付けられたって訳サ」
僕は、高校3年生の時、一年だけマンドリン・クラブに所属してギターのパートをやっていた。それをKは知っていて買ってくれないかと言いに来たのだ。
「いいよ、特に用事もないし」
と言って、300円也のチケットを買った。

1人でコンサートに行った。出演者は大学3年生と4年生が中心のようだ。ソロありアンサンブルあり、入れ替わり立ち代りの演奏が続く。みんな凄く旨い。僕も少しギターをやるが、本格的なクラシック・ギターの演奏って、あんなにいい音を出すものとは知らなかった。

最初の何人かの演奏は、ある種の感嘆をもって聴いた。来た甲斐があったと思った。だが、次の人も次の組みも、みんな似たような演奏をするので、僕は段々飽きて来た。プログラムを見れば全部で15組も登場する。まだ5組が終わっただけだった。

それなりに工夫されてはいるが、本当にクラシック音楽ばっかりで、もう少し変化が欲しい。例えば、この辺りでフラメンコ・ギター(スパニッシュ・ギター)の演奏があってもいいし、リズム楽器を入れたラテン音楽だって良い。

が、6組目もクラシック。それも何人か前の人と同じ曲目だ。飽きが苦痛に変わった。僕は会場を出た。出る時に受け付けの学生からパンフレットを渡された。「あなたもギター始めませんか?あなたのセンスであなたのギター演奏を!」。

入部勧誘パンフだった。頭の中で何かのスイッチが入った。僕だったら、もっと飽きの来ない演奏会に変えられるけどなぁ・・・と思ってしまった。

翌週、僕はパンフに書かれていたクラシック・ギター部の部室を訪ねていた。

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